日本語はダメか2

日本語はダメか2

2015.03.18
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不用意な欧米化を戒めた西郷 西洋かぶれした長州の俗人
世相を斬る あいば達也


 本日は、 傲慢と云う精神的病に冒されているお人 の話から遠ざかろうと一大決心をして、清涼の一服なコラムを紹介する。たまには、生臭さから逃れたくなると云うものだ。
 魚住昭のコラムは、常に人間的で温かい。今回も、まもなく桜で賑わうであろう上野のお山話題だ。同氏がコラムの終わりの方で、西郷隆盛について言及し、≪それにしても、と私は思う。維新最大の功労者・西郷は自ら樹立した政府になぜ反旗を翻したのか。どんな日本を作りたかったのか。夕空に屹立する巨大な銅像が、 近代史の謎の塊のように見えた。 ≫と締め括る。

 今どきは書店の覗いても、吉田松陰本が矢鱈目につく。長州か。筆者は、ついつい 傲慢な病に冒された宰相 に思いが及ぶ。


 維新の人々を評価するにしても、吉田松陰とか長州のテロ集団を美化しすぎた司馬遼太郎などは、産経の記者上がりそのもので、史実をこれ程捻じ曲げ、西洋かぶれの右翼思想を蔓延させた人物はいないだろう。
 おそらく、混乱の幕末から明治のことだから、あまりにも利害得失が入り乱れすぎて、真実にたどり着くのは困難なわけだが、松下村塾や長州人が、明治維新を成し遂げたように演出された日本と云う国には、歪みを抱え込んだまま、時代を唯々諾々と重ねてきた宿痾があるようで、どうもスッキリしない。
 スッキリするのは、「南洲翁遺訓」だろう。その幾つかを参考引用するが、この遺訓の中に、その維新によって「捨ててきたもの」が何であるかが偲ばれる。


遺訓4:萬民の上に位する者、己れを愼み、品行を正くし、驕奢を戒め、節儉を勉め、職事に勤勞して人民の標準となり、下民其の勤勞を氣の毒に思ふ樣ならでは、政令は行はれ難し。然るに草創の始に立ちながら、家屋を飾り、衣服を文り(かざり)、美妾を抱へ、蓄財を謀りなば、維新の功業は遂げられ間敷也。今と成りては、戊辰の義戰も偏へに私を營みたる姿に成り行き、天下に對し戰死者に對して面目無きぞとて、頻りに涙を催されける。

 現代語訳:国民の上に立つ者(政治、行政の責任者)は、いつも心をつつしみ、品行を正しくし、偉そうな態度をしないで、贅沢をつつしみ節約をする事に努め、仕事に励んで一般国民の手本となり、一般国民がその仕事ぶりや、生活ぶりを気の毒に思う位にならなければ、政令はスムーズに行われないものである。
 ところが今、維新創業の初めというのに、立派な家を建て、立派な洋服を着て、きれいな妾をかこい、自分の財産を増やす事ばかりを考えるならば、維新の本当の目的を全うすることは出来ないであろう。今となって見ると戊辰(明治維新)の正義の戦いも、ひとえに私利私欲をこやす結果となり、国に対し、また戦死者に対して面目ない事だと言って、しきりに涙を流された。



遺訓8:廣く各國の制度を採り開明に進まんとならば、先づ我國の本體を居ゑ風教を張り、然して後徐かに彼の長所を斟酌するものぞ。否らずして猥りに彼れに倣ひなば、國體は衰頽し、風教は萎靡して匡救す可からず、終に彼の制を受くるに至らんとす。

 現代語訳:広く諸外国の制度を取り入れ、文明開化を押し進もうと思うならば、まず我が国の本体を良くわきまえ、風俗教化を正しくして、そして後、ゆっくりと諸外国の長所を取り入れるべきである。
 そうではなく、ただみだりに諸外国の真似をして、これを見習うならば、 国体は弱体化して、風俗教化は乱れて、救いがたい状態になり、そしてついには外国に制せられる事になるであろう。



