森貞述高浜市長訪問記


 平成14年7月15日に先進的な自治体経営をされている高浜市役所に森市長をお訪ねしましたので、その概要を報告します。
 お約束の時間よりも早く着いたので、ロビーで市役所の様子を拝見していて感じたことは庁内は省エネの冷房温度になっており、ノーネクタイで執務しているということを来庁者に説明して理解を求めています。この点は三重県庁と同じです。
 また、1階の市民課では市民の方用にソファーが置かれており、職員は立って応対していました。もちろんカウンターは車椅子の方が利用しやすい高さになっています。市民の方が利用しやすいように配慮がされていると感じました。
 組織を見てみると「行政経営課」というところが総合計画や企画、情報公開と予
算、財政を担当していて、企画と総務を一緒にした経営のセクションになっていま
す。そのほかの課も「まちづくり課」、「こども課」、「まなび課」という親しみが持て、わかりやすい名前になっています。
 そうやってロビーで約束の時間が来るのを待っていると、「いらっしゃいませ。
ありがとうございました」という名札をつけた森市長が庁内を歩いてみえるのに出
くわし、そのまま市長室へ自ら案内していただきました。
 以下に森市長から伺ったお話で印象に残ったことをお伝えします。
・職員は先輩・後輩といった関係があるので、前任者(のやり方)を否定できない
が、選挙でとおった首長にはそれができる。
・市民主体の市政にするためには「市民を束ねる」「仕切る」ということをやめないといけない。「場」を与えれば市民はまちづくりにしても、ヘルパーにしても主体的に動いてくれる。
・いろいろな市民活動を行政は財政面などでサポートすることがあるが、その際地区などによってやり方に差がつくのは当然であり、それを無理に同じにしてはいけない。事情によりそれぞれが工夫して昼食代もまちまちになっていい。
・市内にもトヨタなど大企業のOBの方がみえるが、この方たちの仕事で培った能力はすごいので、活用しない手はない。これまでは地域活動と縁がなかった。
・ブレーンはいないが、経済紙などで経済や社会の事象をとらえ、その中での自治体の経営を考えるようにしている。官は民と同じ土俵に立つという意識でやっている。
・組織が変わるには、人事が一番わかりやすく重要と考えるので、人事広報課には部長を置かず、市長直属にした。小さい組織(職員数400人)では起案者の顔と名前が一致するから、やる気のある職員には市長が見ているということが伝わり、それが職員満足度の向上につながる。
・ものごとには必ずニッチの部分があり、そこをつけるのは小さな組織である。その面では大きな組織に負けないという自負がある。          

 予定時間より早く、市長自ら案内していただき、予定時間を過ぎても私の話に熱心に答えていただき、感激の連続でした。台風が心配な中でしたが、出かけていってよかったとしみじみ思いました。
 経済では「ビッグ・イート・スモール」(大が小を飲む)時代が終わり、「ファースト・イート・スロー」(速いものが勝つ経済)になっていますが、森市長のことばには、ホンダの川本取締役相談役が言ってみえる「スモール・イズ・スマート」(たとえ企業規模が小さくとも、市場変化を予見する賢さを持つ者が勝利するという意味)ということが自治の世界にも現実化していると思いました。
 規模の拡大のみを求める市町村合併はどこかの銀行の合併後の混乱という失敗例を持ち出すまでもなく、実益がないということを認識しなければなりません。
 ネットワーク、マスコミなど情報源があふれている時代ですが、一番新鮮で、中身のある話はやはりフェイス・ツー・フェイスでないと得られません。これからも
民、官を問わず、志の高い方のお話をお聞きして、勉強させていただきたいと念
願しています。  



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