自己変革するための本


著者名:ジョン・C・マクスウェル著 齋藤孝訳
出版社:三笠書房
感想:以下の点に共感しました。
・いまある人生は過去の思考の産物であり、明日の人生はいま何を考えるかで決まる。
・人間の精神発達を研究した哲学者ジェームズ・アレンは、次のように言っている。
 「すぐれた思考や行動から悪い結果が生まれることはない。間違った思考や行動からよい結果が生まれることもない。それはトウモロコシからはトウモロコシ、イラクサからはイラクサしか育たないのと同じである。人はこの自然界の『原因と結果の法則』を理解しているにもかかわらず、自分の人生に活かせる人のなんと少ないことか。」
・なかなか夢を達成できない人に限って「考え方を変えずに結果だけを変えよう」とする。
・収穫物(結果)が気に入らないのなら、蒔く種(考え方)を変えなければならないのだ。夢を達成したいなら、成功するための思考法を「種」から育て上げなければならない。
・クロード・M・ブリストルが著書『信念の魔術』で書いていることは真実なのだ。
 「成功者は、成功を思い描いた時点ですでに成功している。彼らの手は頭脳を手助けしているにすぎない」
・ジェームズ・アレンは、「人は丸く納めようとすれば小さく収まり、支配欲が大きければ大物になれる」と考えた。賢王と言われたソロモン王の言葉を借りて言い換えるならば、「人は思い描いているとおりの人間になれる」のだ。
・組織には「ハードルの法則」があると、私は著書の中で書いた。仕事やプロジェクトで得られる成果は、リーダーが設定するハードルの高さで決まる。凡庸なリーダーのハードルは低く、優秀なリーダーのハードルは高い。だから卓越したリーダーの下で得られる成果は輝かしいものになる」というものだ。
・そして人生も、思考の習慣から同じような影響を受けている。人間は考え方一つで自らの可能性を大きく広げもすれば、狭めもするものだ。卓越した思考法を身につければ、卓越した能力を発揮できるだろう。
・ゼネラル・エレクトリク社の前会長ジャック・ウェルチの「ヒーローとはアイデアを持った人間だ」という言葉も大いにうなずける。
・アルバート・アインシュタインは、「いま直面している問題は、その問題が発生したときと同じレベルの発想では解決できない」と言っている。
・成功思考を「習慣にする」ことで成果は必ず上がる。この思考法を自分のものにすれば、目的思考のためのアイデアが次々と生まれ、尽きることがない。
・ヴィクトル・ユゴーも「軍隊による侵略は撃退できても、アイデアによる侵略は撃退できない」と言っている。
・上司に質問されたら、その質問を足がかりにして、もっといろいろなアイデアを出さなければならないのです。出世するには、質問に答えることにだけ没頭するのではなく、上司の頭の中にある一連のアイデアに付加価値を与えてやるのです。
・トルストイは、「誰しも世界を変えたいと思うが、自分を変えようと思う人はいない」と言っている。
・批評家H・L・メンケンは、「私の推測では、人類の80%は生まれてから一度もオリジナルなアイデアを考えつくことなく一生を終える」と断言している。
・カレン・フォードは、「人は、自分の頭に思い描けないことを実現することはできない」と言っていた。
・立派な目標を立てるだけで満足してはいけない。むしろ、どのようにして目標を達成できるかに注目すべきだ。
・新しい目標を達成し、次のレベルに進むときには変化がつきものだが、変化はなかなかなじみにくいものだ。もしも変化に対して違和感がないなら、それは真の変化ではない。
・かつてアドルフ・ヒトラーは、「ものを考えない人間こそ統治者にとっての幸運である」と、うそぶいたが、成功思考が身についていれば、人を利用しようとか、欺こうとする無慈悲な人間にこき使われることはない。たとえ高圧的な指導者の下でも、困難な状況においても、自分自身を律し、状況を打開していくことができる。
・自分だけの「考える場所」に行くことを習慣にしているから、私はいいアイデアが浮かびやすいのだと思っている。継続的にアイデアが浮かぶようにしたいと思うなら、あなたもそうするべきだ。
・静かに考えられる場所を決め、思いついたことを忘れないように、紙に書き留めるようにする。私の場合、考える場所を決めたら、アイデアのほうからその場所にやってきてくれるようになった。
・米国上院議員で大学学長も務めるS・I・ハヤカワは、「書くことを学ぶとは、考えることを学ぶことである。文章として書いてみるまで、自分の考えをはっきりとつかむことはできない」と書いている。
・インジョイ・スチュワードシップ・サービス社のディヴ・サザーランド社長は、「ときには答えよりも、質問のほうが大切なこともある」と言う。自問自答することで、自分のアイデアの有用性や将来性も見えてくるのである。