 遺訓11:文明とは道の普く行はるゝを贊稱せる言にして、宮室の壯嚴、衣服の美麗、外觀の浮華を言ふには非ず。世人の唱ふる所、何が文明やら、何が野蠻やら些と も分らぬぞ。予嘗て或人と議論せしこと有り、西洋は野蠻ぢやと云ひしかば、否な文明ぞと爭ふ。否な野蠻ぢやと疊みかけしに、何とて夫れ程に申すにやと推せしゆゑ、實に文明ならば、未開の國に對しなば、慈愛を本とし、懇々説諭して開明に導く可きに、左は無くして未開矇昧の國に對する程むごく殘忍の事を致し己 れを利するは野蠻ぢやと申せしかば、其人口を莟めて言無かりきとて笑はれける。

 現代語訳:文明というのは道義、道徳に基づいて事が広く行われることを称える言葉であって、宮殿が大きく立派であったり、身にまとう着物が綺麗あったり、見かけが華やかであるいうことではない。世の中の人の言うところを聞いていると、何が文明なのか、何が野蛮なのか少しも解らない。




 遺訓13:租税を薄くして民を裕(ゆたか)にするは、即ち國力を養成する也。故に國家多端にして財用の足らざるを苦むとも、租税の定制を確守し、上を損じて下を虐たげぬもの也。能く古今の事跡を見よ。道の明かならざる世にして、財用の不足を苦む時は、必ず曲知小慧の俗吏を用ひ巧みに聚斂して一時の缺乏に給するを、理財に長ぜる良臣となし、手段を以て苛酷に民を虐たげるゆゑ、人民は苦惱に堪へ兼ね、聚斂を逃んと、自然譎詐狡猾に趣き、上下互に欺き、官民敵讐と成り、終に分崩離析に至るにあらずや。

 現代語訳:税金を少なくして国民生活を豊かにすることこそ国力を高める事になる。だから国の事業が多く、財政の不足で苦しむような事があっても決まった制度をしっかり守り、政府や上層の人達が損をしても、下層の人達を苦しめてはならない。
 昔からの歴史をよく見るがよい。道理の明らかに行われない世の中にあって、財政の不足で苦しむときは、必ずこざかしい考えの小役人を用いて、その場しのぎをする人を財政が良く分かる立派な役人と認め、そういう小役人は手段を選ばず、無理やり国民から税金を取り立てるから、人々は苦しみ、堪えかねて税の不当な取りたてから逃れようと、自然に嘘いつわりを言って、お互いに騙し合い、役人と一般国民が敵対して、終には、国が分裂して崩壊するようになっているではないか。



 遺訓17:正道を踏み國を以て斃るゝの精神無くば、外國交際は全かる可からず。彼の強大に畏縮し、圓滑を主として、曲げて彼の意に順從する時は、輕侮を招き、好親却て破れ、終に彼の制を受るに至らん。

 現代語訳:正しい道を踏み、国を賭けて、倒れてもやるという精神が無いと外国との交際はこれを全うすることは出来ない。外国の強大なことに萎縮し、ただ円満にことを納める事を主として、自国の真意を曲げてまで、外国の言うままに従う事は、軽蔑を受け、親しい交わりをするつもりがかえって破れ、しまいには外国に制圧されるに至るであろう。





 語録:人間がその知恵を働かせるという事は、国家や社会のためである。だがそこには人間としての「道」がなければならない。電信を設け、鉄道を敷き、 蒸気仕掛けの機械を造る。こういう事は、たしかに耳目を驚かせる。
 しかし、なぜ電信や鉄道がなくてはならないのか、といった必要の根本を見極めておかなければ、いたずらに開発のための開発に追い込まされる事になる。まして、みだりに外国の盛大を羨んで、利害損得を論じ、家屋の構造から玩具にいたるまで、いちいち外国の真似をして、贅沢の風潮を生じさせ、財産を浪費すれば、国力は疲弊してしまう。
 それのみならず、人の心も軽薄に流れ、結局は日本そのものが滅んでしまうだろう(注: もう一言の説明もいらない。洋行帰りの西洋かぶれ共に実権を握られた西郷の呵責も含まれるだろうが、明治大正昭和平成と、一層西郷の言う通りになってきている(笑))。






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最終更新日  2015.03.18 10:52:24 コメントを書く
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