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シンポジウム高浜記録(事例発表)
土木技術者で工事検査専門職であった私が、5年前に自治研修所の所長を命ぜられました。所属長研修を行っていましたが、ある課長はずーっと5日間の研修期間中寝てました。これでは、ダメだなと思い、税金で研修をするからには、効果的なものにしようとしました。まずそこでやりましたことは、これまで行われていた12の階層別研修を、3分の一の4階層(新採用、係長、補佐、課長)に縮小し、研修期間も1週間から4週間行われていたものを僅か1日としました。その代わりに、基本的な研修は職場研修指導者を養成し、職場で日常的にやっていただくことにしました。そして、研修をやって人事を行う、人事と研修の連携を考えました。職についてから実施する階層別研修に代え、職に就く前に研修を行い、能力証明された者を当該職に就けるという、人事と連携した研修に構造転換をしました。この能力測定をするためにコンピテンシーを導入しました。
2.コンンピテンシーとは何か?
コンピテンシーとは能力のことです。ですが、これまで能力測定で使われてきましたのは、学習したものをどれだけ習得しているかを測るための「知能指数」と呼ばれるIQでした。IQは100年前にビネーという人が、フランスの軍隊を強くするために開発したものです。これに対して「心の知能指数」などと言われていますEQを中核としたコンピテンシーが1970年代に、アメリカの国務省で誕生しました。それは、高い成果を上げてきた外交官は、IQよりも自分の感情を知って、それを旨くコントロールし、相手の気持ちを察して共感しながら、いつもプラス思考で信念を持って取り組んでいることが分かったからなんです。EQを中心にその職務を遂行するうえで必要となるコンピテンシー、すなわち能力要素を定義しまして、そしてレベルを5段階くらいに分けて表示し、その人がどのレベルにあるかという能力要件を測定できるようになりました。
このコンピテンシーは、日本では97年武田薬品が、99年富士ゼロックスが導入し、その後資生堂、花王、アサヒビールなど、大企業は勿論のこと、中小企業までものがどんどん導入をしているところです。
3.自治体でコンピテンシーを導入および作成をしているところ
現在私が把握していますのは、99年に静岡県、01年宇都宮市、三重県、神奈川県、大阪府、高知県、02年豊中市、東京都、03年岸和田市、岩手県、04年加賀市、長野県、佐賀県(作成中)、伊勢市など15自治体ではないかと思います。その使われ方も、賞与や人事考課、育成、登用、配置、キャリア・デザイン研修、総合人事システムとしてなど、様々な使われ方がされています。
4.高知県のコンピテンシー・システム
高知県のコンピテンシー・システムの目的は、住民の価値を高める視点を常に持ち、仕事の出来る人材を育成・登用していくこと」、と「住民の価値を高めるゴールを設定し、そのゴールに向かってプロセスを設計し、着実に成果を上げていける能力を身につけてもらう」という、この二つです。 財政状況などから変革型に特化しているところ特徴があります。
5.能力要素
高知県のコンピテンシーは「これからの県庁の使命を果たすために必要な変革型リーダーの行動能力」として、10の能力要件項目を決めました。その項目は、「倫理」をベースにして、顧客である住民の価値を高める仕事をしていく「県民本位指向力」、そのために「リーダーシップ」を発揮して、県民や職員と「コミュニケーション」をとりならが、職員の自己実現も意識し「職員満足度向上」に努め、「現状を打破する企画(ブレイクスルー思考)」をして、企画および実践のための情報を集めることのできる「情報指向力」があり、その仕事を「プロジェクト・マネジメント」として「危機管理」をしながら、「プロセス思考」で進めていくこととしました。
6.コンピテンシー・レベル
