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2018年01月26日
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カテゴリ: ニュース




男親だからこそ できることを 知的障害ある子へ理解を 

仕事上の人脈や経験を生かし



●「福岡おやじたい」発足4年


 一見して障害とは分かりにくい

自閉症や知的障害のある子どもたち。


彼らへの理解を深めてもらおうと、

父親ら男性だけで活動するグループがある。


その名も「福岡おやじたい」(一般社団法人、福岡市)。


仕事上の幅広い人脈や行動力を生かし、

啓発イベントや勉強会を企画。


「だれもが互いに認め合う、温かい社会」

を目指して活動する原動力とは-。


 今月6日、同市東区のホール。


「笑顔と絆のスクラム」と銘打ち、

年に1度開催している啓発イベントに、

本年度はダウン症の書家として

全国的に知られる金澤翔子さん親子らを招き、

700人以上を集めた。


 そろいの青いTシャツで運営に当たったメンバーたち。


冒頭、理事長の吉田正弘さん(61)は

いつものように一人息子で知的障害がある陸人さん(20)を伴い、

壇上であいさつに立った。


「息子です。きょうはちょっとノリが悪いようですが」。


会場が温かい笑いに包まれる。


つられるように、陸人さんもにっこり笑った。


 グループは2013年、

市内の児童・生徒の父親が交流する

「おやじサミット」が特別支援学校で開催された際、

運営に携わった障害児の父親たちが

「せっかくできた横のつながりを生かそう」

と14年4月に任意団体として発足。


昨年6月、一般社団法人に移行した。


現在、会員は

父親や賛同する有志ら30代後半~60代の計17人。


会社員や経営者、弁護士など職業も幅広く、

それぞれのネットワークを通じて協賛金などを募って活動資金に。


本年度は、専門家らを招いて

発達障害を学ぶセミナーや記録映画の上映会なども開いた。


 「(障害児の)母親は子育ての一番の功労者、

理解者だからこそわが子のことで手いっぱいになりがち。

仕事で外に出て動ける父親だからこそできることがある」

と吉田さん。


一番の目的は

「地域にはいろんな障害のある人がいて、

ともに暮らしていると知ってもらうこと」

だ。


   ◇    ◇


 吉田さん自身、

息子の障害をすんなり受け入れたわけではない。


生まれつき目鼻立ちがはっきりし、

いつもニコニコしていた陸人さん。


健診などで知的障害の可能性を指摘された

と妻に聞かされても「成長が遅いだけ」と考えた。


一般の保育所から療育施設に移ると、

陸人さんの表情は見違えるように生き生きし始めた。


療育施設の卒園に際し、

当時6歳だった陸人さんに贈る言葉をしたためる際、

自然と涙がこぼれた。


「できることを増やしていこうね。守ってあげるよ…いつまでも」。


息子の障害をはっきり認めた瞬間だった。


 仕事を言い訳に子育てにそっぽを向く父親や、

妻子と別れる夫も少なくない。


おやじたいの活動に触れることで

「障害を受け入れられない親が変わるきっかけになれば」

と言う。


 陸人さんは通りやスーパーなどで突然、

大声を上げることも。


不快そうな目で見られることもしばしばだが

「障害があるからだと理解してもらえば

温かい目で見てくれるようになる」。


 まず親など当事者が「前向き」にとらえ、

広く地域の人にも知的障害や自閉症などの特性を分かってもらう。


そのためには結局

「草の根で息長く、声を掛け続けていくしかない」-。


メンバー共通の思いだ。



   ◇    ◇



 月1回の定例会ではイベントや研修会の準備のほか、

活動の方向性についても議論を交わす。


発足から4年となり、障害の特性によって就労、

生活介護など「わが子」の課題も多岐にわたるため

活動の優先順位に頭を悩ませ、

メンバーの入れ替わりもある。


それでも開設したフェイスブックのページをフォローする人は

6200人を超えた。


 6日のイベントの終わりに、吉田さんは再びマイクを握った。


「皆さんの中にも、きれい好き過ぎる方、

片付けが苦手な方、数学の苦手な方が絶対いますよね。

私は完璧、という人の方が少ない」。


発達障害か、そうでないか「境目」はあいまいでは、

との問い掛けだ。


「そういうことが理解できれば、お互いにいい社会ができるのでは」どろよk

 男親の強みも弱さもかみしめて、おやじたちの手探りが続く。


=2018/01/25付 西日本新聞朝刊 https://www.nishinippon.co.jp/feature/listening_library/article/389000/



「福岡おやじたい」発足4年 啓発イベントであいさつに立った「福岡おやじたい」のメンバーたち。マイクを握る理事長の吉田正弘さんと、息子の陸人さん(左から2人目)

「福岡おやじたい」発足4年 

啓発イベントであいさつに立った「福岡おやじたい」のメンバーたち。

マイクを握る理事長の吉田正弘さんと、息子の陸人さん(左から2人目)



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Last updated  2018年02月28日 12時21分04秒 コメントを書く
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