服部幸應氏のお話



○日 時:平成16年5月12日(水)14:00~15:30
○場 所:松阪コミュニティ文化センター
○講 師:服部栄養専門学校理事長・校長の服部幸應氏
○テーマ:「スローフードと食育」    
○内 容:以下のとおり(文責 山路)

・この30年間で核家族化が一段と進み、女性の社会進出もあり、箸を
もてない子供が増え、「いただきます」等のあいさつができない子が増
えている。衣食住の伝承ができていない。
・スローフードの本場はヨーロッパであるが、そこには日本人が忘れて
しまった大切なものがある。
・お母さんから寄せられる相談も「ブルーのおしっこが出ない(紙おむつ
の宣伝の影響)とか「離乳食にプリンを食べさせた」など、信じられない
ものが多い。
・糖尿病が増え、アレルギー体質は国民の1/3になっているが、その
原因はダニ、シックハウス、食べ物である。
・子供に接している時間が少ないし、子守唄など聞かれなくなった。義務
教育修了までにどんなものを食べたら安全か教える必要がある。
・病院(産婦人科を除く)の食事などは食べるほど入院が長引くと言われ
ている。バランスがよく、おいしくないと健康にならない。
・蛍光灯は食欲を減退させる。一番いいのはローソクだが、白熱灯でも
いいので家庭で実践して欲しい。
・少し前の調査になるが、世界20ヶ国の規範意識の調査で「先生を尊敬
する」という項目では中国が80.3%、米国が82.2%、EUが82.7%で韓国
は儒教の精神が活きていて、核家族化もそれほど進んでいないからか
トップの比率だったが、日本は21%だった。
・一般的にこの比率が50%を割ると国家として危ないと言われる。目上
を尊敬しない国になるからだ。
・米国では8歳までに悪いことをしたら手の甲とお尻をたたくことで躾ける。
個食ということが言われたが、今はバラバラ食である。スローフードの前
に家庭の躾けが要る。世界で一番料理ができない子供を育てているの
が日本である。
・欧米で箸を持てないとエリートでないと言われるが、料理の鉄人では箸
をもてない(握り箸)タレントがいて困ったことがある。
・食糧問題は農業、漁業、酪農に関わってくる。漬物を漬ける家庭が少な
くなったが、売っている漬物は「味付け野菜」に過ぎない。
・スローフード運動は一生懸命つくっている生産者を応援することでもある。
JAのお米の窓口を3つに分けさせたことがある。1つ目は農薬なしの生産、
2つ目は減農、3つ目は農薬たっぷり。そうすると誰も3番目の窓口では買
わなくなり、自然と農薬の使用が減る。競争させないといけないということ
である。
・日本は、食糧自給率が先進国中最下位であるが、残飯率は世界一に
なっている。レストラン等が自己責任を明確にした上で残った料理を持ち
帰らせるようにしたらいい。
・本当に便利になった部分は活用するようにしてそれ以外はゆっくりとした
らいいのではないか。
・知育、徳育にプラスして食育が大事である。(以上)

○感想
・最近、トレンドとしてスローフードをはじめとしたスローが強調されるが、
スローばかりではなく、ファーストで処理しなければならないことはある。
・要はスローとファーストの両立が大事であり、ファーストで処理すべきこ
とはさっさとやってしまい、後は、スローなライフスタイルを楽しむことを
提唱し、実践していきたいと思う。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: