異動は自己満足でいいのでは


 4月、年度始めの異動の混乱も終わり、各職場ではほぼ平常勤務に近い状態になっているかと推察いたします。
 何かで読んだことがあるのですが、自治体職員が人事異動に人一倍関心があるのは、自治体の職場が民間企業に比べて幅広く、一つの組織でありながら、所属するセクションによって、全く異なった業務内容になるからだといいます。
 民間企業であれば、例えば、自動車メーカーであれば製造であれ、販売であれ、経理等の内部事務であれ、どこのセクションでも自動車に関することに変わりはありません。
 しかし、自治体の場合、私が所属する都道府県にあっては、農林水産部で国や市町村を相手に補助金の業務をするのと、健康福祉部の保健所で住民を対象に検診業務をしたり、総務局の県税事務所で課税・徴税の仕事をするのとでは、まったくの別会社のように異なった仕事の内容になります。
 なにしろ、都道府県にしろ、市町村にしろ、縦割りの国の省庁の仕事とは異なり、業務の幅がとてつもなく広いのです。少なくとも部局の数だけ別の会社が集まって一つの会社になっていると考えた方が適当なぐらいです。総合商社、総合デパート、総合メーカーを併せた会社といった感じでしょうか。
 普通、人には、得意不得意の分野、好き嫌いの分野がありますから、誰しも自分の得意なフィールドで勝負したいと思うのは当然です。
 しかし、人気があったり、華やかであったり、余裕があるポストにはもちろん限りがあり、誰もが希望どおりの部署に異動できないのも事実です。
 そこで、人事異動をめぐっては、満足する人は全体の2割弱といわれるほどの不満が生じるらしいのです。
 しかし、問題は、むしろ希望どおりのところへ異動できないことへの不満ではなく、異動のルールが必ずしも明確になっていないことではないでしょうか。少し、性格は異なるかもしれませんが、政策などの提案にしろ、異動の希望にしろ、提出した本人は、それなりの時間と労力を費やして懸命に書いていると思います。
 提案や希望が受け入れられなかったり、かなわなかったりするのは致し方ないことですが、ネクストチャンスにつなげるためにも可能な限り、その理由をフィードバックするのが、庁内の情報公開、情報共有の流れにつながると思います。
 自己評価は、他人からの評価に比べておよそ2割は甘くなっているといいますから、いろいろ障害はあるでしょうが、聖域とか、暗黙の世界といわれる人事についても可能な限り、情報をオープンにして、たとえば「君は、今回、ここを希望してもらったけれど、ここは希望者が多く、こういう点で少しキャリアが足りなくて、今回は希望どおりにいかなかった。この次も同じところを希望するのであれば、こういった面の力をつければ、可能性が高くなるよ」てな感じの上司と部下のダイアログがあってもいいのではないでしょうか。
 三重県での自己申告制度では、応募状況等がオープンになっていますが、この流れがさらに広がればと希望しています。
 さて、希望どおりにいかないときに元気がでるフレーズを久恒啓一さんの「図解仕事人」(光文社新書)で見つけましたので紹介します。

○会社の評価といっても、所詮は他人が勝手にあなたにつけた点数です。大切なのは、他人がどう見るかより、自分がどう見るかではないでしょうか。
○ 私はよく「顧客満足より、自己満足のほうが大切」と言っています。日頃からステージごとに自分を評価する習慣を付けていれば、会社や世間の評価が変わった場合にも、簡単に自信を失わずに済むはずです。
 自分の得意分野なり、興味をもって日頃から勉強している分野に近い仕事ができるセクションに異動できるのが、理想かもしれませんが、その時々で公と私、担当する仕事の分野と個人の興味の分野の距離が狭まったり、広がったりするだけのことで、自分は多少甘かろうと自己評価で自己満足し、継続は力を旨とし、キャリアデザインを描いていけばよいのではないでしょうか。
 あんまり境遇に恵まれるのも考えものです。ルソーも「エミール」の中で「子供を不幸にするのは簡単だ。求めるものを全部与えればよい」と言っていますから。
 (02/4/10配信のメールより)


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