高知県のコンピテンシーは、変革型に特化して使っています。レベル0は「従来行動をしており、変革の意識がない」。レベル1は「人が変革を言えばやれるという、変革受動行動」です。レベル2は「変革を提案している」です。レベル3は「変革達成行動」で、課長職としての期待レベルです。レベル4は「変革主導行動」で、これがあれば、副部長、部長コースが開けているということになります。レベル5は「革新創造行動」で、すぐに大企業の課長・部長を務めることができるレベルになっています。
7.評価結果
コンピテンシーの高い者は、どの項目も高い得点を獲得しています。低いものは、危機管理能力がことのほか低く、なんにも心配していませんから、情報を取ろうとなどしません。また、新しい概念であるプロセス思考やプロジェクト・マネジメントなどの得点が低くなっています。
それから、実践企画書の評価得点とコンピテンシーの総合得点の間には、一定の相関関係があります。
高知県では、変革型リーダーとして必要な能力要件を10項目定義しました。そして、手挙げ式で応募を募り、6科目について1日1科目の割合で1週間の講義を行います。そして職場で3ヶ月かけて行ってもらう事務改善の実践企画書を提出してもらいます。企画書は、講義がどれだけ理解されているか、自分が3ヶ月のリソースを与えられて中で、顧客の価値が高まった状態として「成功の情景」というゴールを定めてもらい、そのゴールに確実に到達するプロセスを設計してもらって実践に取り組んでもらうようにしています。
最後に外部評価者1人を含む4人の評価者の前で、実践内容を20分間プレゼンテーションしてもらい、評価者と40分の質疑応答をして、評価者がコンピテンシー・レベルを確定し、一定のレベルに達している者は、係長や課長に登用・配置されます。
8.効果
これまで50歳で課長になっていたのが、10歳ほど若い課長が誕生しています。そして、このことにより、これまでの加齢序列的な人事がなくなり、本当に変革を進めていけることのできるリーダーに率いられた組織として脱皮できることになると思っています。
9.おわりに
コンピテンシーの高い者が実践しますと、数々の感動的な話が生まれています。取り組んだメンバーが感激し、仲間の会を設けたり、県庁全体にその取り組みがひろがったり、これまで不信を持っていた県民が、逆に県職員に対して信頼を寄せるようになったりしています。
逆にコンピテンシーの低い者が実践しますと、直属の部下からも協力してもらえないという現実があります。この者には、これまでいかに職権で仕事をさせていたのかに気づいてもらい、できるだけ多くの者から協力の得られる仕事の仕方や、人との良い関係をこれから築いていただけたらいいのになあと祈っているところです。
今年で4年目、まだまだ、このシステムもヨチヨチ歩き状態ですが、受講生は受講してよかったと言ってくれていますし、やっと成果が出始めたところです。これからはメンター制をさらに充実し、Eラーニングと補助教材の充実を通して、システムの高度化を図っていこうと考えています。
(2) 自治体コールセンターの取り組み/札幌市 北川 憲司 これまで役所は役所の都合でサービスしていた。一方的にサービスを提供して、財政が悪化したら役所の都合でサービスを削減する。これは、非常に市民からしたら迷惑な行政。
市役所が市民に体を向けなおす時期がきているという認識で、札幌市でのコールセンターの経験をお話します。
コールセンターのサービスは簡単に言えば、電子申請の電話版とみればよい。
あなたのまちの人、あなたの役所の困っていることは何ですか?この簡単な問いで、問題解決のサイクルをまわすことが大事。CRMは経営方針そのものである。
最近、協働・パートナーシップ・住民自治などとよく言われています。その前提は、市民から信用される市役所に関係を改善すること。パートナーになってほしいというのは、「結婚してください」といっているようなもの。いままで話を聴かなかったのに突然信用してくれるわけがありません。CRMは、市民の問題解決を共有していくための恋愛期間だと思っている。
自治体の経営状況のひとつに団塊世代の大量退職がある。札幌市においても、今後10年で三分の一以上の6400人が退職してしまいます。その補充は全員分はできません。ベテランのナレッジの維持、少ない人員でいかに役所を回すか、が課題。
この例では、皆さんどっちがよいでしょうか?
