美しい！と感じたもの

地下鉄のA駅では、銀座線から丸の内線へすぐに乗り換えが出来るようになっています。１つのホームで２種類の電車が走っているんですね。今日は、そこで観た光景。だいたい６０歳くらいの紳士と、同じくらいの年齢の女性が並んで電車を待っていました。２人は、何を話すでもなく前を見たまま。丸の内線の電光掲示板に「電車が来ます」の表示がついたとき、女性がそっと男性の右の手のひらを握って、すぐに一歩下がります。そして、唇だけを動かして「じゃ・あ・ね」と。（音声は聞こえません。）紳士は、前を見たままうなずくだけです。ホームに入ってきた電車。扉が開いて、紳士が乗り込むと、女性は胸の前で小さく手を振っていました。紳士は、小さく頭を下げつり革に手を伸ばします。電車の発車ベルが鳴って、プッシュと言う音と共に扉が閉まるころ、紳士の手がつり革から離れて、女性へ手を振りました。暗いトンネルに車体が包み込まれるころ、また元のつり革に手を伸ばして紳士は黙って前を見ていました。小さな別れが日常的にあるんですね。この別れのシーン美しかったです。