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男親だからこそ できることを 知的障害ある子へ理解を
仕事上の人脈や経験を生かし
●「福岡おやじたい」発足4年
一見して障害とは分かりにくい
自閉症や知的障害のある子どもたち。
彼らへの理解を深めてもらおうと、
父親ら男性だけで活動するグループがある。
その名も「福岡おやじたい」(一般社団法人、福岡市)。
仕事上の幅広い人脈や行動力を生かし、
啓発イベントや勉強会を企画。
「だれもが互いに認め合う、温かい社会」
を目指して活動する原動力とは-。
今月6日、同市東区のホール。
「笑顔と絆のスクラム」と銘打ち、
年に1度開催している啓発イベントに、
本年度はダウン症の書家として
全国的に知られる金澤翔子さん親子らを招き、
700人以上を集めた。
そろいの青いTシャツで運営に当たったメンバーたち。
冒頭、理事長の吉田正弘さん(61)は
いつものように一人息子で知的障害がある陸人さん(20)を伴い、
壇上であいさつに立った。
「息子です。きょうはちょっとノリが悪いようですが」。
会場が温かい笑いに包まれる。
つられるように、陸人さんもにっこり笑った。
グループは2013年、
市内の児童・生徒の父親が交流する
「おやじサミット」が特別支援学校で開催された際、
運営に携わった障害児の父親たちが
「せっかくできた横のつながりを生かそう」
と14年4月に任意団体として発足。
昨年6月、一般社団法人に移行した。
現在、会員は
父親や賛同する有志ら30代後半~60代の計17人。
会社員や経営者、弁護士など職業も幅広く、
それぞれのネットワークを通じて協賛金などを募って活動資金に。
本年度は、専門家らを招いて
発達障害を学ぶセミナーや記録映画の上映会なども開いた。
「(障害児の)母親は子育ての一番の功労者、
理解者だからこそわが子のことで手いっぱいになりがち。
仕事で外に出て動ける父親だからこそできることがある」
と吉田さん。
一番の目的は
「地域にはいろんな障害のある人がいて、
ともに暮らしていると知ってもらうこと」
だ。
◇ ◇
吉田さん自身、
息子の障害をすんなり受け入れたわけではない。
生まれつき目鼻立ちがはっきりし、
いつもニコニコしていた陸人さん。
健診などで知的障害の可能性を指摘された
と妻に聞かされても「成長が遅いだけ」と考えた。
一般の保育所から療育施設に移ると、
陸人さんの表情は見違えるように生き生きし始めた。
療育施設の卒園に際し、
当時6歳だった陸人さんに贈る言葉をしたためる際、
自然と涙がこぼれた。
「できることを増やしていこうね。守ってあげるよ…いつまでも」。
息子の障害をはっきり認めた瞬間だった。
仕事を言い訳に子育てにそっぽを向く父親や、
妻子と別れる夫も少なくない。
おやじたいの活動に触れることで
「障害を受け入れられない親が変わるきっかけになれば」
と言う。
陸人さんは通りやスーパーなどで突然、
大声を上げることも。
不快そうな目で見られることもしばしばだが
「障害があるからだと理解してもらえば
温かい目で見てくれるようになる」。
まず親など当事者が「前向き」にとらえ、
広く地域の人にも知的障害や自閉症などの特性を分かってもらう。
そのためには結局
「草の根で息長く、声を掛け続けていくしかない」-。
メンバー共通の思いだ。
◇ ◇
月1回の定例会ではイベントや研修会の準備のほか、
活動の方向性についても議論を交わす。
発足から4年となり、障害の特性によって就労、
生活介護など「わが子」の課題も多岐にわたるため
活動の優先順位に頭を悩ませ、
メンバーの入れ替わりもある。
それでも開設したフェイスブックのページをフォローする人は
6200人を超えた。
6日のイベントの終わりに、吉田さんは再びマイクを握った。
「皆さんの中にも、きれい好き過ぎる方、
片付けが苦手な方、数学の苦手な方が絶対いますよね。
私は完璧、という人の方が少ない」。
発達障害か、そうでないか「境目」はあいまいでは、
との問い掛けだ。
「そういうことが理解できれば、お互いにいい社会ができるのでは」どろよk
男親の強みも弱さもかみしめて、おやじたちの手探りが続く。
=2018/01/25付 西日本新聞朝刊
https://www.nishinippon.co.jp/feature/listening_library/article/389000/
=

「福岡おやじたい」発足4年
啓発イベントであいさつに立った「福岡おやじたい」のメンバーたち。
マイクを握る理事長の吉田正弘さんと、息子の陸人さん(左から2人目)
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