・すべての発端になるのは、「核となるアイデア、コンセプトである」イギリスの作家ジョン・ガードナーはこう言っている。
「恐らく、考えるということは、アイデアを生み出すきっかけであり、母体でもある。そしてアイデアこそ、この世でもっとも強力かつ有益なものである」
・古代ローマのハドリアヌス帝は、「正しいことも、時期尚早ならば誤りになる」と考えていた。アイデアがまだ成長期にあるうちは、時間の制限やかっちりとしたゴールを設定せずにおくべきだ。進む方向が決まるまでは、考えも自由に息づかせてやる必要がある。
・金融機関J・P・モルガンの創始者J・P・モルガンは、「人が何かをするには二つの理由がある。もっともらしい理由と本当の理由だ」と言っている。大切なのは動機づけである。
・「すぐれたアイデアには、羽ばたく翼に加え、着陸装置が必要だ」と言ったのは、作家C・D・ジャクソンだ。単なる「理論や理想」の域を出ることのないアイデアは、大きな影響力を持つことはない。アイデアの真の威力は、それが「抽象的」なものから「実用的」なものになったときに生まれる。
・フランスの哲学者で、ノーベル文学賞を受賞したアンリ・ベルグソンは、「行動力のある者のように考え、思考力のある者のように行動せよ」と主張した。
・誰かと会うときは、その人から何を学べるかをリストにしておくとよい。自分にはできないことができる人とパートナーになれるのはすばらしいことだ。
・全体像をつかんで考えられる人は、自分がいかに無知かを心得ており、鋭い質問をして理解を深め、考えを広げていく。大局的にものを考えるには、まずよい聞き手にならなければならない。
・エッセイストの元祖とされるフランスのモンテーニュは、「人生の価値は時間の長さではなく、その使い方で決まる。長生きをしてもむなしい人もいる」と言った。
・人は自分の人生を好きなように生きることができるが、人生は一度しかない。大きなヴィジョンを描きながら考えられる人は、充実した生き方ができる。自分の世界を広げて経験を積むことができるので、視野の狭い人よりも大きな成果を上げることができる。
・ものごとを成し遂げようとすれば、焦点を絞らなければならない。だが、適切に事を運ぶときは、大きなヴィジョンを頭においておく必要がある。
・大きな位置関係の中で自分の現在地を把握することで目標を見失わずにすむ。アルビン・トフラーが言ったように、「小さな仕事をするときは、それが正しい方向へと進んでいくように、『大きな仕事』を頭においておかなければならない」のだ。
・「結論とは、もういやになるまで考え抜いた状態だ」というのは、ビジネス・コンサルタントとしても著名なエドワード・デボノ博士の言葉だが、残念なことにアイデアが出尽くした状態で優先順位を決めようとする人が多い。
・優先順位を決めるにはいろいろな方法があるが、他人にはあなたの優先順位を決めることはできないと知っておこう。まず、自分自身をよく理解し、自分のスキルや才能を最大限に生かせること、つまり強みに焦点を絞ることだ。
・また見返りがもっとも大きなものに焦点を絞る方法もある。自分がやって楽しく、うまくできることをすればよい。
・「潮の流れに乗って流されていくプランクトンのような人間が多すぎる」とは、ある皮肉屋の弁だが、大きな成果を上げたいなら、大きな夢を持たなければならない。ジャームズ・アレンは、「人はことを丸く収めようとすれば小さくまとまり、支配欲が大きければ大物になれる」と考えた。
・『ビジョナリー・カンパニー』の著者、ジム・コリンズは、「超一流になるために欠かせないのは、純真さと勤勉さである。必要なのは一瞬の輝きではなく透明性である。われわれ一人ひとりに要求されているのは、核心に焦点を絞ることであり、それとは無関係なことに心を奪われないことである」と述べている。
・では、そのためにどうすればいいか。まず「優先順位の原則」を守ることだ。たとえば簡単なこと、あるいはむずかしいことや緊急のことから始めてはいけない。最初に始めるべきことは、「もっとも収穫の大きいところ」である。そうすることで障害を最小限にとどめることができる。
・自分でアイデアを生み出すより、アイデアを収集するほうが簡単だ。なにしろ偉大な発明家トーマス・エジソンも、「オリジナリティーとはアイデアの出所を隠す技だ」と言っている。
・ロザベス・モス・カンター博士は、「人の一歩先を行くには、次のアイデアを舞台の袖で待たせておけ」と言ったが、私の場合、アイデアはファイルの中にある。そして私はあることを発見した。常に創造的なアイデアはないかと目を光らせていると、自分自身も創造的な考え方ができるようになるのである。