市民から、コールセンターに問い合わせがありました。すぐに解決して400円のコストがかかりました。市民もすぐに解決して、満足度があがりました。
市民から、市役所に問い合わせの電話がありました。「それは、どこが担当課か調べますので、しばらくお待ちください。あ。分かりました、○○課です。電話をかけなおしてください。・・・・。○○課ですが、今日は担当者が不在です。また、後日改めて、電話します。」これで、市民は怒ってしまいます。クレームが出ました。クレームを担当する課が、該当する課に経過の報告を求めます。担当課が経過を文書にまとめて部長決裁をもらって、クレーム担当課に文書で回答して、それを市民に回答します。
コストは6000円、市民の満足度が下がりました。貴重な職員の労力をどこに注力すべきか?高度な業務に特化した運営形態へとするでしょう。
お役所仕事の防止、電話中心のサービスで、障害者、高齢者にもサービス可能、ナレッジの共有化ができる。
アウトソーシングにより、産業振興、雇用創出の相乗効果もある。安価で良質なプロのサービスをアウトソースできるようになった。
相談のマルチチャンネル化により、携帯のメールなどでも相談可能になった。また、税の初期督促なども可能、多機能のコールセンターにしたい。総務省には、全国に呼びかけて3桁番号になれば最高である。もし導入を検討したければ、私が皆さんのコールセンターになるので、ぜひ声をかけてほしい。
(3) 『自治体DNA運動の取り組み』(一成果としての1/2委員会)/福岡市 秋吉 誠【イントロ】
◇博多といえば「からし明太子」。明太子はスケトウダラの卵から作られる。スケトウダラを韓国語で「メンタイ」と言い、その卵だから「明太子(めんたいこ)」。
◆今や自治体の間で、博多といえば明太子と並び称されるぐらい有名になった福岡市の「DNA運動」。
◇いずれも発祥は、海の向こう。スケトウダラはオホーツク海・ベーリング海・アラスカ海が漁場であり、DNA運動は、アメリカのデビッド・オズボーンさんが提唱された『行政革命』が発端ですから、太平洋を越えてきたわけです。
◆余談ながら2年前の2002年8月29日に福岡市がオズボーンさんを招聘して、DNA運動についてプレゼンテーションも行った。
【DNA運動】
◇P36から福岡市の「DNA運動」について書いています。
◆"DNA運動"とは、すべての職員が自らの仕事の価値と意味を認識し、課題を見つけ自ら解決に取り組む運動。市役所の隅々まで活力の溢れる組織風土・やり甲斐のある職場づくりを目指しています。
基本的精神は「できる、納得、遊び心」。課などの単位で自主的、自律的な運動として取り組むもので、画一的な結果を求めるものではなく、より良い方向に向かう取り組みのプロセスを重視します。
◇「DNA」という言葉は、職員によるベストブラクティスチームが考えついた。
D:「できる」から始めよう。できない、しない理由から探さない。
N:納得できる仕事をしよう。市民の納得を自分の納得に。
A:遊び心を忘れずに。ガチガチな考え方や対応でなく、ゆとり、人間らしさ、明るさを持って取り組もう。
そして、ベストプラクティス(優れた取り組み)を認め、共感・共有し、広めることで、継続的にレベルアップしていきます。
◆平成10年の福岡市長選挙において、現職3期連続当選の桑原敬一市長を破って、山崎広太郎氏が当選。福岡市にとって、戦後初めての政変であった。
◇翌年8月。市長公約に基づき「サービス精神と経営感覚に立脚した新たな自治体経営」検討のために外部委員会『福岡市経営管理委員会』を設置した。
◆委員会のメンバーは、JR九州の会長だった石井 幸孝(よしたか)さんを始め7名で、後でコーディネーターを務めていただく、関西学院大学の石原 俊彦先生も、そのお一人です。
◇私も助役から「お前の仕事の半分以上はこれに当たれ」と言われて事務局側として参加したが、委員会はまさに初期の高速道路民営化委員会を彷彿とさせるような全然シナリオのないバトルだった。
◆一例を挙げると課長7名から構成されるプロポーザル委員会で、全職員からアンケートをとった4000件の中から「青・黄・赤」に分類した。青:今すぐ実行可能、黄:検討が必要、赤:法律等制度的に無理。8割は青であったが、皆が赤だと思い込んでいた。この"やろうと思えば出来る"という壁を越えることが一番難しい。
