長崎オフ会記録2


※事前アンケートの内容について、ファシリテーターの茂田さんから説明が行われた。
田上市長の講演を基に、お互いの気づきを聞きながら、意見交換を行うことをグループワーク(GW)の目的とした。
GWの時間は30分で、その後、各班(A~Eの5班)から1~2分の発表をお願いした。GWでは、模造紙に付箋を貼り付けたりして、意見の集約を図った。簡単な自己紹介等から、グループワークが始まった。

※各グループ(班)に、田上市長が4~5分を目処に立ち寄り、各班1~2名から質問を受けた。市長のエスコート役は、山路さんから行っていただいた。
(C班)
C班の方から、市長が尊敬されている中村天風氏の言葉の中で、好きな言葉は?との質問が出た。
市長から、中村天風氏の著書を紹介していただいた。
例えば、チベットへ連れて行ってもらった人が、何も教えてもらえないことに不満を言うと、それは、あなたが入れ物を空にしていないから、吸収することが出来ないと諭される事例が紹介された(自分の思いが強すぎると吸収することも出来ないようだ。謙虚に耳を傾けることが出来る「準備」(入れ物を空にすること)が大切だ。)。空になったら、教えることも出来るとのことだ。
また、人が「強く思ったことは必ず実現化する。」(すべては、自分が思ったとおりになる。)ことについても、紹介していただいた。
(B班)
B班の方から、市長が公務員になった動機について、質問が出た。
市長は法学部出身で、公務員採用当時、神奈川県の長洲知事を中心とした地方の時代(市町村は、末端ではなく先端だ。)に共感していた。また、長崎の新市長となった本島氏にも共感した。
B班の別の方から、職員から市長に当選して苦労していることについて質問が出た。
市長は、現場を分かっているつもりでいたが、やはり現場に出かけることが大切であると実感していることを紹介していただいた。
長崎市では、7つの自治体が合併した。合併後、コミュニティが弱まっている。地域からは、祭り等が出来なくなるのではないかと心配する声も出ているとのことだ。
このようなこともあり、地域行事に対する市の補助は継続している。しかし従来、市役所における担当は、運動会はスポーツ振興課で、祭りは自治振興課、ペーロンは観光課とそれぞれ違うなど、縦割りになっていることに気がついた。住民の側からすると、いずれも交流の場であることに変わりがないので、来年度からは行政センターに一元化することにした。
(A班)
A班の方から、若い人との付き合い方と一皮むけた経験について質問が出た。
市長は、現場に出る機会が多く、外との交流に時間を取られ、職員との交流の時間が少ないことを気にしている。
このため、市民との「ちゃんぽんミーティング」のような会合を、職員向けにも行うことを決めた。この会合は、市役所っぽいとのネーミングで「市っぽく手弁当会議」と名付けられて、月1回行っている。(「しっぽく」が、市民とのミーティングである「ちゃんぽん」よりも豪華という印象があるため、「手弁当」という言葉も入れた。)
※「市っぽく手弁当会議」では、昼休みに参加者が弁当を持ち寄って、市職員が自ら提案したテーマについて、市長と直接意見交換を行っている。
この会議の印象として、市役所内でも、若い人が育っているところとそうでないところがあるという印象を受けている。
一皮むけた経験としては、採用2年目の広報時代の事例を紹介していただいた。
当時は広報も手書きで、原稿やレイアウト用紙を使用していた。初めは、どこから手を付けて良いか分からず、様々な雑誌や書籍を参考にした。そして、自分の中に蓄積がないときには、まねをすることが大切であることを理解した。
「守・破・離」が大切で、最初はまねをしたりして、これまでのやり方になじみ、次いでそのやり方を変えていき(破)、達人になれば、独自の境地(離)に達することもできる。ただ、この「離」の境地に達するのは難しい。
職場では、良い先輩を見つけることが大切だ。
まねをする際には、本気でまねをしないと中途半端になって、失敗してしまう。ただ真似るだけではなく、オリジナルな取り組みを行う必要がある。
札幌市のコールセンターの良いところだけを真似て、失敗している事例が多い。札幌市のコールセンターの立ち上げは、入念な準備と数多くの失敗が踏み台となっていて、遊び(余裕)の範囲が大きい。失敗するところは、良いところだけしか見ていない。
(D班)
D班の方から、職員時代と市長になってからのコミュニケーションについて質問が出た。
市長の立場としては、「業者」とか「要望」などの先入観を捨て、お互いを受け入れることにより、相手の方にも、十分な「満足」を得ていただけることを紹介していただいた。
なお、話をうかがうことは、必ずしも実行することではない。
市長になると職員時代と会う人も違う。
D班の別の方から、若い人とのコミュニケーションとリーダーとして必要なことについて質問が出た。
市長からは、別の班でも紹介した月1回の「市っぽく手弁当会議」について紹介していただいた。やはり、所属毎にレベルの違いが明らかであり、その意味でも、良い先輩を見つけることの大切さを説いていただいた。良い先輩を見つけることが出来れば、自然とレベルアップできる。
リーダーにとって大切なことは、3つで、自らの方向性を示して、組織の体制を整え、コミュニケーションを図ることだ。
(E班)
E班の班長から、市長の講演を基に、E班で取りまとめた内容を紹介していただいた。
E班の別の方から、市長が言われている「ざっくり感」とは?との質問が出た。
市長から、ざっくり感とは、市民に分かりやすく、通じる言葉で話すことだと説明してもらった。また、市民に通じる言葉で考えることも大切だ。
例えば市民の方が、困って市役所に相談に来たとすると、市役所の人は、行政の制度についてはよく説明するが、その市民の方がどのように困っているかについては、聞こうとしない傾向がある。そのことによって、職員は、自らの思考や行動を制限してしまう。市の職員は、自分を市役所の職員と定義せず、普通の市民、国民という感覚を持ち、普通の人の立場で考えることが大切だ。
E班のもうひとかたから、ボランティアとの協働について質問が出た。現在の「長崎さるく」は、途上期なのか、停滞期なのか、衰退期なのか。
(市長)平成18年度の当初の「さるく博」のときは、ガイドが足りない状況だったが、現在は落ち着いて、ときにガイドの方の活躍する機会が足りないこともある。
現在の「長崎さるく」は、平成18年度の「さるく博」に始まって、進化している段階だ。将来は、ガイドでない町の方も、さりげなく、観光客のおもてなしが出来るようになることを期待している。
さるいて歩くだけでは、土地の上を歩いているに過ぎない。

