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政策調整システムの運用指針

政策調整システムの運用指針


平成12年5月30日
閣議決定


1. 基本的な考え方

中央省庁等改革においては。内外の社会経済情勢の変化。行政需要の複雑化、多様化が進展する中で、国の行政の「総合性」、「機動性」、「透明性」の向上を図ることとしており、このため、「内閣機能の強化」、「省庁の大括り再編成」を行うとともに、「政策調整システム」を構築することとしている。

本指針は、内閣法、内閣府設置法、国家行政組織法等により定められた政策調整システムの枠組みの下で。政策調整に関する一般的なルールを明らかにすることにより、省庁をまたがる政策課題の増大に対応して政策調整が迅速かつ的確に行われることを促し、政府全体としての総合的な政策(以下「総合的政策」という。)の機動的形成に資することを目的とするものである。

内閣官房及び内閣府並びに各府省は、本指針を十分に踏まえて、迅速かつ的確な政策調整を図るものとする。

なお、本指針に示すルールは政策調整に関する一般的なルールであり、政策調整を行うに当たっては、行政の遅滞や非効率化等を招かないよう、個別の法律に調整に関する定めがある場合や既に適切な調整手続が確立している場合にはこれらによるなど、案件に応じ、最適な方法で行うものとする。

2. 内閣官房及び内閣府による総合調整に関する指針

(1) 内閣官房及び内閣府による総合調整

まる1 内閣官房及び内閣府は、総合的政策の機動的形成を図るため必要な場合には、以下の総合調整を行うものとする。

イ. 政府全体としての政策の方針を示し、戦略的かつ主導的に総合調整を行うこと。
ロ. 関係府省からの申出を受けて、必要な総合調整を行うこと。
ハ. イ. ロ. のほか。府省間相互の迅速かつ的確な政策調整を促すため、政策の方針の指示やハイレペルの者相互において直接金調整を行うことの指示等により、総合調整を行うこと

まる2 各府省は、内閣官房が内閣の下における最高かつ最終の調整機関であり、内閣府が特定の内閣の重要政策に関し内閣官房を助けて総合調整を行う機関であること、並びに内閣官房及び内閣府が行う総合調整は内閣が行政各部を統轄する高い立場から行われるものであることを十分踏まえて対応するとともに、内閣官房及び内閣府が迅速かつ的確な総合調整を行うために必要かつ十分な情報の提供等の協力を行うものとする。

(2) 内閣及び内閣総理大臣との関係

内閣官房及び内閣府は、総合網整を行うに当たっては、内閣及びその首長としての内閣総理大臣の意思の的確な実現を図るものとする。

(3)内閣官房と内閣府の関係

まる1 内閣官房及び内閣府は、内閣府設置法第3条第3項の規定を踏まえ、同法第4条第1項及び第2項に規定する内閣府の所掌事務に係る案件についでは、内閣府が一次的に担当することとし、内閣官戻は必要と認める場合に内閣の下における最高かつ最終の調整機関として関与するという役割分担を基本としつつ、内閣総理大臣、内閣官房長官等の指示に従い、案件ごとに最もふされしい形で総合調整の事務を分担するものとする。この場合において、内閣官房と内閣府の役割分担については、関係府省に対し、速やかに示されるものとする。

まる2 内閣官房及び内閣府は、まる1の役割分担の下で総合調整を行うに当たっては、相互に密接な連携を図るものとする。

(4)特命担当大臣等

まる1 特命担当大臣は、その命ぜられた事項に関し、内閣府の行う総合調整を指揮監督するとともに、以下のとおり、内閣主導の総合調整を行うものとする。

イ. 関係府省に対しできる限り具体的な案の提示、調整の指示等の必要な措置を講ずるとともに、関係府省の長に対する資料の提出及び説明の要求、勧告並びに勧告に基づいてとった措置についての報告の要求の権限並びに内閣総理大臣に対する意見具申の権限を適時かつ適切に行使する。
ロ. 高度の判断を要する重要な政策課題その他調整の円滑な進展が困難な政策課題に関して関係府省の大臣と調整を行うなど、必要に応じ、直接調整を行う。

なお、大臣間で調整を行うに当たっては、内閣が最終的な決定機関であることを踏まえ、重要な調整案件については閣議において報告した上で大臣間で調整を行うなどにより、迅速かつ的確な政策調整を図る。

まる2 内閣府の副大臣及び大臣政務官は、内閣府の総合調整において、内閣官房長官又は特命担当大臣の命を受けて、直接調整を行うなど、内閣官房長官又は特命担当大臣の事務を適切に補佐するものとする。

(5) 重要政策に関する会議

経済財政諮問会議、総合科学技術会議、中央防災会議及び男女共同参画会議は、内閣主導の総合調整に資するよう特定の内閣の重要政策に関し調査審議を行うものとする。

(6) 調整省の指定を通じた総合調整

まる1 内閣官房及び内閣府は、直接総合調整を行うほか、必要に応じ、一又は複数の府省を調整省として指定し、総合調整において必要な関係府省間相互の政策調整の取りまとめを行わせることができるものとする。この場合において、内閣官房及び内閣府は、所掌事務に照らし最もふさわしい府省を指定するものとする。

なお、調整省の指定を通じた総合調驚を行うに当たっては、内閣官房及び内閣府は、相互に密接な連携を図るものとする。

まる2 内閣官房及び内閣府は、その指定する鋼整省が取りまとめを行う府省間相互の政策調豊(以下「指定調整」という。)について、調整省及び関係府省に対し、以下の事項をでをる限り具体的に示すものとする。

