その14


~さまよえる魂編:終わらぬ悪夢~




融資の話は無かった事に・・・・

矢吹ジョーは最後にリングで真っ白になっていたが、

自分の真っ白さも相当なもんだった。


・・・8・・9・・10!!かん!かん!かん!

10カウントのゴングが鳴り響く!!完璧なノックダウンだ~


漂白剤を使った位、頭の中が真っ白に。




落ちにしてはひどすぎだ。




この時点で他に融資をしてくれそうな人は周りにいない・・・

諦めるしかないのか?

自力で金を貯めてやるしかないのか?


その前に借金もある。。


しばらく力が抜けて何も出来なかったから

前述の日記のような生活を繰り返し、ひたすらぼけ~と生活してたのだ。


が!

2~3週間程そんな生活をしてたある日!!

何となく充電完了のサインを感じ、立ち上がる事が突然出来たのだ!


そうだよ、働らかなきゃ!!

働いて借金返して、金を貯めて再びチャレンジだ!!


と思えるようになったのだ。




ようやく動く気力が出てきたから、

まず自分が 普段お世話になってる命の恩人でもあり、

自分が全面的に信頼している I氏 に報告。


I氏いはく・・・



「そうかそうか・・・、じゃあさ~仕事紹介しよっか?

築地の市場なんだけどさ~知り合いのとこで人を丁度探してるんだけど、

どうかな?

ああいうとこで働くとモノを見る目が鍛えられるし、いいんじゃない?」



という 涙の出る様な有難い話を頂く!

築地で働くと安くてうまいもん食えそうだし~

そんな理由でお願いする事にした。


「じゃあさ~明日にでも人を探してる築地の人に聞いてみるよ。

明日、夕方にでも電話頂戴。」

って事になった。


翌日、夕方~電話をする。


「今日、築地のお兄ちゃんと連絡取れなかったよ~

また明日昼頃電話もらえるかな?」


・・・実はこれが一週間毎日続いた。


どうやら、今~一人辞めるって言ってる人がいるのだが、

その人が辞めたら翌日からでも働いて欲しいと言うのがあっちの内情らしい。。


・・で、その人はいつ辞めるんだ?


それから、その人は辞めましたか?という電話を 毎日 昼にする事になる。


そして、毎日の電話の答えは同じ・・・ 「・・・まだみたい」


働かないと増えていく借金。

築地のバイトはいつ決まるかわからない為、 他のバイトも出来ず・・・

しかし、 金もないので何も出来ず、

ただ一日一回の確認電話のみ!の為に一日を過ごす。



そしてこれが毎日毎日毎日毎日毎日・・・繰り返されて~とうとう1ヶ月程経過。



いくら命の恩人とはいえ、ちょっとこの状況は辛すぎる。

いや、まじで辛すぎた。

せっかく復活したにも関わらず・・・見事に出鼻をくじかれた感があるが~


I氏も明らかに悪気はなく、むしろ全面的な好意で動いてくれてる訳で・・・

しかし、さすがにI氏もまずいと思ってるのが毎日の電話で相当伝わってくる。


そして02年10月の中旬。


もう限界だ。

せっかくだが、I氏にこの 築地の話をお断りして自分でバイトを探そう。

そう決断する。

日々膨れ上がる利子。



そしてキャッシングもカード5枚ほぼ全部限度額までいってしまったのだ。



借金総額・約170万円。





新バイトはうちのメンバーが働くバイト先で人を募集してた為にすぐに見つかる!

こうして無職歴7ヶ月にピリオドをうつ。


無職は時間がある。しかし金がなければ本当にきつい。

目的ないともっときつい。

友人には毎日が夏休みみたいで楽しいよ~と余裕の表情をしてたが、

精神的にはかなりきつかった。

しかし、人生に一度位はこんな時間はあっても良いと思う。

ゆっくりと色んな事について考える事が出来るし。

何かを悟った気すらしたし。




こうして、人生のロングバケーションが終わりを告げた。






2002年11月。

新しい職場で猛烈に働き始めた俺がいた。


借金を返して!

屋台を!

そして揚げパンZを!

いつか必ずやってやるんだ!


そう胸に誓って。





<つづく>



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