※GWが終了し、各班の発表が行われた。B→C→D→E→A班の順に発表や市長への質問が行われた。発表の順は、各班の自主性に委ねられ、各班とも積極的に発表した。
各班とも、市長講演を踏まえた「ネットワーク」や「市民との協働」等の大切さをまとめていた。
また、そんな発表の中で、次のような質問も出た。長崎市の職員の方からの発言を受けて、町に出て溜まった書類はどうすればよいのかとのことだ。
市長からは、溜まった書類は処理してもらいたいが、外に出るだけではなく、想像力を働かせて(良い)仕事をして欲しいとの言葉をいただいた。

※各班からの発表の後、市長から講評をしていただいた。
日本の人口は、明治期の4,000万人から1億2,000万人になり、今後はまた4,000万人に減っていく。
長崎でも一人世帯が3割、夫婦だけというような二人世帯が2割を占めている。世帯数の増える傾向が、長く続いている。これまでのような取組では、対応できない状況も生じて来ている。このことからも、町に出て、市民のニーズを掴むことが大切だ。現場に出ると想像力も豊かになる。想像力を働かせて仕事をして欲しい。
広報誌を例にしてみると、「皆さん」という呼びかけは適切ではない。広報誌は一人で読むから、「あなた」と呼びかけることがふさわしい。
同じように「受付期間」ではなくて、「申込期間」が読む人の立場に立った表現になる。
人事課は、人事だけに携われば良いのではない。その人事を通じて、職員が市民から感謝されることが大切だ。
「さるく博」を企画したときに、関係者に説明する方法を工夫した。言葉では理解してもらえないのは明らかだった。だから、議会に説明しても、質問が出なかった。
「さるく博」の検討委員会では、大分県別府市や熊本県山鹿市のガイド先進地を視察した。その時に、長崎のガイドの方に感想を聞いたところ、長崎のガイドの方がおもしろいとの事だった。それなら長崎でも毎月第3日曜日にガイドできないかと聞いてみたところ、簡単に出来るとのことだった。
このため、手始めに、昔遊郭のあった丸山周辺のガイドを行ってもらい、議員等の関係者に体験していただいた。当初は、歩いてガイドするなんておもしろいのかとの意見が多かったが、実際体験してみると、おもしろいとの声が多く聞かれた。

※会場から、市長への質問を受け付けた。
会場の方から、市長が「さるく」のガイドを行う際に、困ることはどのようなときかとの質問が出た。
市長からは、自身がガイドに入ることになった経緯から説明していただいた。
なお、市長がガイドをするのは、最初から予定を組むのではなく、サプライズで入るようにしているとのことだ。「このおっさんだれやろ」と思われているようだ。
ガイドになるきっかけは、郷土史家の方とコース造りをしていたときに、自分でも「めちゃくちゃおもしろかった」ことだ。これならガイドが出来ると思った。その時の仲間は、皆ガイドになっている。
ガイドをしていて盛り上がらないのは、社内旅行だ。社内旅行に参加している人は、長崎の興味よりも、仲間との交流が目的なので、ガイドに耳を傾けてくれるのが、幹事の人だけだったりする。
一方で、奥さんに連れられてきたお父さん達をガイドするときは、大変興味深い。(ガイドは、15名ほどを1グループとして行う。)
最初は、お母さん達がグループの前にいるが、そのうちに歴史に興味のあるお父さんたちがグループの前に出てきて、お母さん達は、後ろから付いてくることになる。
参加者の2/3は女性で、1/3が男性だが、ガイドは逆に、2/3が男性で、女性は1/3だ。
「長崎さるく」には、定年後に引きこもりがちの男性からも、ガイドとして社会参加していただいているし、まちをきれいにしようという動きを生んだりしている。福祉分野にも産業分野にも、様々な分野に貢献している。良い仕事は、多面的な効果を持っていると感じる。
会場の別の方から、Win-Winの関係とビジネスとの結びつきについて質問が出た。
市長からは、「食の夢市場」等について紹介していただいた。
長崎には、様々な強みがあるが、長崎の人は奥ゆかしいためか、外に出て行こうとしない。ほかの市場を荒らしたくないとの言葉を聞くこともある。
そんな中でも、メモリードというところは、長崎から外に展開している企業で、社長の吉田氏が、がんばっている。ただ、吉田氏も北九州市出身だ。
「風の人」、「土の人」という場合の外の方の意見である「風の人」の意見を大切にしている。
「さるく博」の検討委員会でも、プロデューサーとして外部の方に入っていただいた。内部意見で調整が付かない場合も、外部の方の意見を参考に決定したことがたくさんある。
かつては長崎游学が盛んに行われたが、これからは、長崎の人が外に出かけて学ぶ逆游学を職員に勧めている。
福岡にある「九州のムラ市場」などが参考になる。

※最後に、ファシリテーターを担っていただいた茂田さんから、まとめていただいた。
1思いを持った市民を生かすこと、2分かりやすい言葉で市民に話しかけることの大切さを実感した。




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