け・せらー、せらー♪

太陽と月 Part V (結末)



太陽  と 


Sol e Lua


二人は、その後も交際を続けましたが、二人の間の競い合いは、どんどんエスカレートし

どうしたら自分が目立てるか、我が分らなくなるくらい競い合いは加熱していました。

そして月は、自分の家族まで巻き込んで競っていたので、誰もがあの「鳥」のことを忘れていました。





・・・そう、あの鳥です。





鳥は、しばらく忘れられていました。

当時部落は、大きなお祭りの準備で賑わっていました。

大量のご馳走に、お酒、祭り飾りなどの準備に励んでいました。

月の父は、新たな羽飾りを作り、太陽も新しい装飾を作るため森へ行き、

忙しく過ごしていました。




祭りの夜、月は、父からもらった装飾を身につけ、念入りなおめかしをしました。

そして、太陽が来た時、彼女はとても美しい姿で出迎えました。

太陽も落ち着いた雰囲気で、エレガントながら目立っていました。


太陽は月を見ると、 「なんて美しい!」



月は、満足そうな顔をしました。

ところが、その後に   「でも、僕の飾りのほうがはるかに美しいよね。」


月は、 「なんですって!?ご冗談でしょ?」

「おほほほっ・・・」


まるで、なんて気の毒な太陽とでも言いたげで、哀れむような笑いかたをました。





虚栄心に心を犯され勝敗にこだわり、二人はお互いに譲りません。




月の父親は、二人のその様子を見てどうしたらいいか、分らず

オロオロしつつ、ウロウロしてとても心配をしていました。

何か手立ては無いものかと探していました。




すると、なんという事でしょう!




オーカの隅に積まれた籠などの陰にあの鳥が、放り出されたままではありませんか!

「なんということだ!

「私たちが狩ってきたあの鳥が、まだここにある!」



そう言って、鳥の足首を持ち、その死骸を持ち上げました。


月はびっくりして目を見張りました。

「まあ!!!どうして、忘れていたの!?」

太陽は賺さず、  「信じられない!あの鳥がそこに?」

「月よ!身なりばかり気にしていないで、

たまにはオーカの掃除もしたほうがいいのではないか?」

「長いこと掃除をしてないだろう?」



と、嫌味たっぷりに言いました。



「やめなさい!」



月の父は、その手に持ち上げた鳥を見せたのが間違いだったと後悔しました。

その場は騒然としました。



すると、なんという事でしょう!



死んでいるはずの鳥が、息を吹き返して動き始めました。

鳥の足を持っていた父がびっくりして悲鳴を上げました。

悲鳴は部落中に聞こえました。



その後、雷のような音が響き渡り、そこいらじゅう一面に靄がかかりました

そして、皆が気づいた時には、あの鳥の替わりにトゥパンが立っていました。



その壮厳なで印象的な姿を見て、部落のインディオは、皆、震え上がりました。



トゥパンは、二人の若者を見据え、重い口ようで話しかけました。


おまえ達のやることなすこと、信じられないことばかりだ!

二人とも、虚栄心ばかりが強く、プライドが高く、高価なものばかりを求め、目立ちたいだけだ。

私が贈った鳥は、魔法の羽を持った鳥だった!

二人が素直に受け取り、分かち合っていれば、その性格も変わっていたであろう。

ところが、おまえ達は、虚栄心に負けてしまった。


・・・よかろう!


おまえ達は、それぞれ華麗になり、皆に敬われるだろう・・・





太陽、・・・おまえは黄金に纏われた王となれ!



そして月、・・・おまえは銀に纏われた女王となれ!







その言葉を言い終えると同時にトゥパンと二人の若者は姿を消しました。


それ以降、太陽と月は、喧嘩することも無く遥かかなたの空で、

それぞれ優美に散歩をするようになったのです。




太陽と月



この民話は、「ブラジルの民話と伝説」
(ゴンザウヴェス・ヒベイロ著の物語を改作したものです。)
イラスト: J.Lanzellotti
Texto extraído do livro Histórias e Lendas do Brasil
(adaptado do texto original de Gonçalves Ribeiro)
Ilustrações de J. Lanzellotti





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