R2の不精密データな日々

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あの日の約束



母方の祖母は初孫だった私を、ことのほかかわいがってくれた。
孫にピアノをひいてもらうことは「夢」だったらしい。祖母の生前、私はいつもピアノをひいて聴かせた。そのときの祖母の嬉しそうな顔は忘れられない。
「Mちゃんは、ピアノが上手だね。だからピアニストになるといいよ。」
祖母は最期に入院をしてからもずっと言っていた。
「うん。きっとなるよ」


母は、絵を描く人だった。
家中に画材があふれる中で、私もごく自然に絵を描くようになった。
自分の将来を決めるころ、母を越えることはできないという葛藤があったが、「デザイン」の道を選んだ。
「あなたのセンスは私と違って、とてもいいよ。がんばってね。」と、母は病床に私がデザインしたちいさなカードを大切に持ち込んでいた。
「うん。やってみるよ。」


父は小さな不動産屋を営んでいる。
母が亡くなってから、私は仕事を手伝うようになった。はじめはただの手伝いだったが、昨年、資格をとった。会社を継いでほしいとは思ってないと言うが、「跡継ぎができてよかった」と人に言われると、まんざらでもないものらしい。
そして、私はもうひとつ上の資格をとろうと勉強を始めた。それは無理だろうと言いつつ、「その資格をとったら・・・・」と話す父。
「うん。がんばるよ、わたし。」


私はいつも「約束」を守らない。

いつか、いつかは、父も彼の地の二人に合流するだろう。


そして、私もいつか、彼の地で彼らに再会をするだろう。
その最後の“約束”だけはきっと守れるからね。

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