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~ LAZY LIFE ~
なにか
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なにか1
なぜこんなにイラついているんだろう。
原因はわかってるんだ。そう、原因は。
けれど、こんなにイラつくものだろうか。ボクは親指の爪を一噛みする。
生まれてこの方、こんな癖が出たことはなかったのに。まるで今は愛しいものを愛玩するかのように指を咥え。爪が欠け落ち鮮紅の涙液が迸ろうとも構わないくらい、爪先をめちゃくちゃにしてやりたい衝動に駆られていた。対象の挿げ替えだということはわかってるし、齧る行為に何の利点もないことはわかってる。けど飲まずにはいられない大人がいるように、齧らずにはいられないボクがいるワケで。そこの所は察してくれると嬉しかったりする。
そんな意識転換をしなければならない程、ボクの皮裏の憤激は深く淀んでた。
「どうぞ、お熱い内にお召し上がりを」
問題の対象は、こうやって常に変わらぬ表情でボクを見下ろす。差し出されるティーカップよりもまずボクの視界に入り込む赤。一瞬その真っ赤な瞳に含まれた艶然さに、悪寒にも似た戦慄が走る。純然たる対のルビー。抉り取って永遠にその光を奪いたい。ボクのものに。そのまなこはボクのもの。ボクの…。
さっきからどこかボクはおかしい。何かが違うんだ。いつものボクじゃない。まるで世界とボクの座標がずれたかのような印象さえ受ける。そしてすぐに気のせいかとも思えてくる。兎にも角にも相手にそうと気取られることは避けたかった。
結局ボクは受け皿ごとカップを引っ手繰ることで、何事もなかったかの様に振舞うことにした。途端にその湯気が清涼な香りを従えて、ボクの周りを取り巻く。カップには薄っすら黄丹色をたたえた紅茶が八分目まで注がれていた。確か紅茶に使用するお湯というのは95度から沸騰したてが基本で、それ以上でも以下でもその風味を甚だ逃してしまうのではなかったか。ティーポットにお湯を移しては一冷め。ポットからカップに注いでは二冷め。それでも適温を保ち得る紅茶こそ、飲み手に差し出されるに相応しい紅茶だと誰かが熱弁を奮っていた気がする。興味がないから忘れてしまったけど。などと所思しつつも口にした紅茶は、冬を律する毛布のようにボクを徐々に包み込んだ。恐らく『定石』を踏んで作られたのだろうな、自然とそんな思考が頭を巡る。
その後しばらく手でカップの中の紅茶を緩く弄ぶ。ボクは液体がこうして様々に光彩を放つのを見るのが堪らなく好きだ。決して世界は一色じゃないことを教えてくれる。そこでふと『このティーカップを受け取らない』という選択肢を選択し忘れたことに気付いて、また苛立ちが募ってくる。ボクはカップを受け皿に置くと、気分を少しでも常態に戻すため視線を一転。車窓の外の流れ流れる景色に馳せた。
見渡す限りの野原。他の存在を一切許さない土地。
そんな妄想が浮かぶほどに渺渺と広がる平原。そんな風景を見るのは初めてだったから、少し落ち着かなくてただただ嬉しかった。どこに視点を置いても網膜が映すのは常磐の色彩。勿忘草の空。
「どうです、いけるでしょう? 良いハーブを使っておりますから」
せっかく忘れかけていた疎ましい現実に、ボクは非現実の塊によって引き戻される。声主は専らボクの頭痛のタネよろしくウサギのピーター。そういえばピーター・ラビットっていうウサギがいたけど、ウサギにはピーターが多いのかなとか思っても口にはしない。
ボクは今彼(?)と賭けをしている。詳しいことは追々話すけど、とにかくウサたんとボクは――
「ピーターです。ピーター・ラビアン」
……
読心術の類は使えないハズなんだけど……。ウサギとて元は野生の動物、野生の勘は健在といったところか。まあ、このウサギ人にもそれが適用されるかどうかはわからないけど、一応気をつけておくことにしよう。人にだって『虫の知らせ』『第六感』だのと呼ばれる未知の領域があることだしね。
話が外れたけど、今ボクはこのピーターと悠長に旅なんかをしている。もちろん、宛の無い旅じゃない。それなりに目的は定まってる。だからこそ甘んじてこんな牢獄にも身を窶しているんだ。じゃなかったら、誰がこんなのと馬車で相席なんかするもんか。
そっと視線をピーターに向けると、相も変わらずティーポットを片手に携えたまま宙をぼんやり眺めている――ように見える。ウサギの目の勉強なんてしたことがないから、正直だいたいあそこを見てるんだろうな、程度の憶測しか成り立たない。そもそもウサギに人間の黒目白目の分類があるのだろうか? ないのかな? あの赤いトコ全部黒目だったりして。こういう時ばかりはネットが如何に情報収集の場として優秀かを嫌でも思い知らされる。今数分ネットを使わせてもらえるならば、きっとボクは一つ賢くなれただろうに残念だ。
いや、ネットとか言ってる場合じゃない気がする。
そもそもここは一体どこなんだ?
目を瞑って、気が付いたらもうこの馬車に乗り込んでた?