・もう少し創造性を高めたいと思えば、思考方法を変えればいい。人々はオリジナリティという幻想を抱いていると私は思う。創造力とは、他人の考えを組み合わせたものである場合が多い。
・創造性とは、元来、未知の領域を探索するものである。外交官であり、長年イエール大学学長を務めたキングマン・ブリュースターは、「創造性豊かな人と変人とは相関関係にある。だから、われわれは変人とも喜んでつき合わなければならない」と言う。自分の中にある創造性を育てるには、少しばかり、常識はずれの人ともつき合うようにしよう。
・創造性とは失敗する失敗する場合もあるとわかっていながら、あえて試してみようとすることなのだ。創造性の高い人は失敗の可能性を知りつつも、新しいアイデアを探し続け、やりもしないうちから、うまくいくかもしれないアイデアを棒に振るようなことはいない。
・現実とは、希望と現状との差である。
・トマス・エジソンは、「すぐれたアイデアの価値は、使ってみればわかる」と言った。現実的な考え方とは、アイデアに含まれる「希望的」要素を取り除き、使用に耐えるものにすることである。期待だけがふくらみ、望みどおりの結果を得られないアイデアが多いのは、現実的に考えるプロセスを省いているからである。
・イギリスの作家、ジョン・ゴールズワージーは、「理想主義は、その人が問題からどれぐらい離れたところにいるかに正比例して拡大する」と書いている。
・問題から遠ざかっていては、解決の手立てを打つことができない。夢を現実的な視点で眺め、実現するには何が必要かを考えなければ、夢を達成することはできない。現実的に考える習慣は、夢の実現に向けて歩み出すための道しるべである。
・現代の多くの人は、ウィンストン・チャーチルの「人はときとして真実につまづくが、たいていは立ち上がり、何事もなかったように足早に立ち去る」という言葉が当てはまる。
・パットン将軍いわく、「やり手の将軍は状況に合わせて作戦を立てるが、作戦に合わせて状況をつくろうとはしない」。
・ルーカスは夢を実現する秘訣とは「不可能なことと前例のないこととの違いを理解することだ」と言う。ルーカスにとってはどんなことも可能であり、たいていのことは前例がないだけなのだ。それが「不可能を可能にする人」のものの考え方なのだ。
・イギリスの国王チャールズ二世の牧師だったトマス・フラーは、「実力の差とはエネルギーの差である。強い意志、はっきりとした意図、不屈の決意があれば、どんなことでも達成できる。そしてこれが偉大な人物と取るに足りない人間との違いだ」と考えた。
・『成功の心理学』のデニス・ウェイトリーは、「人生の勝者は、常に『私はできる、私はやるだろう、そして私はやる』という観点からものを考える。
・一方、敗者は暇さえあれば、すればよかったのにしなかったことや、やりもしないことについて考えていると指摘する。
・ジョージ・ワシントン大統領は、「過去の過ちから有意義な教訓を引き出し、経験を役立てる以外は、過去を振り返ってはいけない」と言っている。
・二十世紀最大の経済学者ケインズは、「新しいアイデアを展開することは、古いアイデアから脱却することほどむずかしくはない」と主張した。
・一度ある思考法がうまくいくと、もう役に立たないとわかっていても、何度も繰り返してそれを活用したくなることは確かにある。しかし、「明日の成功」を妨げる最大の敵は「今日の成功」なのである。
・すばらしいアイデア、革新的アイデアを思いつく人は孤高の人だと思いがちだが、どんなにすばらしい革新的なアイデアも、何もないところから生まれてくることはない。
・あのアルバート・アインシュタインでさえ、「私の人生は、精神的にも、社会的にも、いま生きている人も死んでしまった人も含めた仲間たちの努力の上に成り立っており、私が受け取ったものに報いるためにどれほど真剣に取り組まなければならないかということを、一日に何度も考えさせられる」と言っている。革新は共同作業によって生まれるものである。
・ゲーテは、「すぐれたアドバイスをもらうことは、能力を高めることに他ならない」と言った。
・『めざせ!CEO-ビジネス・トップになる「自己実現」のカギ』の著者ジェフリー・J・フォックスは、「アイデアには常に目を光らせておけ。その出所をえり好みしてはいけない。顧客、子供、ライバル、他業界、タクシー運転手からもアイデアをもらえ。誰がそのアイデアを出したかは関係ない」と言っている。
・カーバーは自らの哲学をこう説明している。「重要なのはどういう服を着ているかとか、どういう車に乗っているとか、銀行にどれだけお金があるかということではない。そんなものには何の意味もない。成功の尺度は、どれだけ人の役に立つことができたかということにしかない」
