<ナンバーワンを目指すための言葉>



「新・ニッポン開国論」丹羽宇一郎著 日経BP社

(■本からの引用 ○私の意見)


■心が崩れそうになる瞬間は、時々誰にでも訪れる。しかし、リーダーは
人々のため、社会のため、国のために強い「克己心」の心を持たなかれば
ならない。そうしてこそ、初めて真実を語る勇気が、人々から尊敬されるも
のとなることを心に刻んで欲しい。

○人間は弱い生き物ですから、ついつい心も体も楽な方へ行き勝ちです。
そして時に安易に流され楽をしても、犯罪や非道徳的なことをしない限りは
誰からも責められません。
 しかし、「いや待てよ。ここが踏ん張り所」と心を決めて挑戦することで自ら
の限界を延ばしていきたいものです。


■経済、ビジネスの世界には「こうやれば100%うまくいく」という正解はない。
運の良い時代に遭遇すれば、誰がやってもうまくいく。良くない時代だった
ら、誰がやってもうまくいかない。若者がやってもダメな時はダメかもしれな
いが、若ければ「水を飲んで耐える」というようなことも可能だろう。過去の
良い思い出がいっぱいある老人はそうはいかない。若者に任せた方が、
相対的に見てうまくいくと思う。

○自然科学と違い、社会科学には絶対的な正解はない以上、試行錯誤し
ながら挑戦していくしかありません。そのチャレンジ・スピリットをより多く
持っているのが若者ということです。


■人間は誰しも得意な分野を持っている。そのDNA(遺伝子)がいつ開花
するかは誰にも分からない。ただ、限界まで努力した人でなければ、自分
の中に眠る潜在力は呼び覚ませない。

○「足下に泉あり」と言いますが、あとどれだけ掘れば泉があるのかはわ
かりません。しかし、もう一掘りかもしれないのです。金脈がもうすぐかもし
れないのに限界まで掘り続けないのはもったいないことです。


■「小賢は山陰に遁し、大賢は市井に遁す」という言葉がある。本当の賢
者は、山にこもって書物を読みふけるのではなく、庶民の生活の中に入り
込んで、彼らの生の声を聞くという意味だ。

○寺山修二の小説に「書を捨てよ!町へ出よう」というのがありましたが、
「書を持って町へ出たい」ですね。


■「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ
者に如かず」
 孔子の言葉である。知っているだけの人より、好きになった人の方が優
れている。好きになった人より、それを楽しんでいる人の方がもっと優れて
いる、という意味だ。

○「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、好きでもないものは
上達しません。よって仕事でもいやいややっている限り上達しないということ
です。


■『三国志』で劉備が臨終の際、「悪は小なるといえどもこれをなすなかれ」
と言っている。つまり小さな悪事もするなということだ。これを放っておけば、
大きく膨らんでしまう。

○ミスを報告した部下は、迅速に報告したことを褒めるべきです。叱責すれ
ばミスを隠してしまいます。


■不祥事が発覚した時、リーダーには2つの価値観が必要だ。一つは、
「企業にとって不都合な情報であっても、国民には企業と同じ情報を知る権
利がある」というもの。もう一つは、「国民の安全はすべてにおいて最優先
される」という考えである。経営トップはこの二つを肝に銘じなければならな
い。

○危機管理のお手本とされるのは、ジョンソン&ジョンソンの「タイレノール
事件」です。同社の解熱鎮痛剤に毒が入れられた事件で、トップはあらゆる
マスメディアを通じてタイレノールを買わないように呼びかけるとともに店頭
からタイレノールをすべて撤去し、自主回収したのです。これによって短期
間で同社への信頼が回復しました。
 トヨタのリコール事件にも現れたように顧客はその企業が何を最重視し
ているかをよく見ているのです。


■企業が失敗する条件が三つある。「保守」「思い上がり」「自己満足」だ。
保守は保身と言い換えてもいい。どの要素にも底流に「私利」の心がある。
 逆に成功する条件は「顧客」「競争」「変革」の三つだ。

○大丸の創業精神は「先義後利」であり、そのため大塩平八郎の乱では
「義商」とされ、焼き討ちを免れたのです。


■大企業の不祥事が起きると、必ずと言ってよいほど、トップが辞任する。
マスコミも「責任を取って、辞めるのが当然」といった論調ばかりだ。
 社長を辞めることや、制度を作ることはすぐにできても、従業員の意識を
変えるのは、時間もかかる。トップが一心不乱に、100%どころか、120
%、140%くらいの力を振り絞って、取り組まなければならない課題だろう。
問題はそれを誰がやるか、だ。従業員の多くが新しいトップを待望している
なら、辞めるべきだろう。しかし、企業によっては、そのトップが残った方が
求心力を維持できる場合もある。

○日本ではミスや不祥事があった場合、その原因を追究するより責任を
追求したがる傾向があります。マスコミに煽られた庶民としては大企業の
トップが記者会見で頭を下げたり、辞任に追い込まれるのを見るのは溜
飲が下がることかもしれませんが、それでは再発防止に寄与しないので
す。事情や経緯を把握しているトップが留任し、原因を追究し、社員の意
識改革という再発防止の対応を実行するべきです。


■社会科学は自然科学と違って、絶対に正しいというものはない。

○数学的正解がない以上、衆知を集め、議論を尽くしてベターな結論を
探るしかありません。そして結論が出た以上はその選択が正しかったと
思えるまで努力するしかないのです。


■私の定義で言えば、改善とは一つひとつの項目を見直すことで、「改革」
はたくさんの改善をパッケージにして物事を大きく変えること。

○現状を是とした改善を積み重ねるだけでは変革はできないので、そこに
はゼロベースの発想が必要です。



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