寮生活・2


学校の向かい側には病院があった。
ここの屋上では毎朝、先生と看護婦さんが体操をして、屋上にいるサルが(きっと南国のサル)「ホゥーーーーッッワッ!!」と奇声を上げていた。
学校はでかい国道沿いだったのでうるさくてしかたなかった。
田舎ものだった私はこの騒音に慣れるのにしばらくかかった。

台風19号のことはいまだに忘れられない。
テレビのない私達にはことの重大さがまったくわかっていなかった。
突然、寮に缶詰にされ、風呂屋にも行けず、電気も止まる。
窓から見る町はなんだか大変なことになっている。
しかも6階のこの部屋が風でユラーーーリ、ユラーーーリと気味悪く揺れるんだよね・・・。本当に生きた心地がしなかった・・・。
はじっこの部屋だった子は、何かが飛んできて壁に穴があき、さらにベランダの天井が大きく落ちてきた。
それでも暑くて、私達は真っ暗闇の中でホースの水を浴びてシャワー代わりにした。
あの時、ビルが折れなくて本当によかった・・・・。

隣の部屋の子は彼氏を連れ込んで停学になった。(寮は女の子だけ。男の子は入れない決まりだった。)
これがさぁ・・・・。何でばれるの?と思ったら、なんと例の向かい側の病院の入院患者がチクリの電話を入れた、って言うからスゴイ。
なんなんだ????一体??
よっぽどヒマだったのに違いない・・・。
そう言えば、彼女達6階のベランダのはじっこに登って遊んでいたときも、病院から連絡が来て怒られていたっけ・・・。
この病院と何かもめていたのかなぁ?

あと、この寮はすごく自分勝手で、こっちは親戚も近所になくて住むところがないから寮に入っているのに、時々週末になると「寮を閉鎖するのでここにはいられない」などと言うことを結構頻繁に言われた。金払ってんだぞ!て感じだけど・・・。
で、そういう時は仕方ないので彼氏の家に泊まったり、車(普段は彼が使っていた)でブラブラしたりしていた。で、追い出すくせに、一応責任があるもんだから「行き先だけは書いていけ」とかノートがまわってくる。
一度頭にきたので「車でブラブラするけんどこに泊まるか、わからん」とかいたら担任にえらく怒られた・・・・。

毎日朝は6時半くらいに起きて、掃除してゴハンを食べて学校に行く。学校が終わるのが4時くらい。
その後すぐにお風呂やさんに行って、5時にはゴハンを食べて、洗濯をして(実習でタオルをいっぱい使うので毎日洗濯していたのだ。白衣とかもあったし・・・。)、私は毎日下手すると点呼の頃(夜8時)にはすでに寝ているという、ものすごく規則正しい生活を送っていた。
学校に入るまでがとにかく乱れに乱れた生活だったので、(夜中の12時から「ラーメン食べに行こうだ~!」って福岡まで車で行ったり・・・)なんだかこういう規則正しい生活ってのが物珍しくて楽しかったりもした。
「規則のある生活」ってのが始めてだったからかもしれない・・・。


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