収支採算性だけが唯一の物差しか


●国や自治体などの公的な仕事にも、収支採算性という物差しを当てて改革を進めようとする傾向が強い。公的な仕事の効率性の追求や不必要なものを排除するという作業は必須のことだ。
●しかし、日本列島は多様性を持っている。こうした多様な地域のことを、収支採算性という物差しだけで判断することが適当なのか疑問に感ずることが多い。
●民間事業は、収支採算性が判断の基本にあってよいのは当然だ。ところが、国や自治体の仕事は、公共の福祉をいかに実現するかが出発点だ。そのために負担と受益の関係がアンバランスな非報奨性のある税が存在している。
●しかし、この税など公的資金使途の判断基準の一番目が収支採算性だというならば、経済合理性の低い地域は公共の福祉実現のレベルが低くてよいということにもなる。
●収支採算性を無視すべきだと唱えているのではない。必要なのは、多様な日本列島の現状を踏まえて国のあり方を論じ、地域の違いを尊重しつつ、いかに公共の福祉を増進させるか、その姿を描くことだ。
 (「2002.8.24 週刊東洋経済」視点 構造改革論議で気になる収支採算性一
  辺倒の風潮 逢坂誠二 北海道ニセコ町長より)

○国が決定した全国一律の公共サービス基準に多様な地域の住民の生活を合わせるることや民間企業と同じに収支採算性という判断基準だけで公的資金の使い道を決定するのでは、地方分権を推進する目的である「ゆとりと豊かさ」を実現できません。
○地域の違いといった多様性を認め、全国一律でないサービスを住民が自己決定する権限が与えられなければ内発的発展を図ることはできないのではないでしょうか。
○収支採算性や全国一律のサービス基準だけでは多様な地域の個性ある発展ができないからこそ公共セクターである地方自治体の存在意義があるのだと思います。
○その自治体に地域住民が自己決定できる権限(財源、権限等)をもっとエンパワーメントするべきです。
○霞ヶ関の机上のパソコンの画面だけでは、地域の実情に即した実効性あるビジョンを描くことはできないはずです。
 (03/9・13 メルマガ41号より)


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: