日本語はダメか2

日本語はダメか2

2010.01.13
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 寒い。
「寒波襲来」という文字が新聞、テレビの画面に躍る。
 暖冬か、などの予想もあったのだが、厳しい厳しい寒さ。

 なぜ「寒波来襲」ではないのだろう。
 なぜ「敵機襲来」ではないのだろう。
 なぜ「蒙古来襲」ではないのだろう。

 微妙な感覚を書き分ける漢字の妙。


 新郎が鎧・兜を着て披露する結婚式が流行しているらしい。本人や母親よりも、圧倒的に新婦が希望しているとか。
 いわゆる「草食系男子」になって欲しくないから、と。



 直江兼続人気は、比較的最近テレビドラマになったばかり、ということもあるらしいが、大きな理由は兜を飾っていた「愛」という文字に依るようだ。

 だが、この場合の「愛」は、現代の「愛」すなわちloveとはまったく関係がないことに気を付けよう。

 仏と人の間にあって、慈愛の心で両者をつなぐと信じられた愛染(あいぜん)明王への帰依心に依る。
 明王は、「戦争の神様」などと誤解されているムキもあるが、大日如来または金剛愛菩薩の仮現(けげん)とされ、その慈愛はすべての悪を降伏(ごうぶく)するもので、三面六臂の忿怒(ふんぬ すさまじい怒り)の相をし、武具を持っている。

 愛愛愛。

「愛、なんて言葉、軽々に使いたくありませんねえ」と三島由紀夫さんはなんども言った。
「では、どんな言葉を使えばいいのでしょうか」
「君、惚れるだよ、惚れるというすばらしい言葉がある、M君」

「心」を表す「(りっしんべん)」に「忽」。「恍惚」の「こつ」。
 気を取られてぼんやりしてしまう……。

 でもねえ、使い方がむ つ か し い。


 「愛」は一語で完結していて接続を可能にしている名詞だが、「惚れる」は完結していない動詞で、かなりのおつきあいを重ねた仲でなければなかなか使いこなせない。

 気のない相手から「こちらはこんなに(あなたを)愛しているのに」などと言われると、ニッポンを、いや、世界を襲っている寒波よりも寒い。
「愛」は双方向でなければならない。






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最終更新日  2010.01.13 15:49:27
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