イ. 政府全体としての政策の方針

ロ. 調整の進め方に関する方針

ハ. 調整を終了すべき期限

まる3 内閣官房及び内閣府は、指定調整の調整状況に応じ、迅速かつ的確な政策調整を促すため必要な総合鯛整を行うものとする。

3. 府省間相互の政策調整に関する指針

(1) 府省間相互の政策調整

各府省は、総合的政策の機動的形成を図るため、以下のとおり、府省間相互において必要な政策調整を行うものとする。

イ.各府省は、政策の企画及び立案を行うに当たって、総合的政策の形成のため他府省と調整を図る必要があると認める場合には、当該他府省に対し、必要な意見照会を行うものとする。

意見照金を受けた府省は、速やかに、検討を行い、結果を回答するものとする。この場合において、回答として意見を提出する場合には、ロ. によるものとする。

ロ. 各府省は、その所掌事務の遂行を通じた任務運成のため他府省の政策について調整を図る必要があると総める場合には、その必要性を明らかにした上で、当該他府省に対し、その政策に関する意見を提出することができるものとする。
意見の提出を受けた府省は、連やかに、検討を行い、当該意見の政策への反映の是非及びその理由をできる限り明らかにして回答するものとする。

ハ. 各府省は、ロ. の意見の提出及び回答を通じても政策の調整が図られない場合には、関係府省間において迅速かつ適切に必要な協議を行うものとする。

ニ. 各府省は、その所掌事務の進行を通じた任務達成のため政策調整を図る必要があると認めるときは、その必要性を明らかにした上で、他府省に対し、必要な資料の提出又は鋭明を求めることができるものとする。要求を受けた府省は、迅速かつ適切に当該要求に対応するものとする。

(2) 内閣官房及び内閣府による総合調整

内閣官房及び内閣府は、府省間相互の政策調整に係る政策課題に関し、関係府省から申出があった場合その他の場合において総合的政策の機動的形成を図るため必要があると認めるときは、2. により必要な総合調整を行うものとする。

(3) 大臣による調整等

まる1 各府省の大臣は、府省間相互の政策調整において、当該府省の行う調整が迅速かつ的確に行われるようハイレペルの者相互において直接調整を行うことを指示する等の指揮監督を行うとともに.高度の判断を要する重要な政策課題その他調整の円滑な進展が困難な政策課題に関して関係府省の大臣と調整を行うなど、必要に応じ、直接調整を行うものとする。

なお、大臣間で調整を行うに当たっては、内閣が最終的な決定機関であることを踏まえ、重要な調整案件については閣議において報告した上で大臣間で調整を行うなどにより、迅速かつ的確な政策鯛整を図るものとする。

まる2 各府省の副大臣及び大臣政務官は、府省間相互の政策調整において、その府省の大臣の命を受けて、直接調整を行うなど、大臣の事務を適切に補佐するものとする。

まる3 各府省の大臣は、大臣間の調整によっても調整が図られない場合には、速やかに、内閣総理大臣に対し、調整に係る政策課題について内閣法第6条の規定による措置がとられるよう意見を具申するものとする。この場合において、内閣総理大臣は、速やかに、当該調整に係る政策課題について内閣の方針の形成を図るものとし、必要に応じ、閣議にかけて決定した方針に基づいて行政各部を指揮監督するものとする。

(4) 府省相互の連携

各府省は、総合的政策の機動的形成を図るため、府省共同での政策形成、府省相互の政策に関する情報の交換、認識の共有等の府省相互の連携を図るための取組を強化するものとする。

4. その他の政策議整に関する指針

(1) 府省間調整会議

内閣官房及び内閣府並びに各府省は、例えば、以下に掲げる場合など、関係閣僚会議その他の関係府省が同時に参加する政策調整のための会議(本指針において「府省間調整会議」という。)を活用することが政策調整を迅速かつ的確に行うために有効であると認めるときは、機動的にこれを開催するものとする。

イ. 三以上の府省の政策が関係する調整を行う場合

ロ. 三以上の府省による総合的な対応が求められる政策課題に関し、府省共同での政策形成、府省相互の政策に関する情報の交挨等を行う場合

(2) 透明性の向上

政策調整の透明性の向上を図るため、政策調整に関する情報の公開については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づき、適切に対応するものとする。

(注)本指針において、以下の用語はそれぞれ以下のとおり整理する。

1. 「内閣官房及び内閣府」とは、内閣が行政各部を統轄する高い立場から行う総合調整の実施主体を指すものであり、案件により、内閣官房若しくは内閣府のいずれか又は内閣官房及び内閣府の双方を指すものである。また、この場合における内閣府とは、内閣官房を助けて総合調整を行う行政機関としての意味に限定されるものとする。

2. 「府省」とは、内閣府、各省並びに委員会及び庁(国家行政組織法第3条第2項並びに内閣府設置法第49条第1項及び第2項に基づき設置される委員会及び庁をいう。)をいい、この場合における内閣府とは、各省と対等の立場で行政事務を所掌する性格を持つ行政機関としての意味に限定されるものとする。

3. 「府省の大臣」とは、府省の長である国務大臣並びに内閣官房長官及び特命担当大臣をいう。また、 「府省の副大臣及び大臣政務官」は、防衛庁の副長官及び長官政務官を含むものとする。


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