(1)DNA運動の全体像は、P37に示している9個の箱で表れており、これを全部やっていって、最終的には右上の『コミュニティの自立経営』につながるように、やっていきましょうね、という話です。ところが残念ながら、本来はこれ全体が『DNA運動』であるのに、左下のDNA運動だけがクローズアップされてDNA運動=事務改善運動として捉えられたため、段々段々尻すぼみしていったというのが現状です。
(2)P39から42に「DNA計画実施の成果」について詳しく書いています。なぜこういう細々したものまで載せたかという、「こういうこともやれるのか」ということを皆様に知っていただきたいと思ったからで、後でみていただければ、と思います。
(3)P38の(3)に「DNA運動の拡がり」のところで、"DNAどんたく"のことを書いています。"どんたく"は元々"ゾンターク"というオランダ語に由来するもので、"お祭り・祝日"という意味です。「DNA運動」を推進するため、各局におけるDNA運動の発表の場として、設けられているものです。平成13年2月に第1回が開催され、以後DNAどんたくは幹部・上司・同僚が「活動と努力を認めて、褒めて、励ます」会として定着し、毎年2月に開催され、現在までに4回実施されています。
このような動きは、全国の十数カ所の自治体に飛び火して、後でパネリストをお願いしている尼崎の白井市長さんの所では、"YAAるぞ運動"、名古屋市さんでは"名古屋カップ"などとして展開され、本家本元よりも凄いんじゃないかなという気がしています。
【1/2委員会】
DNAの成果の筆頭に書いてある「1/2委員会」は、私が直接担当したものです。
(1)『1/2委員会』の成果
清掃工場の定期修理費用の前年度比50%削減を目標に、リエンジニアリングの手法で業務を見直
した結果、大幅なコスト節減を達成し、2002(平成14)年2月議会で310,000,000円を減額補正した。平成13年度の第2回「DNAどんたく」において『ベストDNA賞』を受賞
(2)現場主義の徹底(パートナーシップ の強化)
◇顧客とは誰か? →いきなり市民では遠すぎる部署が多い。
工場整備課→清掃工場職員→市民〈後工程はお客様〉
清掃工場の皆様を通して初めて市民が見えてくるのではないか
◆情報格差の解消 →本庁が持っている情報を積極的に開示することを最優先
◇意識のバリアフリー →本庁がエライという意識の払拭
◆"ご用聞き"→現場の実状を知るため、こちらから出向いていって「どういう問題があるんですか?」「何が困ってるんですか?」「どうしたいんですか?」ということをかなり膝詰めで聴いていきました。
(3)当時の状況
◇福岡市が処理している可燃ごみは、右肩上がりで増えていた。
※現在、全国のごみの伸びはほぼ横ばい、決して減ってはいない。この状況は、昭和50年代の後半とよく似ている。景気の回復基調が見られれば、ごみは急増する恐れもある。
◆修繕料も、右肩上がりで増えていた。
特に平成6年度(1994)くらいから急激に増えていたが、財政課もごみ処理を優先させるため、バンバンお金をつけた。
◇私は、長年、廃棄物処理施設の建設・維持管理に携わってきていて、このまま予算が膨らむのは非常にマズイと感じていた。
(4)発想の転換
◇ 定期点検修理というのは、年に1回やるんですが、今まではお金があるから、3億円予算があったらキッチリ3億円使っちゃう、ということをやっていたわけです。極端に言う、分解しなくてもいいような機械までどんどん分解しちゃう。機械は分解すれば調子が良くなるかという、そんなことはない。かえって具合が悪くなる場合もある。ならば、そんな予算は使わないで、不要不急な機械は壊れた時に替えればいいじゃないか、という風に考え方を変えたのです。
◆ だから予算を半分にしよう、と考えたわけです。もちろん、いきなり言い出したわけじゃありません。そんなこと言ったら「バカだ」と言われるだけで、誰も相手をしてくれませんから、「まず考え方を変えましょうよ」と言ったわけです。
(5)徹底した権限委譲
◇本庁が色々やるんじゃなくて、「現場の人が考えて下さいよ」、「あなた方が一番分かってるんでしょう」だから、現場でどんどんやって下さい。今まで本庁で取り仕切っていた、予算要求→設計→工事発注→監査を原則として現場に任せるわけです。
◆ この時、面白かったのは現場の上の方の人達は、すごく嫌がった。権限委譲なんか本音では、誰だって嫌なんです。責任が伴うから、そんなことはしたくない、というわけです。
◇若手の職員は、やる気があるので、工場長からヒラの職員まで全員入れた中で、議論をした。そうすると工場長も反対できないわけです。それで実行しちゃった。
(6)「1/2委員会」の実績
◇西部工場の焼却炉定期修理で、対前年度比35%マイナスを達成!