ここに来てから妙に頭の感覚が鈍くなったように思う。普通「ここはどこ。私は誰」は見も知らない土地に放り出された人間が真っ先に辿り付く疑問なんじゃないだろうか。
もしかしたら先程からの憤りは、この礼装のウサギのいけしゃあしゃあとした態度と存在そのものに憤然としていたワケじゃなく、漠然と置かれたこの不明確な状況への無意識から成る危惧だったのだろうか。
「目的地に着くまではどうぞご自由に。もし万が一就寝為さられてても、こちらで丁重にお知らせ差し上げますのでご安心をなさって下さいませ」
定期的に差し伸べられるティーカップ。ボクは不思議とそれに逆らえず、かといって口を付けないこともなかった。その結果にあるべき尿意も不思議とないため、まるで流転を謀るかのように刻がループしている、そんな錯覚に襲われる。
そこでふと脳裏に浮かんだことがある。
この紅茶のことだ。何か適当な配慮のもと、曖昧に沸かし入れられているのかと思っていたが、そうじゃあない。そうじゃなかったんだ。
いつでも彼の「どうぞ」の一言が聞こえてくるのは、ボクの意識が灰褐色の海に沈んだ時。ワケのわからない空間に非現実と二人きり、という事実にボクが殻に篭りそうになった瞬間。自虐的な笑みで有限のタンパク質ケラチンを砕こうとした刹那。
なるほど。どうだかはわからないけど、この紅茶にはこの世界において不慣れなボクの精神を安定させる何かが入っているのかもしれない。いや、紅茶自体にそうした精神安定の効能もあると聞くから、ただそれを利用しているだけなのだろうか。いやいや、そもそも常識なんて端から通用しないような状況なのに、ボクは何を今まで迷っていたのだろうか。甚だ自分の愚かさが恨めしく思えた。全ては常軌の中になんて存在しない。『では何が基軸なのか?』
ずっと前から目の前にいるじゃないか。答えが。非現実を内包したものが。
ボクは此度はそれと認識できるようにピーターに視線を送る。睥睨といってもいいかもしれない。今出来るささやかながらの反抗はこんなのが精一杯。むしろ相手には滑稽に映るかもしれないが、何もしないでおく事の方がよっぽどボクにとっては滑稽だ。すでに賭けは始まっていたのに、安穏としていたボクが悪いのだから蔑視くらい受けるのも致し方ないとさえ思える。
「ふむ」
ピーターが顎に手をあて唸るような挙措を執る。
この人間臭さも一々ボクの生理的な部分を刺激するのだが、今はそれ所じゃない。
いつまでも独楽が手の上で回っているなんて道理は通らない。現実だろうと非現実だろうとそうであることを彼に教えねばならないのだ。
「あなた様はそうした表情を人間社会でもよく為さるのでしょうか」
思いもしない語り草に思い切り出鼻を挫かれる。
何のつもりなのだろうか。
「いえ、ワタクシの興味本位からなのですが。人間という存在はそうしていつも表情をコロコロ変えて生きていて疲れないのかと思いまして」
ティーポットをずっと空中に留めたままのあんたには言われたくないけど……。とは言うまい。考えねばならないことは他にある。つまり『この質問の意図は何か? 何か重要なことなのか?』
さて、どうしようかな。
とりあえず相手の意図が見えない以上、自分のことをしゃべるのは得策じゃないと思う。ここは向こうに少ししゃべらせて様子を見た方がいいだろうか、やはり。
「あんた達はどうなの?」
「……そうですね。正直に申しましてワタクシには同族というものがおりません。存在していなかったという訳ではないですが。ですから、ワタクシ個別での答えであればお答えもできますが」
「じゃ、あんたはどうなの?」
「わかりません」
「それじゃ答えになってないけど」
「ええ、その通りなのです。けれど、ワタクシは自分自身のことが甚だわかりません。ですから、あなた様が一言下さることでその基軸を知り得ることが出来るのでは、そう考えました。ワタクシはワタクシであって、もはやワタクシではないようなのです。ですから、本当に不思議な不可思議な話なのですが、これがワタクシという存在個別の答えなのです」
また謀られてるんだろうか。
ボクはどっちとも掴めないまま、でもどこかでこれが本音の響きを帯びていることを否定していなかった。よくわからない、本当によくわからない妙ちくりんなウサギ。彼もまた何かの『基軸』を求めているという。
「これもボクだけのことだからね。ボクは生きるためによく表情を利用する。うん、たぶん『利用する』っていう言葉がしっくりくるんだと思う。だってボクにとっては、表情を見せるのは本音を晒すことじゃないからね。むしろ相手に本音を悟られないために表情はあるとさえ思ってる。だから凄く疲れるよ。気持ち悪くなるくらいにね。だってそうだろ? 無理矢理表情を歪めたり、綻ばせたりするんだから。したくもない相手に、したくもない場所でさ」
「止めることは出来ないのでしょうか」
「それを止めると、社会不適合者のレッテルを貼られるのさ。そのレッテルは死神の鎌と同等の力を持つんだ。少なくともボクのいた社会ではね。本音を顔に出して、言葉に出して。そうやって形にすることは許されていないんだ。自分を押し殺してでも相手のことを思いやれってのが美徳だとされてる。バカな話だよ。言いたいこと、伝えたいことも平気で心に仕舞い込んで。心じゃ泣いてるのに、笑うことこそ生き甲斐だって信じてる。終いには、それで『幸せ』だった、なんて錯覚して死んでくんだ。みんながみんなね。でも、彼女は違ったかな。そのせいで今はもういないけどね……、ちょっと待った。今のナシ。あー、いっか。あんたには隠す意味もないだろうし」
何を饒舌になってるんだか。
自嘲気味に笑ってみる。相手が人ではないからかもしれない。普段のボクはこんなに感情が流れたりしない。まるで軽風一つ靡かない湖の水面のように空々しい心。たぶん、それがボクの心。馬車という密閉された空間。そして非現実の世界。もしかすると、それがボクの何かを狂わせているのかもしれない。それより何よりさっきの紅茶! そう紅茶だ。それに精神高揚剤のようなものが入っていた可能性は高い。
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