日本語はダメか2

日本語はダメか2

2010.04.15
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 というか、すべての表情が消えていた……。
 こんな表現で、どうしてあのときの井上さんを言い表せるだろう。

 もう、向こうの人、になっていた、すなわち、書こうとしている題材の中へ入り込んでいた。登場する人物の一人、二人、三人になっていた。
 笑わない井上さん、というか、表情の死んだ井上さん、という印象しか、こちらには、ない。

 会社のどの部屋でも、ご自分専用の簡易ベッドを運び込んだ。そうでなければ眠れない、ということのようだった。
 運び込むのは、屈強な青年であったりいかにも優男風な青年でもあった。
「運び込み」の演技の練習でも、と思うことでこちらの緊張を柔らげようとした。

「いかがですか」と進行具合を伺うタイミングもむつかしかった。


 七色言葉奔放紡ぎ師井上ひさし。心の洞穴奥底探検洞察者井上ひさし。<絶対幸福希求人間>追求者井上ひさし。川辺のせせらぎ下宿人にしてリンリン宝の山オーナーの井上ひさし。

「大作家」なる表現が紙面の活字を踊らせていたが、「最後の文豪」では、送り言葉にならないか。

 もの凄い物書き。が。この世。から。消えた。





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最終更新日  2010.04.15 07:41:25
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