◆3工場全体で、対前年度比20%削減に成功。
◇予算総額15億7千万円に対して、3億6千万円の削減。
◆計数整理を行い、3億1千万円を予算の減額補正を行った。
(7)"バカの壁"
◇部長連中は、過激なパフォーマンスを恐れている。「DNAどんたく」で3億6千万円の削減というような具体的数字には、言及しないことと釘を刺された。→発表では、3億円の宝くじ程度という表現にした。
◆「1/2委員会」という名前が生意気だ、と言うわけです。「効率改善委員会」あたりの無難な名前がいいんじゃないかという意見が強かったが、断固押し切りました。
◇減額補正することに対しても、強い抵抗感があった。
◆従来の発想では、市議会から見通しの甘さを指摘される恐れがあった。
共産党の議員さんから、「元々の予算査定が甘かったのではないか、以後注意するように」との発言がありました。まぁ建前論ですから、「ご指摘の点を踏まえて、以後注意します」と答弁すれば、何と言うことはない場面です。ところが、日頃から予算執行については厳しい質問をされるT議員が、「ちょっと待って欲しい。職員が必死になって予算を削減したことは大いに褒めるべきではないか。今のような発言では、二度と減額補正なんか上がらなくなってしまう」と発言されたのです。委員会で議員さん同士が議論するというのは異例なことですが、その場の雰囲気は「もっともだな」という感じで我々のことを肯定していただきました。
【『1/2委員会』から見えてくるモノ】
(1)「1/2委員会」のその後
◇私が平成14年度に職員研修センターへ異動。
◆平成15年度より「1/2委員会」を「技術調整会議」に名称変更。こうなると大体、腰砕けというのが分かりますね。
◇人事異動等により工場の技術力が低下し、メーカーの言いなりになって定期修理金額の削減が見られない。
◆ 工場の自主性に任せていると、工場間のバラツキが出てきているので、平成16年度から工場整備課が各工場の指導を強化する。
◇なぜ、後退してしまうかと、常に旗を振ってやかましく言う人間がいないと、皆「やらなくても、いいかなぁ」と思ってしまう。
(2)DNA運動の現状(P44)
◇職員のアンケートでは、「もうDNA運動なんて止めてくれ!」という意見は根強い→改革疲れ
◆市議会議員さんからは、「全てが中途半端だ」という意見がある。→身近な例では、"見やすい名札"の不徹底、"電話に出たら自分の名前を名乗ろう"という運動もなかなか進んでないじゃないか。
◇私は17年前から、こういう"見やすい名札を作る会"会長をやっている。会員はゼロだけど、賛同する人は増えてきて、区役所や交通局など徐々に色々な職場に拡がっているが、まだまだ半数以下しかつけていない。
◇デビッド・オズボーンさんに「1/2委員会」を説明した時も、「それだったら、ボーナス出たの? 昇任したの?」と聞かれた。そんなことないよ、と答えると、「そんなことで、どうして続くの?」と非常に不思議な顔をされました。そういう意味で、 "やる気を持続させる仕組み"に乏しい。
(3)DNA運動の展望
◇今年度から市長は、DNA運動の最終目標である『コミュニティの自律経営』に取り組んでいます。
◆ 福岡市は,本独特の制度として昭和28年から半世紀にわたって続けてきた非常勤特別職である町世話人制度を,3月いっぱいで廃止しました。新たに,自治会や町内会,各種団体で構成する「自治協議会」というものを作って、住民自治をどんどん高めていこうとしています。
◇結構混乱も起こってまして、上手くいくかどうか分かりません。市長も政治生命を賭けて、住民がやるべきことは住民がやるんだ、市民と言ってもお客様ではなく主権者なんだから、「ダメなものはダメだ」とハッキリ言え、と言っています。
◆市長自身の強い意向で、今年度から市長室に「DNA課」という文字通りDNA運動を推進する組織を作りました。課長・係長・係員の3人しかいない組織ですが、本気でやっていくつもりですから、まだまだDNA運動は死んでいないわけです。
◇「隣の芝生が青い」とは誰もが思うことです。DNA運動は、福岡市役所職員よりも他都市の方の方が、注目しています。他都市に行った時によく分かるのですが、「福岡市のDNA運動は凄いですね」と言われます。内心では、全然凄くないじゃないかと思うのでする最近よく分かってきたのは、「どうも他都市も大したことしてないんじゃないか」というのが一つ。もっと大事なのは、私がなんでこんな所でしゃべってるかと言いますと、皆さん方から我々がエネルギーをいただく、"お互いが励まし合う仕組み"が大事じゃないか、と思うからです。だから今度、皆様方の所へ福岡市職員がお邪魔した時は、「福岡市は凄いことやってるんですね」と言って欲しい。「本当は違うだろう」と思うのは心の中だけにしておいて下さい。言われた職員は、「福岡市は、そんな凄いことをやってるのか」と思って元気になるわけです。それを私は"元気のお裾分け"って言ってるんですが、そういう形でお互いに高め合うことによって、少しでもこの日本という国が元気になることを願っています。
「4 パネルディスカッション」に続く
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