不破雷導

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May 1, 2005
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テーマ: 小説(12)
カテゴリ: 小説
 朝、目が覚めると、カエルになっていた。

 驚いた。夢かと思い、頬をつねろうとしたが、なんだかぬるぬるして、うまくいかない。
 寝直そうかとも思ったが、なんだか興奮して、眠れない。
 どうやら現実のようだ。私はカエルになってしまった。

 しかし、これくらいのことで、会社を休む訳にはいかない。今日は、大事なプレゼンがある。
 体型が変わってしまったので、スーツが合わないが、身体はぶよぶよしているので、何とか押し込むことができた。

 妻は、「顔色が悪いわよ。目も飛び出してるし。どこか具合が悪いんじゃないの?」と、心配してくれたが、体調は、すこぶるいい。
 しかし、いつもの朝食には、食欲が湧かず、2~3日前から部屋の中に紛れ込んでいたハエを、長い舌で見事にキャッチして飲み込んでしまったときには、自分でも驚いたが、子ども達には大ウケであった。

 足がやけにでかくなっていたので、さすがに靴は、履けなかった。しかしなんとなく、裸足の方が気持ちいいので、裸足で出かけた。

 でも、この体勢だと、さすがにズボンが破れそうになる。大きいサイズのを買わなきゃ。

 いつものように、満員電車にも乗ったが、人は他人のことなど見ていないものだ。
 たとえ、私の姿を見たとしても、変な人(カエルだが)とは、関わり合いになりたくないのか、見て見ぬふりをする。
 満員電車の中に、カエルがいるというのに、騒ぐこともなく、普段とまったく変わらなかった。

 会社に着いても、それほど事情は、変わらない。事務のユリちゃんだけが、ちょっと心配してくれた。

 プレゼンも、クライアントのお偉いさんが、最初は「カエルの着ぐるみを着て来るとは何事だ!」と大層御立腹だったが、着ぐるみでないとわかると、急に好意を持ってくれて、大成功に終わった。

 打ち上げの飲み会では、飲み屋のお姉ちゃんに大モテだった。
 カラオケでは、童謡『かえるの合唱』から、アニメソングの『ど根性ガエル』、ゆずの『かえるのご帰宅』まで、カエルの歌はもちろん、CHEMISTRYの『アシタへカエル』、BOOWYの『季節が君だけを変える』、スピッツの『月に帰る』、五木ひろしの『どこへ帰る』、オフコースの『さわやかな朝をむかえるために』といった、曲名に『かえる』が付いている歌から、松村和子の『帰ってこいよ』みたいに、歌詞の中に『かえる』が入っている歌まで、とにかく『かえる』大特集だった。

 酔っ払って、千鳥足で、いや、カエル足で、家に帰る。

 眠りにつきながら、思った。明日朝目覚めたら、人間に戻っているのだろうか? それともカエルのままなのだろうか?
 でも、カエルのままでも、何も問題ないなあ……。







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Last updated  May 1, 2005 12:53:18 AM
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