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2010.08.16
テーマ： 最近、読んだ本を教えて！(24648)
カテゴリ： わくわく児童文学
第2期が追加され，一大叙事譚となった「獣の奏者」の完結編を読んだ。
○ストーリー
祖国リョザ，そして自分が救った女王と大公にゆっくりと迫る危機を打ち払うため，エリンは二年間をかけて王獣部隊を育て上げる。その間に夫のイアルは闘蛇乗りとなり，息子のジェシはカザルム学院で獣医の勉強をする。家族の束の間の再会を味わう暇も無く，ついに東の連邦国ラーザが，攻め込んでくる。ラーザが育て上げた闘蛇部隊とエリンの王獣部隊が対峙した時に，予言されていた大惨事は起きてしまうのか？リョザとラーザの国，女王と大公，そしてエリンたちの運命は？
－－－－－－－－－－－
「探求編」も「完結編」もかなりの厚みがあるが，読み始めると止められなくなり，あっと言う間に読めてしまう。また，「探求編」の感想でも書いたが，第1期の内容に不満を感じた僕のような読者も，この第2期を読むことで，その不満がかなり解消できると思う。
第1期のファンも，そこまで達しなかった人（僕だ）も，読んでみる価値はあると思う。
－－－－－－－－－－－
第2期がいかに第1期で語り切れなかった，また矛盾を抱えたままだった部分を補完する内容であるかは，「探求編（第三部）」の感想で述べたとおりだ。
また王側と大公側の内乱と和睦，つまり1つの王国のことだけを語っていた第1期から，第2期は複数の隣国との政治的な駆け引き，そして開戦が語られている。
－－－－－－－－－－－
完結編で語られるのは，王国の伝説で語られる古王国の滅亡が，今回も再現されてしまうかどうか，という点をめぐる物語だ。
エリンたちは，懸命に王獣部隊と闘蛇部隊の正面衝突を避けようとする。だが闘蛇の飼育の技術は，サーガ国に伝えられてしまっており，またリョザ国は不作や外交の失敗により，国力にほころびを見せてしまい，開戦は否応無く迫ってしまう。
単純にキャラクターを描くのではなく，政治駆け引き，異文化のあつれきなどをきちんと語ることで，物語には説得力のある大きな流れが生まれている。
だが残念ながら，開戦によりかつての古王国で起きた悲劇は再発してしまう。その悲惨な展開もチカラ強く，逃げることなく描かれているのは見事だ。
－－－－－－－－－－－
だが，大絶賛されている第2期「獣の奏者」の結末だが，僕自身は不満に感じた。
まず薄滋水を調節して育てる闘蛇の新品種は，「先祖返り」なのか？ラーザ国もこの品種を育てていたのはなぜなのか？
また悲劇を最後に収めたのが，○○○というのも気になった。薄滋水と○○○という，エリンが嫌い，反発していた技術が，結局は物語を終焉へと向かわせた。
これってものすごく悲劇的なアイロニーだと思える。
さらに言えば，このおかげで，また二世代ほど経過すると，リョザ王国でもラーザ国でも，薄滋水や○○○を駆使して，王獣や闘蛇を再度兵器として育てようとする考えの人が出てきても不思議ではない。
－－－－－－－－－－－
ハイファンタジーとして十分満喫できる「獣の奏者」だが，生き物を人間が必要以上に”加工”してしまうこと，そして人間の制御を離れる可能性のある大きなチカラを持つこと，の2つへの批判はメッセージとして明確だ。
ここから現実のことについて若い読者が考えるのも，良いのかも知れない。
－－－－－－－－－－－
母子の姿が描かれていた第三部の表紙とうって変わって，第四部の表紙には誰もおらず二本の木が描かれているだけだ。
○ストーリー
祖国リョザ，そして自分が救った女王と大公にゆっくりと迫る危機を打ち払うため，エリンは二年間をかけて王獣部隊を育て上げる。その間に夫のイアルは闘蛇乗りとなり，息子のジェシはカザルム学院で獣医の勉強をする。家族の束の間の再会を味わう暇も無く，ついに東の連邦国ラーザが，攻め込んでくる。ラーザが育て上げた闘蛇部隊とエリンの王獣部隊が対峙した時に，予言されていた大惨事は起きてしまうのか？リョザとラーザの国，女王と大公，そしてエリンたちの運命は？
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「探求編」も「完結編」もかなりの厚みがあるが，読み始めると止められなくなり，あっと言う間に読めてしまう。また，「探求編」の感想でも書いたが，第1期の内容に不満を感じた僕のような読者も，この第2期を読むことで，その不満がかなり解消できると思う。
第1期のファンも，そこまで達しなかった人（僕だ）も，読んでみる価値はあると思う。
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第2期がいかに第1期で語り切れなかった，また矛盾を抱えたままだった部分を補完する内容であるかは，「探求編（第三部）」の感想で述べたとおりだ。
また王側と大公側の内乱と和睦，つまり1つの王国のことだけを語っていた第1期から，第2期は複数の隣国との政治的な駆け引き，そして開戦が語られている。
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完結編で語られるのは，王国の伝説で語られる古王国の滅亡が，今回も再現されてしまうかどうか，という点をめぐる物語だ。
エリンたちは，懸命に王獣部隊と闘蛇部隊の正面衝突を避けようとする。だが闘蛇の飼育の技術は，サーガ国に伝えられてしまっており，またリョザ国は不作や外交の失敗により，国力にほころびを見せてしまい，開戦は否応無く迫ってしまう。
単純にキャラクターを描くのではなく，政治駆け引き，異文化のあつれきなどをきちんと語ることで，物語には説得力のある大きな流れが生まれている。
だが残念ながら，開戦によりかつての古王国で起きた悲劇は再発してしまう。その悲惨な展開もチカラ強く，逃げることなく描かれているのは見事だ。
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だが，大絶賛されている第2期「獣の奏者」の結末だが，僕自身は不満に感じた。
まず薄滋水を調節して育てる闘蛇の新品種は，「先祖返り」なのか？ラーザ国もこの品種を育てていたのはなぜなのか？
また悲劇を最後に収めたのが，○○○というのも気になった。薄滋水と○○○という，エリンが嫌い，反発していた技術が，結局は物語を終焉へと向かわせた。
これってものすごく悲劇的なアイロニーだと思える。
さらに言えば，このおかげで，また二世代ほど経過すると，リョザ王国でもラーザ国でも，薄滋水や○○○を駆使して，王獣や闘蛇を再度兵器として育てようとする考えの人が出てきても不思議ではない。
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ハイファンタジーとして十分満喫できる「獣の奏者」だが，生き物を人間が必要以上に”加工”してしまうこと，そして人間の制御を離れる可能性のある大きなチカラを持つこと，の2つへの批判はメッセージとして明確だ。
ここから現実のことについて若い読者が考えるのも，良いのかも知れない。
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母子の姿が描かれていた第三部の表紙とうって変わって，第四部の表紙には誰もおらず二本の木が描かれているだけだ。
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