・誰もが「何か大きなこと」に関わりたいという願望を持っている。たとえば、最近の研究では、ピラミッドの建造は決して「奴隷の苦役」ではなく、「神事に関わりたい」という多くの人の意志があったからこそ成し遂げられた大事業だと言われている。(以上)


書籍名:自分を変える鍵はどこにあるか
著者名:川上真史著
出版社:ダイヤモンド社
感想:以下の点に共感しました。
・心理学用語に「役割性格」という言葉がある。人間はある役割を得ると、その役割どおりに演じようとする。これが役割性格である。
・実際にビジネスで成功した人たちを見ていると、大きな目標(ビッグ・ピクチャー)を達成するためには、何百、何千という細かい行動と、その行動から生み出される成功をいくつも積み重ねていくことを重視している。
・しかもその行動は、通常誰もがやるような行動に少し工夫を加えたものなのである。
・「当たり前の行動」と「少し工夫を加えた行動」、そこから生み出される成果の差は微妙だが、当然、工夫を加えたほうが少しだけ高い成果になる。
・そのような小さな成果(スモール・ウィン)を何百、何千と積み重ねるうちに、いつの間にか大きな成功に結びついたというケースがほとんどなのである。それが「ビッグ・ピクチャー&スモール・ウィン」である。
・人間はどこかで最終的な大目標を掲げておかないと、スモール・ウィンを積み重ねることに耐えられないのである。
・もう一つ、ビッグ・ピクチャーを掲げる意味がある。人間には、「最終ゴールが不明確だと無難な行動しかとらなくなり、ゴールが明確になるほど行動が自由になる」という原則がある。
・成功する人事制度とはきわめてシンプルなものだ。たとえば、ある企業の制度改革のキーワードは「成果イメージと行動化」だった。「自分が生み出すべき成果のイメージを自分で描き、それを達成するための行動をきちんと起こす人を評価したい」というものである。
・コア・バリューの基本は、社員が何かの判断に迷ったとき、その判断を行うよりどころになることである。したがって、シンプルで明快であることが第一である。
・「官僚がおかしい」「国会議員にはろくな人間がいない」と批判する人がいる。たしかに、官僚や国会議員が持っている影響力は一般の人たちよりも大きいと思う。しかし、官僚や国会議員が変われば、日本は大きく変わるのだろうか。実際には、それほど大きく変わらないだろうと私は思う。
・いくら影響力が大きいといっても、やはり一人の人間である。その人が変わっても、それだけで日本が変わるわけではない。もしも、本当に日本をさらによい方向に変えたいとしたら、官僚や国会議員を批判するだけではなく、まず自分自身に目を向けてみることだ。
・別に他者を批判してはいけないという意味ではない。間違いを糾すことは当然必要である。しかし、それだけでは何も変わらない。まず日本をよくするために、自分にできるスモール・ウィンは何かを考えるのである。
・それを国民の一人ひとりが確実に生み出したとき、一億三千万個のスモール・ウィンができあがる。それが合わされば、ビッグ・ピクチャーどころか、超巨大な絵が達成できるはずだ。
・大変な状況に置かれていた自分はすごいと思ってしまい、高く評価して欲しいと主張するのは、環境と自分が混乱している典型である。
・誰かと知り合いだというのも、自分をとりまく環境の一つであって、自分の実力とは何の関係もない。
・ところが、誰々と知り合いであるというだけで、自分はその人と同等のレベルであると思ってしまうのである。
・もう一つ、環境との混同で典型的なのは、自分が所属している組織と自分自身との混同である。「一流企業に勤めているから偉い」「一流大学出身だから優秀だ」という勘違いである。
・誰が悪いのかを特定しても、問題は一切解決できない。「これからはあの人に頼まないようにしよう」「自分では二度と取り組まないようにしよう」と考えて終わりである。
・ところが、誰が悪いではなく、「なぜ失敗したのか」「なぜうまくいかなかったのか」と客観的に原因を振り返れば、多くの場合、解決可能な解が出てくるはずである。
・創造性の開発のために大切なのだが、そこに何か矛盾があったとき、ただ「おかしい」と主張するのではなく、「自分だったらどう考えるか」を必ず用意するのである。
・これを繰り返していけば、自然と創造性が高まってくる。「批判精神」とは、単純に誰かの考えを批判することではなく、「自分だったらどう考えるか」を相手の考えにぶつけていくことなのである。
・人間には他者に「同調する」傾向がある。人間関係から得るものは非常に多い。しかし、その一方で、関係をよくしようとするあまり、自分を抑えて相手に合わせてしまうケースが出てくる。
・特に日本人はこの傾向が強く、それが効果的な行動を起こす際の大きな壁になっているのである。
