夢のゴミ箱

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第7話 すべて、愛だった






愛されて 愛されて 愛知り染める頃 


刻だけが知っていた しなやかな離別を


友達より近づいて唇にそっと触れてみたい 隠せぬ想い見破られてる


恋なんて言葉すらしばらくは知らずにいたね ただひたすらに ただ大事に想っていたんだ



あなたの全てが愛だった
















次の日、貴博と遊ぶ約束をした。



俺達はショッピングセンターで買い物をしていた。



そして休憩がてら喫茶店に入り、話題は絵里子との事になった・・・







「あ~お前やっぱり、絵里子だったんだ? でも彼氏おるで無理じゃね? 


わざわざそんな相手選ばんでもいいじゃん。」






俺は やっぱそうだよなぁ・・・ と思いながら自分の気持ちを話した・・・





「俺さぁ、昔、すげぇ好きだった子にちょっとイヤなふられ方してさ、


ホント当たって砕けろっていう気持ちで向かって、まさに砕けちゃったんだよね。 




それ以来、人を好きになるとか、気持ちを伝えるっていうのが怖くてさ・・・


だから、ちょっと気になる子ができても、好きになったらダメなんだ、


恋愛感情なんてなくていい、友達のままでいいって思うようになってたんだよね・・・。




だから今、真剣にこれだけ一人の人を想えたり、


これだけ積極的に動けてるっていうのは俺にとってはスゴイことでさ、


大事にしたい気持ちなんだよね・・・。





あ~・・・。 クッソ・・・なんであいつ彼氏おるんだろうな・・・。」








俺はベラベラと今まで誰にも明かしたことのない事を話していた。







「あ~そうなんだ。それであんなに女友達おんのに、特定の子いなかったんだ?


それじゃあ今はかなり本気なんだな・・・。そしたら気が済むまでやればいいんじゃね?


やらずに後悔するより、やって後悔する方がいいでなぁ。」






貴博はそれまでの表情とは違った真剣な顔で答えた。





「だよな。ありがとな。もうちょっと頑張ってみるわ・・・。」










店を出た俺達は本屋へ行った。



何気なくフラフラとしていると、1冊の本が目に留まった。







『いつも一緒にいたいから・・・』








ペラペラとめくると、そこには俺が絵里子に対して伝えたい想いが描かれているようであった。



貴博に 「なぁ!!俺これプレゼントするわ!!」 と伝えると、俺はそれを包装してもらっていた。







今日、絵里子はバイトで家にいない。



メッセージを添えてポストに入れておこうと思った。



そして雑貨屋でメッセージカードを買った。



しかし、勢いで準備はしたものの、こんな行動をとって大丈夫なのか?と心配した。



動き出した歯車に眩暈がした。



不安だった・・・。



俺の手の中にある綺麗にラッピングされた本を見て、後悔の念も覚えた。










「なぁ貴博。一緒に来てくれん??」





迷惑な頼みだという事はわかっていた。



しかし、背中を押してもらいたかった。



一人では、実行する勇気がなかったのかもしれない・・・。








貴博は 「しゃあねぇなぁ。まぁどうせ暇だし・・・」 と言いながら、ついて来てくれた。



そして、俺は緊張しながら絵里子の家まで車を飛ばした。



車中での俺達の会話はほとんどゼロに等しかった。



俺の頭の中は どんなメッセージを送ろう・・・ という事と、



大丈夫かなぁ・・・ という事ばかりが巡っていた。







「なぁ? こんな事して喜んでもらえるか?」



「わからんけど、好きな人にされたら嬉しいんじゃね・・・?」



「あ~・・・。 それってどうなんだよ・・・。」










そして、絵里子のマンションに着いた。





「よし・・・、そいじゃあ行ってくるわ。」



「おう。頑張ってこいよ~~。」





貴博を一人車へ残し、俺はマンションのポストの所へ行った。



メッセージに「好き」なんて言葉は使えなかった。



散々悩んだ挙句、決めたメッセージは・・・







落ち着いたらまた遊びに行こう あんまり頑張りすぎるなよ








これが今の俺に送ることのできる精一杯の言葉だった・・・。



ラッピングされた本にメッセージを貼り付け、想いを込めてポストに入れた。



その場で拝んでいた俺は他人から見たら変質者だったかもしれない。



そして、貴博の待つ車へ戻った・・・。










「あ~~~!!!! 入れちまったよぉ~~~~!!!」



「ハハハハ。 もう後戻りはできんなぁ。」



「だなぁ。でもホントついてきてくれてありがとな。俺一人だったらここまで出来んかったわ。」



「そいじゃあ今度メシな。」



「マジか!? じゃあ特別に30円までならおごってやる。」



「ハハハ。安っ!! ・・・でもうまくいくといいな。」



「な~。ホントうまくいくといいよ。多分拝んどいたで大丈夫じゃね?」



「ははは。マジかよ!?拝んだのかよ~。ははははは」



「バカヤロー。必死だったっつ~~の。よし帰るぞ!!」







帰り道では疲れがドッと出たが、充実した気持ちだった。



それから貴博と別れ、俺は一人、絵里子と見た海を眺めていた・・・







その夜は絵里子からの連絡を待ちながらも、いつの間にか眠ってしまっていた。



窓から入る夜風が秋の気配を感じさせていた・・・。










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