第1回オフ会&講演会の報告(森高浜市長)


2 場 所:名古屋国際センター5階 第4、第5会議室
3 内 容:以下のとおり
 (1) 講演
   ① 講 師:森貞述高浜市長
   ② テーマ:「住民自治の確立とこれから求められる職員像」
   ③ 内 容
 ・今日、6月27日は企業にとっては、株主総会が集中する特別な日である。
 シャンシャン大会で済む時代は終わり、まさにガバナンスが問われている。
 ・自治体も同じである。あえて経営と言わせていただくが、自治体経営のあ
 り方が問われている。三重県の北川前知事はマニフェストを提唱された。こ
 れは従来、抽象的な表現だった公約を期限付、数値付にするものである。
 ・経常利益日本一のトヨタは取締役の報酬が2,100万円であるが、カルロス・
 ゴーンにより立ち直ったとはいえ、トヨタとは開きがある日産の役員報酬は、
 1億4千万で、トヨタの約4倍である。これをどう考えるか。
 ・かつて地方自治体の置かれている立場は護送船団であったが、今後は、
 勝ち組と負け組に二極分化する。
 ・企業に起きている変革と同じ現象が、自治体にも降りてくる。基礎的自治
 体が自立するときである。
 ・後で新聞を回すが、最高裁の小法廷で固定資産税に関して注目すべき
 判決が出た。かつて土地を持っていることが価値であったが、活用しなけ
 れば価値がない時代になった。
 ・固定資産税や都市計画税は市町村にとって基幹税であるので、この判決
 の持つ意味は大きい。
 ・持続可能な自立した都市を目指す必要がある。「じりつ」にはもう一つあっ
 て「自律」-身の丈にあった分相応ということも大事である。
 ・マーケット・オリエンテッド、コンシューマー・オリエンテッドということ、つまり
 市民志向でいくべきである。
 ・自治体は、これまで供給側の論理でやってきたが、今後は需要者側の論
 理が求められる。
 ・納税者である市民には3つの顔がある。株主、利用者、パートナーの三つ
 である。供給者側の論理は通用しない。「予算、人がない」ということをよく
 言うが、ない中でサービスをどう提供していくかである。
 ・職員が「市長が恥をかくいけない」とレジュメをくれたが、書いたものを読む
 のは苦手なので置いておきます。
 ・任期中のことを振り返ると第一のターニング・ポイントは再開発事業だった。
 JR名古屋やほとんどの地方都市は、商業都市であるが、駅前再開発にあえ
 て専門学校(日本福祉大学)をもってきた。
 ・職員には「プロセスを大事にせよ」と言っている。結果の責任は首長が取れ
 ば良い。
 ・第二のターニング・ポイントは高齢社会の問題である。かつて高齢化、国際
 化、情報化(今と違う意味)ということが言われたが、あれもこれもはできない。
 行政は黒子に徹しながら、その担い手となる素地を育てていく。
 ・12年1月に地方分権一括法と介護保険法が成立したが、これが第三の転機
 である。自己決定、自己責任になった。福祉自治体として福祉ユニットを活用
 することになった。
 ・介護保険では、県と市町村の関係から国と自治体の関係へと変化する中で
 市町村の力量が試された。供給側でないものを生み出した。
 ・第四番目の転機としては、市町村合併を含めた流れである。地域福祉につ
 いては住民、地域を切り口に考える。
 ・住民参加については、職員も住民として参加する。恥ずかしい話だが、第四
 次総合計画までは策定をコンサルに丸投げだったが、住民のワーキング・グ
 ループがコンサルを入れずに作った。
 ・港湾の管理について、プレジャー・ボートの放置の問題がある。PFI手法を取
 るにはVFMの考えが要る。職員にとって挑戦していく手法となる。どれだけの
 エネルギーを使うかを学習するプロセスである。
 ・家族ケアと施設の中間にユニット・ケアがあり、第一号を杉並区がつくり、高
 浜市は第二号である。
 ・財政がきつくなったときに、いろいろな選択肢、引出しを持っていることを示す。
 ・社会福祉法人の理事を県会議員がやっている場合が多いが、彼らは大規模
 特養を求めている。
 ・挑戦を続けていけば、風穴を開けることができる。
 ・首長が政治を使ったら職員は育たない。担当を飛び越していくと、職員を殺す
 ことになる。政治を使うときはお礼を言ってもらうときだけにしている。
 ・首長の任期は4年であるが、自治体は企業と同じゴーイング・コンサーンである。
 ・合併の問題には、行政資源の最大化、合併過程にある圧力がある。企業には
 小が大を飲む合併や対等合併があるが、自治体の場合は、小が大を飲む合併
 や対等合併はない。
 ・職員には強いものを徹底的に伸ばせと言っている。高福祉、高負担と言い切っ
 ている。自治体OBの方は、大変と言われる。(悪い意味)
 ・統一地方選挙では「ただにします」という発言が多かったが、受益と負担の関係
 が要ると思う。
 ・常に他との違いを際立たせていくことは、いばらの道だがやらなければならない。

  ④質疑応答、意見交換
  冒頭のトヨタと日産の役員報酬の話は、ゴーンが社員に痛みは強いるが成果
 が出れば、他はどうあろうと横並びではなく、ちゃんと報いるということだと思う。

 Q) ブレーンはいないが、経済紙を参考にされているということだが、市民の声を
  どのようなアンテナでつかむようにしているのか。
 A) 父親との約束で家業(醸造業)はやめないことにしているので、消費者の声は
  商売からも入ってくる。
   ものごとには経済事象から入るようにしている。それが自治体にどう返ってくる
  か。成果主義でやっていくことが求められる。定型的に求められるものではない。
   選挙の時期も声が入るが、市長室に閉じこもらないで現地や現場へ出かける
  ようにしている。
   「よきに計らえ」では、良い情報しか入らない。「高浜市行政行動規範」をつくっ
  て唱えるようにしている。

 Q) 市民満足と職員満足の関係についてどう考えるか。
 A) 悩ましい問題であるが、「自治体職員は」という枕詞に対してどちらに重きを置く
  か。職員の時間単価とパート職員の差も考えないといけない。公認会計士に「役
  所の職員は変わらない」と言われる。市内の企業の経理を見ていると公務員は
  まだまだ恵まれているということだ。
   拠って立つところは税ということ、市民の納税意識を考えないといけない。賃金
  では職員満足は難しいが、登用や研修では図っている。

 Q) 住民が怒らない、自治体が再建団体にもならないことが問題ではないか。
 A) 「マーケット・セグメントしろ」と言っている。自治体はあまねく公平と言われるが、
  そうやれるか。郵便局はあまねく公平だそうである。
   自治体職員の最後の砦は政策形成能力だと考えている。

4 連絡事項
  次回は8月下旬から9月上旬にかけ、尼崎市の白井市長をゲスト・スピーカーに
 関西地区で開催する。




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