・心理学の用語に「公的自己意識」というものがある。これは、自分が相手からどう見られているかに関する正確な知識と考えればわかりやすい。
・しかし、これは往々にして極端にずれることが多い。まわりの人は別に何とも思っていないのに、「こういうことをすると、まわりの人に馬鹿にされたり、変なやつだと思われるだろうな」と考えてしまうのが、公的自己認識のズレである。
・動機のなかで、小さな成果を積み重ねていく行動に一番影響を与えるのが「達成動機」といわれるものである。達成動機が高ければ高いほど、壁をつくる傾向が低くなり、達成動機が低いほど壁をつくりやすくなるのである。
・心理学で。Three Social Motivesといわれるものがある。日本語では「三つの社会的動機」と訳されるが、これは食欲などの本能的欲求ではなく、人間が社会的活動を営むうえで関係する動機のことである。そのような社会的動機には、親和動機、パワー動機、それに先ほど述べた達成動機の三種類がある。
・初頭効果とは、最初にその人に対して持ったイメージが強く印象に残り、その後もすべてに影響を与えてしまうことである。逆に、終末効果とは、最後の印象がインパクトを持つことである。
・人間は他者と接するとき、最初に持った印象と最後の印象にかなり影響されてしまう。その間の部分は、すっぽりと抜け落ちてしまうのである。これが、他者に対するイメージをゆがめる大きな原因となる。
・私は講演やセミナーなどで話す機会が多い。そのようなときも、初頭効果と終末効果を考えながら話をする。何時間の講演だろうが、勝負は最初の4分間である。その間に聴衆の気持ちをつかむことができれば、後はどんなことでも肯定的に聞き入れてくれる。
・また、どんなに講演が盛り上がっても、最後の数分がしまらないと、なんとなく後味の悪いものとなってしまう。
・人間は、自分をとりまく状況が整備され、正確にとらえられると、それだけで安心感を持つことができる。その安心感と正確な状況理解があれば、どこからどう手をつければよいかがわかり、自然と対応の行動も生まれてくる。まずは、自分をとりまく状況を分析的にとらえる癖をつけることが大切である。
・成果主義が広がるなかで、「人に支援を求めたら、それは自分の成果ではなくなる」「自分一人の力で成果を達成する人が偉い」というようなイメージが広まり、支援を求めることは余計にネガティブにとらえられがちである。しかし、自分一人の力で解決できることは少ない。やはり、支援を求めにいく勇気が必要である。
・目標設定理論とは、現状よりも高い目標を具体的に掲げれば、その目標と現状のギャップが具体的に見えるため、そのギャップを埋めようとする行動が自動的に起こるという考えである。
・ところが、目標設定理論に関して、もう一つ重要なポイントがある。それは「短期目標でないと効果が出ない」という点である。
・目標設定によって動機づけされる時間は、精々数時間から一日がいいところで、どんなに長くても数日以内に達成できるものでないと意味がない。
・他者との関係をよりよくつくれる人と、そうでない人は何が違うのだろうか。その鍵は「共感的理解」にある。日本では、子供の頃から、よく「相手の立場になって考えるように」といわれるが、意外に、これが浸透していない。
・なぜだろうか。どうも日本は「同情の文化」であり、「共感な文化」ではないことに原因がありそうだ。実は、同情と共感とはまったく違うものなのである。
・人間関係の壁を打ち破るための鍵について、結局、そのキーワードは「社会性を高める」という一言にまとめることができる。
・社会性の基本は「自尊」と「他者尊重」である。つまり、「I am Ok.You are Ok.」に他ならない。自分もOKだし、相手もOKだという感覚を持っている人であれば、細かいことをいちいち意識しなくても、よい関係を広げることができる。(以上)

書籍名:チャンスを逃がす人活かす人
著者名:西川通弘
出版社:かんき出版
紹介:目標を高く掲げ、自ら逆境をつくり出す逆転の仕事術を説きます。(2004年2月読了)
感想:以下の点に共感しました。
・出会いは、偶然を装ってやってきます。そのために私たちはつい「たまたま出会った人」と思い、人間関係を築こうとする気持ちを忘れてしまいがちです。しかし、そういう出会いに、自分が変わるチャンスが潜んでいることが多々あります。うかうかと見逃すわけにはいきません。「偶然の出会い」は同時に「必然の出会い」でのあるのです。
・人生を変えるような運命の出会いも、最初は、ほんの偶然の出会いです。逆に言えば、ほんの偶然の出会いから運命の出会いが生まれます。
・「一期一会」ではありませんが、縁あって出会った人とは、人生に一度しか巡りあえるチャンスはないのかもしれません。そう思うと自然と、出会いの一つひとつを大切にする気持ちが芽生えます。
