スズランさんとお話したこと

バリアフリーこぼれ話

バリアフリーついでに、本編外のお話を。



私の叔父は中脳が萎縮する難病になって亡くなりました。
最初はまっすぐ歩けないようなことから始まったようです。
叔父の家は、古い農家です。
2部屋をつぶして、リフォームした部屋を見せてもらいました。

叔父は体のバランスが取れなくて、車椅子もベットも危なくてほとんど使えなかったそうです。
転がったり、はいずったりして移動したようです。

フローリングの部屋と大きな引き戸で水周りの一室をまとめていました。

水回りを一部屋にまとめた図です

叔母が必要であったのは、介護するスペースと、汚しても洗い流せる床、そのまま体をきれいに出来るシャワーやお風呂だったと思います。

トイレを使わせてもらった時に、微妙に、私の欲しい手すりの位置がずれているのがわかりました。
私とは障害が違うのだなあと実感しました。

私の両親はこの叔父の部屋を見て、バリアフリーとはこういうものかと驚き、単純に感心し、恐れたようです。
固定観念のようなものが出来たのだと思います。

手すりさえつければ、あるいは段差に補助を入れれば、何とかなるのではないかという気持ち。
私が入りやすいお風呂やトイレは、私しか入れないような特殊なお風呂やトイレであるかのような錯覚。

私の実家は5年ほど前に、台所やトイレをリフォームしましたが、トイレに手すりは付いていませんでした。
自分たちには必要ないと思ったのでしょう。
あぜんとしました。




実は、この家は当初の予定とは違う場所に建ちました。
はじめは、私の親の土地に建つ予定でした。

この土地が、東と南に高い建物のある20坪強の夜の酒場街にある土地。(@_@)
でも、ここにもう建つぞというまでに計画は進んでました。

おじゃんになった話なので、メーカー名も入れますが、この土地で、地元工務店2社、積水ツーユー、積水ハウスの4社で、計画してもらいました。

いろんなメーカーと付き合うのが負担にならなければ、これは勉強になります。
メーカーと担当者の個性と実力が入り乱れて、面白いです。
メーカーの最先端をカタログで見るだけでも、それを地元の工務店に伝えてプレッシャーを与えるだけでも、面白かったように思います。

さて、ここではホームエレベーターを入れてという見積もりです。
当時で、エレベーターは約200万円、一番安いところで160万でした。
価格はこの際仕方がないとして、ぱっとしないのは、間取りです。
エレべーターとエレベーターホール、それに階段のスペースがたくさんいって、その割になあという感じ。

話がつぶれた時に、書類を全部捨ててしまったので、アップできないのが残念です。

それと、今は坪30万代でとか、値段訴求の安い住宅のチラシをよく見ます。
小さい家でも大きい家でも、水周りの設備等の費用は変わらないので、家が大きいほど坪単価は下がります。
ウチは総2階で28坪前後でした。(今の家で30坪強です)

結局、安さを売り物にしている業者さんまでいかないうちに、この人で建てようということになったので、いまどきの安い家についてはわからないままです。
一部の住宅メーカーではプランが用意されていて、制約の多い20坪の土地では建てられませんでした。

今の土地なら、他の選択肢もあったと思います。
土地を決めた時には、すでに建てる工務店を決めていたので、家の費用と出来上がりに関しては、結局他と比較できませんのでわからないです。

もっと安くいい家が建ったのでしょうか? これは永遠のなぞです。

ただ、「少しでも安く家を作れ!」という至上命令が私の親からあったので、それを裏切る形になり大変でした。
ウチの家は、断熱仕様にしたので、その分確か、240万円ほど余分にいっています。
あとは、私のバリアフリーのためのプラスアルファ。
家自体には、極力お金はかけていないつもりです。

夫の友達とその奥さんが、「240万なら、もったいなくない!」といってくれた時はうれしかったです。
奥さんが冷え性なのだそうです(^^)








段差がないこと程度でも、バリアフリーといえばそうだけれど。
体の快適さを失った分を、家の快適さで補いたいという気持ちがバリアフリー住宅には求められるように思います。
そして、家には、自分の趣味や好みや、生活スタイルの夢や希望、こだわりもつまってる。
そこに立ちふさがるのは、やはり予算。

家が建つだけで幸せなのだという気持ちもあります。
でも、同じ建てるのなら、地震に強くて、断熱がしっかりしていて、
そしてしゃれたきれいな家がいいとも思ってしまう。
現実には、トイレは?お風呂は?キッチンは?
元気であれば考えずに済むような詳細なことを決定するために、すごいエネルギーが要りました。

私は自分の病気がなかったら、もう少し、住宅にはエコ住宅のようなものを求めていたと思います。

できなかったことを書いておきます。

太陽光発電(我々の状況では許されない雰囲気)
中水の利用(風呂の水をトイレで使う、これは他の事で気をとられてしまった)
玄関前のコンクリート部分の透過舗装
(少しのスペースを庭として活用するには、雨をとおす舗装がいいことをあとで、ネットで知り合った庭師さんに教えてもらった)
外断熱工法(営業と設計の人が、我々の好みでなかった)



それと、引越ししてはじめに一番私がうれしかったことは、水を飲みたい時に自由に飲める、
手が汚れたら気軽に洗えるということでした。

元気な周りの人たちは、環境が改善されたのだから、自分で出来ることは何でも出来るだろうと簡単に思ったようでしたが…

実際は、約半年たいした進展もなく、自分自身も、人にやってもらう、手伝ってもらう生活に慣れきってしまって、
もうなんか熱意のようなものがないのかな?と思うこともありました。
幸い病状が安定して、わずかでも改善傾向にあることと、
自分でやろうと思えば出来る環境になったことの相乗効果みたいなもので、
この1年、本当に少しずつ進展があります。

一度失ったものを取り戻すのには、本当にとても長い時間がいるなあというのが、私の実感です。

病気を持った人、障害のある人の体力や適応力は、元気な人からは想像できないものであるかもしれません。
家が改善されて、器が整ったからといって、全てそこからの始まりでしかない部分もどうぞ考慮にいれてくださいね。


どうぞ、良いリフォーム、良い家を建ててください。



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