『風を結んで』観劇報告
2005年7月2日 サンシャイン劇場にて
主な出演者
鈴木綜馬 坂元健児 畠中洋 絵麻緒ゆう 風花舞 他
*ストーリー*
大政奉還、明治維新。帯刀禁止令と四民平等の体制下、多くの武士がその職を失い貧窮していた。
その武士の技に目をつけ、パフォーマンスとして舞台に上げようと考える、アメリカ帰りの女性実業家。彼女の
立ち上げた一座の下、武士を捨てても生き抜こうとするもの。武士としての生き様をまっとうしようとするもの。幕末動乱のしがらみを背負いながらも
それをひた隠して生きていくもの。一座が軌道に乗り始めた頃、再び薩摩から戦の気配が起こり始める。状況が
急転し、一座は解散を余儀なくされるのだった。それでも一座の再興を夢見て、小物問屋を営みながら武士を探す
一人の元座員。武士として、または警官として、そしてジャーナリストとして戦に赴いている旧友たちを
連れ戻すため、己もまた戦地へと向かう決意をするのだった。
*感想*
素敵な作品でした。いろいろな生き方や考え方の人物が出てくる中で、ひとつとして否定的な視線では描かれて
いなくて、私はこう考える、ではなく、あなたはどう思いますか?と言うような(?)作品です。
例えば、武士。いかに死ぬかこそに武士の生き様があると考えている、とことん武士であり続けようとする人。
逆に、命を大切にすること、人に必要とされることに人生の意義を見出して、武士を捨てる人。
女性では、アメリカ暮らしで先進的な考え方を持ち、日本の女性が主人の言いなりになっていることに疑問を
持っている人。
それに対して武家育ちで奥ゆかしい女性が、「言いなり」なのではなくて、自分の全てを捧げられる人に
出会い、ただついて行くことを強さだと思うと話したり。
これらの中で、これこそが正しいと言うことはないのだ、自分がどう感じるかなのだと投げかけてくるような印象を
持ちました。
また、落ちぶれてしまった武士たちの憤りや虚しさ、自分は何のために生きてきたのかと言う葛藤が、胸に迫ります。
重いテーマを、主に前半のコミカルな場面の数々が受け入れやすくしていました。楽しみにしていた畠中さんは、やっぱり
そのコミカル担当でしたね(笑)でも最後には、新聞記者として戦地へ行くのだと、かつての仲間に手紙で告げる、
その場面はやっぱりかっこよかったです。そして、綜馬さんがあんなにコメディのセンスがおありとは知りませんでした(苦笑)
絵麻緒さんは女性実業家、風花さんは武家のお嬢様の役をそれぞれされていたのですが、どちらもとてもお似合いで
素敵でしたね。絵麻緒さんのゴーイングマイウェイなお姉さま、圧巻です。
謝先生の作品は、いつもとても素敵だなと思います。次回作は、どんなでしょうね?