・出会いというのは、偶然に起こることが多いのも事実ですが、自分が行動しなければその偶然のチャンスにも恵まれないし、出会いをきっかけに人間関係を築くこともできません。
・世の中には自分とは異質な人がたくさんいます。行動さえ起こせば、そういう人たちとも出会えるのです。
・いつも同じ仲間とつき合っていると、常に同じ情報に接していることになります。こういうつき合いは、何を話しても「ツーカー」だから安心できます。でも、それで満足していては、人は停滞します。
・「会いたい人」が超大物でも、あきらめることはありません。講演会や研究会、セミナーなどに参加すれば、1対1で対話することだって可能なのですから。
・役員に個室がないのは、ホンダの創業以来の伝統です。たまたま本田さんが自分の部屋に閉じこもる人ではなく、いつも技術者や社員と一緒になって、油に汚れながら仕事をする人だったことから、他の社員・管理職も「右にならえ」をせざるをえなかったという部分もあります。しかし、結果的に、これは「いい伝統」になりました。
・一般的には、「雑談をして、仕事の手を止めるな」という企業が大半でしょう。「雑談は仕事のジャマになる」という発想です。しかし、ホンダの場合は全く逆で、「雑談からいいアイデアが生まれる」という視点から、雑談を推奨しています。
・同じ会社で働く者同士、「トクする情報は隠す」なんて愚の骨頂です。自分が隠せば、周囲の人も隠すので、むしろ損です。互いがオープンに情報を提供したほうが、たくさんのいい情報を共有できる分、個人の資質も向上するはずです。
・人は経験を積むにつれて、「わかったつもりになっている」ことが増えてきます。本当のところはわかっていないのに、見栄を張って「そんなことは先刻承知。大した情報ではない」とやり過ごしてしまうことはあります。
・最近はさすがに、「ビジネスマン=どぶねずみ色のスーツ」という既成概念はなくなり、「カジュアルフライデー」なんて日を設けておしゃれを楽しむ男性も増えているようです。
・そんな日を設けなくては服装の冒険もできないことに一抹の寂しさも感じるものの、いつもとは違う気分で仕事ができるチャンスを与えられることは喜ばしいこと。ガラリと服装を変えて、別の自分になって仕事をしてみるだけでも、自由な発想が得られる可能性は高いと思います。
・もはや、「情報が見つからない」なんてことはほとんどないでしょう。むしろ、情報洪水のなかで、役立つ情報をチョイスするほうが難しいかもしれません。となると、役立つ情報だけを選び取る「感度のいい情報アンテナ」を持つことがポイントになります。
・そのために必要なのはまず、「私はどんな情報を必要としているか」を明確にしておくことです。やみくもにあれもこれもと情報を集めていると、役立たずの情報ばかりを抱え込むことになりますが、問題意識を持って情報収集をすると、基準に合わない情報を潔く捨てることができます。私は以前から、情報入手のコツは、「いかに捨てるか」にあると話してきましたが、いまはますますその重要性が高まっているようです。
・「流水不腐」(溜池の水は腐るが、流れている水は腐らない)と言われるように、情報は活用しないと腐ってしまうのです。と同時に、情報を集めたことで満足してしまうのもいただけません。知った気になって、そこから前に進めないからです。
・活字で得た情報を、自分の目で見、耳で聞き、体で感じる行動を通して、復讐するのがベストです。そうして学んだことはバーチャルな知識の枠から飛び出し、真に身についた知識となるので、自分の世界がいっそう広がります。
・企業社会の中では、「遊ぶこと」はあまり良くないことだと思われがちです。これは、「大切な時間を遊びに割くと、その分だけ仕事がおろそかになる」という発想です。
・仕事と遊びを、「片方が増えればもう一方は減る」という「足し算、引き算」の関係で考えるから、「遊ぶこと=仕事をさぼるこ と」のように思えてくるのだと思います。
・果たして、そうでしょうか。私は違うと思います。仕事と遊びは本来、「かけ算」の関係にあるものだと考えています。仕事も遊びも同じ土俵にあるもの。双方で得た知識が相乗効果となって、成長が促されます。
・行動して失敗するマイナスを恐れていては、失敗がないかわりに成功もありません。見逃されがちですが、失敗を恐れた行動は、「成功を逃す」というマイナスでもあるのです。
・ホンダではこれを、「ノー・プレイ ノー・エラー」と称し、減点の対象にしています。たとえ失敗がなくとも、新しいことに挑戦する姿勢が見えなければ減点されるわけです。
・この精神は、スポーツでよく言われる「消極的な成功より、積極的な失敗を」につながるものでしょう。積極的な失敗を積み重ねなければ、チームを大きな勝利に導く大胆なプレイは生まれないということです。
