知っておきたい言葉あれこれ


 今回の統一地方選挙でにわかに話題を集めているマニフェストは、これまでの単なるスローガンやウィッシュリスト(おねだりリスト)であった公約と異なり、期限付き、財源付き、目標値付きの公約のことである。
 1月に四日市で開催された「シンポジウム三重」で三重県の北川知事が6県の改革派知事に提唱し、今回選挙を迎える岩手県の増田知事が応じて、作成した。
 マニフェストとは、イギリスでは国政選挙における各党の「政策綱領」を意味する。2000年代にはいってからは知事、市町村長の公選制度が導入されたため、最近は自治体の首長候補の「政策綱領」をも意味するようになった。
 マニフェストは政権をとった際に「必ず実行する」ことを約束した政策の「宣言」であり、一般には、各政党、首長などの有権者に対する「誓約」あるいは「契約」として位置づけられている。
 国民(住民)にとってみれば、マニフェストは「必ず実行される政策」であるため、いかなる政府・自治体をつくっていこうとしているのか想像しやすく、各政党あるいは各候補者のマニフェストを比較することができ、争点が明確になる。
 ただ、現職でない候補者は財源を明示するのが困難であるとか、そもそも自治体に財源がなく、国の補助金で行っている事業が多いなどの限界も指摘されている。
(参考文献「ローカル・マニフェスト」四日市大学地域政策研究所 イマジン出版)


[補完性の原則]
1「補完性原理」(Principle of subsidiarity)の出典  
 EUの統合の深化と個別加盟国との利害を調整するために、マーストリヒト条約に 盛り込まれた原理で、アムステルダム条約で、具体的なガイドラインが示された。
 EUレベルで実施される共通政策は、各国が独自に行うよりもEU全体で取り組んだ方が効果的なものに限るという原理。もともと1931年にローマ法王ピオ11世が発した、ファシズムの台頭に対して個人の権利が奪われないよう、国家よりも下位の社会集団に問題を解決させるべきだという内容の回勅に由来する。

2 地方自治の場面で使われる意味としては、「住民に身近な行政はできるかぎり、身近な地方自治体で処理されるべき」という理念で、都道府県よりも、市町村、市町村よりもNPOや自治会が第一義的に地域の仕事をしていくということで、これ自体は地域主権の理念にかなっていると思われ、私自身も肯定的に使用してきました。

3 しかし、「自由の森大学講座 ここから日本はよみがえる」筑紫哲也 福岡政行著(日本経済新聞社)の中で、さわやか財団理事長の堀田 力さんがこう言っています。「本来、お上がやるべきことをやらないから我々市民が代わりにやってあげるけれども、あくまで補完にすぎないのだから行政はNPOを使うなよ、そういう気持ちでつい『行政の補完』と言ってしまうんです。だけれども、そうではなくて『積極的な住民の選択』と言った方がいいんじゃないか」 
4 ですから、地域のいろいろな場面における主役はだれかということを考えれば、「補完性の原則」も単なる行政の役割分担の域を出ておらず、主役である市民抜きの論理かもしれません。  
 具体的には行政が音頭をとって「市民参加」を唱え、「市民参加のまちづくり」と言うのはおこがましくて、「(市民主体の)まちづくりへの行政の参画」とでも言うべきでしょうか。  
 ただ、これには市民側と行政双方に課題があって行政の方で「市民参加」を唱えて、役所で資料を全部つくったり、会場の準備も後かたづけも全部行う、そして役所の原案が活かされたプランに市民が名前だけを連ねている。これでは、市民は楽だし、行政も筋書きどおりにできるけれど、真の市民参加とは言えません。  (三鷹市では「みたか市民プラン21」の事務局を市民が担った)  
 大変だけれども、市民の方で事務局を持ち、作業もしてむしろ行政を引っ張っていくようにしないと、きれいな提言はできたけれども、自分たちのつくったものとして責任をもって実行していくということは期待できません。その意識を市民と行政が共有するためにもまずは呼び方から主役が誰かがわかるものにしていきませんか。


[CSR(Corporate Social Responsibirity)企業の社会的責任]
 この言葉で誰もが思い浮かべるのは国内外で頻発した企業不祥事であろう。わが国でも、長引く経済低迷や不祥事頻発の中で「企業の社会的責任」を問う声が高まっている。
 しかし、今日、欧米を中心に論じられているCSRは法令の順守といったレベルにとどまるものではない。
 むしろ、企業と社会が共に持続的に発展するための取り組みであると考えられており、21世紀の経済社会を考える上で重要なキーワードなのである。
 企業間取引においては、欧州企業を中心にCSR基準を満たさない企業とは取引しないケースが増えており、日本企業もその対応を迫られている。
 さらに、消費者が製品・サービスを選択する動機や、ビジネススクール卒業者の企業選択においても、CSRの重要性が高まっている。
 (03/4/18 日経新聞「経済教室」小林陽太郎経済同友会代表幹事より)


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