艶色艶美 毒林檎

艶色艶美 毒林檎

椎名林檎 MM

正しい街

あの日飛び出した此の街と君が正しかったのにね

不愉快な笑みを向け長い沈黙の後態度を更に悪くしたら
冷たいアスファルトに額を擦らせて期待はずれのあたしを攻めた
君が周りを無くした
あたしはそれを無視した
さよならを告げたあの日の唇が一年後
どういう気持ちでいまあたしにキスをしてくれたのかな

短い嘘を繋げ赤いものに替えて疎外されゆく本音を伏せた
足らない言葉よりも近い距離を好み理解出来ていた様に思うが
君に涙を教えた
あたしはそれも無視した
可愛いひとなら捨てる程いるなんて云うくせに
どうして未だに君の横には誰一人居ないのかな

何て大それたことを夢見てしまったんだろう
あんな傲慢な類の愛を押し付けたり
都会では冬の匂いも正しくもない
百道浜も君も室見川もない

もう我が儘など云えないことは分かっているから
明日の空港に最後でも来てなんてとても云えない
忠告は全ていま罰として現実になった

あの日飛び出した此の街と君が正しかったのにね

絶対カラオケでチョイスする唄。ギターも練習した☆何回聞いても飽きない。
聞いてると落ち着く大好きな歌の一つDEATH

歌舞伎町の女王

蝉の声を聞く度に 目に浮かぶ九十九里浜
皺々の祖母の手を離れ 独りで訪れた歓楽街

ママは此処の女王様 生き写しの様なあたし
誰しもが手を伸べて 子供ながらに魅せられた歓楽街

十五に成ったあたしを 置いて女王は消えた
毎週金曜日に来ていた男と暮らすのだろう

「一度栄えし者でも必ずや衰えてゆく」
その意味を知るときを迎え足を踏み入れたは歓楽街

消えて行った女を憎めど夏は今
女王と云う肩書きを誇らしげに掲げる

~口笛~

女に成ったあたしが売るのは自分だけで
同情を欲した時に全てを失うだろう

JR新宿駅の東口を出たら
其処はあたしの庭 大遊戯場歌舞伎町

今夜からは此の街で娘のあたしが女王


丸の内サディスティック

報酬は入社後並行線で
東京は愛せど何も無い

リッケン620頂戴
19万も持って居ない 御茶の水

マーシャルの匂いで飛んじゃって大変さ
毎晩絶頂に達して居るだけ
ラット1つを商売道具にしているさ
そしたらベンジーが肺に映ってトリップ

最近は銀座で警官ごっこ
国境は越えても盛者必衰

領収書を書いて頂戴
税理士なんて就いて居ない 後楽園

将来僧に成って結婚して欲しい
毎晩寝具で遊戯するだけ
ピザ屋の彼女になってみたい
そしたらベンジー、あたしをグレッチで殴って

青 噛んで熟って頂戴
終電で帰るってば 池袋

マーシャルの匂いで飛んじゃって大変さ
毎晩絶頂に達して居るだけ
ラット1つを商売道具にしているさ
そしたらベンジーが肺に映ってトリップ

将来僧に成って結婚して欲しい
毎晩寝具で遊戯するだけ
ピザ屋の彼女になってみたい
そしたらベンジー、あたしをグレッチで殴って


幸福論 ~悦楽偏~

本当のしあわせを探したときに
愛し愛されたいと考えるようになりました
そしてあたしは君の強さも隠しがちな弱さも汲んで

時の流れと空の色に
何も望みはしないように
素顔で泣いて笑う君にエナジイを燃やすだけなのです

本当のしあわせは目に映らずに
案外傍にあって気付かずにいたのですが
かじかむ指の求めるものが見慣れたその手だったと知って

あたしは君のメロディーやその
哲学や言葉 全てを
守る為なら少し位する苦労もいとわないのです

時の流れと空の色に
何も望みはしないように
素顔で泣いて笑う君のそのままを愛している故に
あたしは君のメロディーやその
哲学や言葉 全てを
守り通します
君が其処に生きているという真実だけで幸福なのです


茜さす 帰路照らされど・・・

何時もの交差点で彼は頬にキスする
また約束もなく今日が海の彼方に沈む

ヘッドフォンを耳に充てる
アイルランドの少女が歌う
夕暮れには切な過ぎる
涙を誘い出しているの?

振り返る通りを渡るひとに見蕩れる
また約束も無く彼がビルの彼方に消える

ヘッドフォンを耳に充てる
ファズの利いたベースが走る
夕焼けには切な過ぎる
涙を誘い出しているの?

今の二人には確かなものなど何も無い
偶には怖がらず明日を迎えてみたいのに

I PLACE THE HEADPHONES ON MY EARS AND LISTEN
SOMEONE SINGS A SONG. I FEEL SO BLUE
NOW DARLIN’ PROMISE ME
PLEASE TELL ME SOMETHING WORDS TO SOOTHE
I DON’T WANNA CRY