・「1%の成功は、99%の失敗のうえに成り立っている」本田さんは創業以来、いつもこう言い続けていました。
・松下幸之助さんはこんなことを言っています。「失敗したところでやめてしまうから失敗になる。成功するところまで続ければ、それは成功になる」
・けだし名言です。失敗経験を直接・間接に、その後の何らかの成功に結びつけることができれば、それは「いい失敗」なのです。
・ビジネスマンのみなさんも壁に突き当たったら、なりふりかまわず懸命に働いた「原点」に立ち返ってみてください。「肩書き」を返上した瞬間に駆け出し時代の情熱が甦り、自分のなかで意識革命が起こり、マイナスの現状をプラスに転じる、驚くような新しいアイデアが生まれることでしょう。
・欠点を指摘されることは実は、ありがたいことなのです。顧客からのクレームもそう。お客さまが実際に不満に思ったことを放置しておけば、企業は進歩しないどころか、多くの顧客を失うこともあります。クレームが寄せられるということは企業にとって、マイナスイメージにつながることでもありますが、その一つひとつに誠心誠意対応するところに、進歩の芽を見出すことは可能です。
・アンケートなどでお客さまに「どんな商品が欲しいですか?」と尋ねても、あまり明確な答えは得られませんが、既存の商品について、「どこか不満な点はありますか?」と聞くと、意外とたくさんの声が出てきます。つまり、要望より不満のほうが、ニーズを掘り起こすのが容易だと言えるでしょう。
・「伝播論」とは、世の中の新しい変化がしだいに伝播、つまり普及していくときに、それを受け止める人には次の四つのタイプがあるという理論です。
 第一のタイプは、イノベーター(Innovator)。新製品が発表されると、決まって真っ先に買う新しいモノ好きの人。「挑戦」「クリエート」「個性」を主張するのが好きな人です。全体の2.5%と少数派です。
 第ニのタイプは、アーリー・アダプター(Early adopter)。イノベーターの行動をじっと見ていて、十分に内容を検討したうえで、「これはたしかにいい」と判断して買う人です。オピニオン・リーダーとも称され、全体の13.5%くらい存在します。セールスにとって、きわめて貴重な人たちです。
 第三のタイプは、フォロアー(Follower)、つまり大衆です。アーリー・アダプターが採用すると、なだれを打ってついてくる人たちです。周囲の人と合わせる、みんなと一緒であることを大切にする人で、全体の68%を占めます。このグループをさらに二分して、比較的早く流れについてくる人をアーリー・マジョリティ(Early majority)と称し、ここまで50%になり、商品の存在が市場で目についてきます。さらに少し遅れる人をレート・マジョリティ(Late majority)と称します。
 残る第四のタイプは、ラガード(Laggard)、頑固者です。ほとんどの人が新製品を買っても、自分だけは相変わらず古い製品を愛して、新しいものは絶対に買わない人で、全体の16%に当たります。
・聞き上手な人というのは、上手に相槌を打ちます。それもただうなずくだけではなく、話の継ぎ目にちょっとした質問を投げかけたり、自分の意見を少しだけ差し挟んだりしながら、相手が話しやすいように会話をもっていく配慮をします。
・また聞き上手な人は、相手が何を話したいのかを敏感に察知します。いかに口の重い人でも、自分が好きなことや得意なことに話題が振られると、「待ってました」とばかりに、別人のようにしゃべり始めることがよくあるもの。そのように、人によって違う饒舌になるツボを探し当てるのがうまいのです。
・さらに聞き上手な人は、話し上手でもあります。相手がどんな話を聞きたいのかを捉えるのがうまく、しかも「楽しませたい」というサービス精神が旺盛です。
・だから自然と、最初にポイントを凝縮した短い話にまとめて伝え、相手の質問や反応を見ながらディテールを付け加えていく・・・といった具合に、相手をいつの間にか自分の話に引き込むように話を展開することができます。
・約束を守ることは、裏を返せば、相手の立場を尊重している気持ちの表れ。どんな約束も決してないがしろにいない姿勢が、人から信頼される人間的な魅力につながります。
・約束のなかでもとくに軽く見られがちなのは、時間ではないかと思います。近ごろは、携帯電話の功罪と言うべきか、どこからでも「ちょっと遅れる」と連絡できるため、遅刻を何とも思わない人が増えてきたようです。
・社内の会議や打ち合わせ、講演会などの開始時刻も、守られないことがよくある約束の一つです。
