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お姉様たちへ
ずいぶんと、御無沙汰いたしております。
お姉様たちが、何も告げずに旅立たれてから、季節は巡り、年の瀬はもうすぐそこ。明日からは師走に暦が移り変わります。
御元気でいらっしゃいますわね。
「冷たい空気は交感神経を刺激し、醜くたるんだ毛穴に喝を入れてくれる。ドミナの振り下ろす鞭のように、激しければ激しい程、冷たければ冷たいほどに、頬を刺す刺激は、美を喚起する。それは福音と言っても、いいくらいだわ。」
そう、冬はお姉様方が最も愛する季節。
いつも仰っていた言葉を、思い出しましてよ。
木枯らし吹く季節に、再会したいストーリー。
有吉佐和子の同名小説をドラマ化した、「悪女について」。
まさか、お姉様、お忘れになったなんて、お戯れはおよし遊ばせ。
当時の劇団四季の看板女優、影万里江を主演に配し、豪華キャストで彩られたその物語は、週刊誌連載の同時進行というセンセーショナルな企みにも関わらず、悲しいかな視聴率は振るわなかったそうな。
オープニングは、クリムトの「接吻」をはじめとした数々の官能的絵画で飾られ、他のドラマとは確実に一線を画した、製作者側の確固とした美意識が感じられる、当時、いや現在を通してみても、ドラマ史に燦然と起立しつづける、稀に見る作品だったと思うのですけれど・・・、やはり、時代が早かったのかしらねぇ。
物語は、謎多き美貌の実業家、富小路公子を知る関係者の回想によってすべて語られるという、港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ仕立てが、当時の流行りだったかどうかはさておき、人づてに聞くある人間のイメージは、実際に見知ったモノよりも尚、強烈に心を惹きつけてやまないという、ゴシップの真髄を逆手にとりながら、じわじわと視聴者をミステリーの深遠に引き込んでいきます。
そして、さらに私達を完膚なきまでに叩きのめした事件、これぞ、耽美的運命への神よりの啓示、とも言うべき、主演女優、影万里江のドラマ終了3年後の突然の死。ドラマの主人公、富小路公子の死とオーバーラップしなかった人など、当時存在したでしょうか。
美しい死というのは、選ばれた人にしか訪れないものなのですわ。
願わくば、もう一度この「悪女について」を、大人になった現在、じっくりと堪能したいものです。
当時私はわずか8歳。少女の皮をかぶった性悪な女の心をふるわせた名作の復活は叶いますものでしょうか。

(左)影万里江様
(右)藤野節子様
女優とはかくあるべし
芸術とはかくあるべし
初メンタル September 25, 2007
だからどっちなのかはっきりおし!! August 1, 2007 コメント(4)