シドと白昼夢

昔 描いた夢で あたしは別の人間で
ジャニス・イアンを自らと思い込んでいた
現実には本物が居ると理解っていた

此処の所描く夢の あたしはあたしだから
欲望も何も区別がつかなくなっていた
現実でもほとんど不確かだ

あなたの髪を切らなきゃ
真っ黒な其の眼があたしの眼に光を射てば呼吸が出来る
いまは還らない影など全く厭だけれど
あなたには殺されても良いわ

手錠をされたままであたしに跪いた
独りきりじゃ泣いてばかりになる為
誰かがそっと寄り掛かるのであろう

あなたはあたしじゃなくちゃ
真っ白なほっぺたに透き通る小さな雨垂れを落としてしまう
でも泣かないで 今すぐに鍵を開けてあげる
あなたには全て許しちゃうわ


積木遊び

あなたはいつもそうやって丸い四角を選ぶ
あたしも特に気にせず 三角をのせてしまう

嗚呼 しくじった しくじった まただわ
YOU KNOW HOW MUCH I CARE IT.
嗚呼 やられたり やられたり ようやく
愛妻 某ジャクソン夫人

あなたはいつもそうやって長い間悩んで
あたしを上手く丸める全くの積み木くろうと

嗚呼 しくじった しくじった まただわ
YOU KNOW HOW MUCH I LOVE IT.
嗚呼 くやしかり くやしかり ようやく
友好 傍若孫婦人

ののしるなんぢ 飽かずやあらむ
輒ち お相手はつかまつりませう
I REALLY REALLY DO


ここでキスして。

I’ll never be able to give up on you
So never say good bye and kiss me once again

あたしは絶対あなたの前じゃ さめざめ泣いたりしないでしょ
これはつまり常に自分がアナーキーなあなたに似合う為
現代のシド・ヴィシャスに手錠かけられるのは只あたしだけ

行かないでね
何処にだってあたしと一緒じゃなきゃ厭よ
あなたしか見て無いのよ
今すぐ此処でキスして

違う制服の女子高校生を眼で追っているの、知っているのよ
斜め後ろ頭ら辺に痛い程視線感じないかしら
そりゃ あたしは綺麗とか美人なタイプではないけれどこっち向いて

行かないでね
どんな時もあたしの思想を見抜いてよ
あなたの長い睫毛も其の華奢で大きな手も全部大好きなの
何処にだってあなた程の人なんて居ないよ
あなたしか見て無いのよ
今すぐ此処でキスして

行かないでね
何処にだってあたしと一緒じゃなきゃ厭よ
あなたしか見て無いのよ
今すぐ此処でキスして ねぇ

I feel so nice ’cause you are with me now
It is certain I love you so much baby
I’ll never be able to give up on you
So never say good bye and kiss me once again


同じ夜

飛交う人の批評に自己実現を図り
戸惑うこれの根源に尋ねる行為を忘れ
此の日々が訪れた窓の外には
誤魔化しの無い夏 描かれている

吹き荒れる風に涙することも
幸せな君を只願うことも
同じ空は明日を始めてしまう
例え君が此処に居なくても

彷徨う夢の天神に生温さを望み
行交う人の大半に素早く注目をさせ
其の欲が満たされたあたしの眼にも
果てることない夢 映されるのか

泣き喚く海に立ち止まることも
触れられない君を只想うことも
同じ空は明日を始めてしまう
例えあたしが息を止めても

吹き荒れる風に涙することも
幸せな君を只願うことも
泣き喚く海に立ち止まることも
触れられない君を只想うことも
同じ空は明日を始めてしまう
例えあたしが息を止めても


警告

朝の訪れを微塵も感じない夜
闇がこの先の日本を考えるのか
TVも溜息も時計を滅多に止めない
何がこれ程迄に虚しさを呼ぶのだ?

あなたの部屋の留守番電話が近頃まめに働いているの 何故か少しも気にならないのよ
伸ばした髪も意味ないから

言葉で穴を埋めても 満たされる筈など無い
日の出を待ち切れぬまま 鋏を探し出す
あなたは全てをあたしが切っちゃっても効かない・・・

夏に見たのは実在しない人だった
寒くなる迄知らないで愛してしまった
今頃になってから「全部演じていた」なんて
受話器越しに泣かれたってこっちが泣きそう

あなたがあたしだけ呼んで居ても幾ら素敵に気を引いていても 時は既に遅過ぎるのよ
答える努力もしないから

此の海を又訪れ 思い出そうと歩く
波を止めることよりは た易いと感じるのに
あたしの気持ちは何処に行ったって戻らない・・・

「嘘はつき つかれるもの」 あなたはそう笑うが
間抜けなあたしをはじめ 不可能な人種も居る
上手く前に進めずに不器用に倒れるなら
起き上がる道具ひとつ 持たないで死んで行くわ
殺意だけ仕舞ったら あたしは最後のいま
「機械の様に余り馬鹿にしないで」 って云いたい・・・


モルヒネ

家にはひとりで帰ります
あたしには鳥が4羽ついてるので
家には納豆が有ります
あたしにはグリコゲンがあるし 驚きなのは地下鉄のレール

素敵な貴方をたたえます
あたしにはとりえなんて無いですので
素敵な赤色のボトムス
あたしには少し似合わないし 驚きなのは空色のカーテン

あたしの脳のなかで麻薬物質は
とめどなくとめどなく排出されゆき
あたしはひたすら、だ液を吐き捨てる
密やかな密やかな行為に専念していました

あたしの頬が赤く染まりゆく中で
高らかな高らかな貴方の声を聞き
あたしはひたすら目をつぶって昔の
密やかな密やかな夢を見続け
あたしの脳のなかで麻薬物質は
とめどなくとめどなく排出されゆき
あたしはひたすら、だ液を吐き捨てる
密やかな密やかな行為に専念していました


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