・一部の人たちの遅刻によって開始時刻が遅れると、時間通りに出席している方々の時間は宙に浮きます。生産的に過ごせる数分なり数十分を、何もせずに人を待つ時間に費やさなければならないのです。
・こういう会合に主催者は、遅刻する人を戒めるためにも、「絶対に開始時刻を遅らせない」という強い態度で臨むことも必要です。遅れている人をいつも待っているようだと、時間に正確な人までが、「あそこの会合はいつも遅れるから、時間を守る方がバカをみる」とばかりに、遅刻するようになるからです。
・しょっちゅう遅刻する人は、改めて「他人の時間を奪う権利は自分にはない」という自覚を持ち、相手の立場を重んじる姿勢で臨むことが必要です。
・いかに自分が優秀であっても、それは周囲のみんなの力があってこその能力であることを忘れてはいけません。
・よくジェネラリストかスペシャリストか」といったことが議論されますが、私はジェネラリストであっても、何らかの分野で人より突出した「実力」を持つことが大切だと考えています。
・「叡智は人を説得する」と言われますが、全くその通り。人が一目置く「得意技」を持っていれば、周囲はその叡智と能力に感動して、尊敬と信頼の念を感じるでしょう。
・藤沢さんは経営を織物にたとえて、こんなことを言っています。「経営の『経』は縦糸、『営』は横糸である。織物は縦糸がピシッと通っていてはじめて、横糸を自由自在に動かせる。企業が時代の変化に対応して、縦横無尽・臨機応変に行動するにはまず、縦糸である経営理念を明示しなければならない」
・企業を成長、成功に導くビジョン&ミッションを、現場の社員に理解・実践させる、その重責を担うのが、リーダーである。
・リーダーが伝えるビジョン&ミッションは、社員一人ひとりに活力を与え、組織に活力をみなぎらせ、会社にエネルギッシュな成長をもたらすもの。会社の全社員が身近に捉えて、行動の範としたときにはじめて、その威力を発揮します。
・リーダーが意思決定を行うときには、「戦略は大胆に、戦術は細心に」と考えると、よりわかりやすいと思います。
・企業にはビジョン、経営理念が必要です。それを実現するために、企業「戦略」を立て、その戦略を達成するための手段および方法として「戦術」を打ち出します。言い換えれば、「戦略」は長期的視野に立った方向性を示すものであり、戦術を策定する指針となるものです。
・リーダーのなかには、この「戦略」と「戦術」を混同している人が多く見受けられます。「戦略会議」と称して、「いかにうまく事を進めるか」というような戦術を議論している場合が少なくないのです。
・「戦略」なき「戦術」は無意味であり、「戦術」なき「戦略」は空想です。意思決定をするときにはぜひ、「戦略」と「戦術」を明快に区別して考え、「戦略は大胆に、戦術は細心に」を実践してください。
・ホンダでは、「能力」という言葉はほとんど使いません。河島さん(ホンダ二代目社長)の口癖をお借りすると、「個々の人間の間にある差は、能力の優劣ではなく、個性の違い」だからです。
・前例のいいところを見習うのはけっこうですが、リーダーは「前例はつくるもの」だということも認識しておく必要があります。
・リーダーの統制と管理は、部下の自発心と創造性の芽を摘みます。権力を誇示したい気持ちはわからなくもありませんが、権力というのは見せつけた時点で地に落ちるということも覚えておいてください。
・チームで競うスポーツでは、自分の与えられたポジションだけを守っているようでは、プロとは言えません。ほかの選手のポジションにまで手を伸ばすことのできる人、つまりリーチング・アウトの能力を兼ね備えた人こそプロなのです。
・ホンダではよく、「二足のわらじをはきなさい」ということが言われます。二足のわらじとはいえ、副業を推奨しているのではありません。これは、片方の足を会社に、片方の足を社会に置いて、常に広い視野で仕事をすることの重要性を説いた言葉です。

書籍名40歳から「人」と「お金」が集まる人の表現力
著者名:中島孝志
出版社:講談社ニューハードカバー
紹介:「今からでも変われる」「人の心を掴める」とビジネスマンに反響を呼んでいます。
感想:着物の襟の部分を「領」という。ここを押さえると、着物は崩れずにバランスよくつかめる。そこで、「領」をつかむという意味から「要領」という言葉が生まれた。
 発言のことを英語では「delivery」というが、まさに宅配ピザを運ぶように自分の意見を相手にきちんとデリバリィする。
 「1ページなら読んでもやるが、それ以上なら秘書に言ってゴミ箱に捨てさせる」と言ったのはウィンストン・チャーチルだが、まさしくそのとおりである。
 といったことが、非常に参考になりました。


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