■Think OF you■

雪の降る季節


去年の今頃、あたしは笑っていた。

あなたの手を握りながら。
・・・そんな柔らかな時間が続くと、
何の保証もなかったけど・・・
続くんだと、あたしは思っていた。

あなたの病気はきっと良くなり、
自分の足で歩く日が、また来るんだと、あたしは信じていた。


毎日

毎日

毎日

病院へ行き
あなたの笑顔を見るたびに
優しい気持ちになっていた。

あなたの元気な笑顔だけが
弱った心を支えていた。
あたしの湿った心に柔らかな火を点した。

その火は消えることがないと思っていた・・・・。





「おばあちゃんが危ない」
そんな電話を受け、
あたしは車の中で泣きながら病院へ急いだ。
病院へ着いて、病室に入った時
もう涙は溢れてこなかった。

暖かな手

安らかな寝顔・・・・

いつも通り・・何も変わらない・・・














あなたは死んでいた。












「たった今、お亡くなりになられました」

間に合わなかった。

あなたの手を握り、あたしの手に残ったこの温かさは・・・・
手に伝わるリアルな温かさは・・・


あなたの手は次第に冷えていった

あなたは
何も
話さなかった。







初めて経験する
「人の死」
コトバに出来なかった。
頭の中が真っ白だった。




皆を恨んだ。
病院の先生を恨んだ。
病気を恨んだ。
老いていくことの儚さ
全部、全部恨んだ。


「治るって言ったよね?」
ソレが唯一あたしが言った言葉。
先生も看護士も何も言わなかった。
壁をぶん殴ってキレた
怒りを
悲しみを
どう表したらいいかわからなくなった
何をはけ口にしたらいいかわからなくなった




「絶対泣かない」
そう決めたのに
頭に浮かぶのは
「幸せそうに笑うあなたの顔」
でした。










あたしはあなたを失った。





あれから一年。

雪が降る季節
病院の近くを通るたび、
雪が降るのを見るたび、
誰かの笑顔を見るたび・・・・・・

あなたを思い出します。





きっと、毎年
この季節になれば
あなたの笑顔や、あなたとの思い出、あなたの言葉が
あたしの胸をいっぱいにするでしょう。


あなたの笑顔ばかり思い出します。


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