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THE GOLDEN GATE
The Seeker
2001年6月23日 名古屋ハートランドスタジオ
「Are you the Seeker???」
ある意味無茶苦茶だ。
そんな、会場に入れないのに、それこそライヴ会場でしか売ってないCDを手に入れるためだけに
わざわざ名古屋まで出かけていくなんて、正気の沙汰ではない。
(まあその他にも用事はあったのだが)
いや、そもそも”Sleepless Beat 30min”…つまり30分間のライヴのためだけにそここちから出かけてくる我々は、
世間から見ればよっぽどの好きものだろう。(笑)
6月23日午後6時。
名古屋市伏見にある「ハートランドスタジオ」では、
東海地方のみならず東京など遠方から来た「好きもの」(笑)の面々が今や遅しと開場を待っていた。
皆、雨もよいの天気をものともせず興奮し、体に期待感を漲らせている。
そんな中私は当初の目的であったグッズとCDを買い、知り合いの顔を見つけては「がんばってね」と妙な激励を飛ばした。
アーティストの衣装の美麗さとファンの格好の過激さ(笑)は比例するのが音楽シーンにおける法則の一つである。
ご多分に漏れずハートランド前の道は、少々エキセントリックな(笑)格好をした人が多かった。
DA系アーティストのファンは「非常に凝ったこと」をなさるコスプレイヤーが多いが、
今回はまるで「装苑」(ファッション誌)や何かから抜け出てきたような格好の方もいらっしゃる。
これはきっとヴォーカルのD.Kさんがモデル出身であるせいだろう。
(「大地」という名前で活動してらしたそうな)
雑誌の記事やプロデューサーの浅倉大介氏の言によれば、
彼は普段からかなりトバした、もとい(笑)スタイリッシュな格好で街を歩いていらっしゃるそうだ。
まあ、あの方の顔立ちで普通の格好をしたらかえってダサく見えそうだが。
開場時間である6時半ごろ、愛知県豊橋市が本拠地で、東海地方のみならず全国的に有名なDA系コピーバンド
「Niceman」「Nad and Solder」のお三方が会場に到着。
彼らにはもはやオーラがあるように思う。(笑)
なにせ人ごみの中でもすぐにそれと判ってしまうのだ。
(私が注意して見ていたせいもあるかもしれないが…)
さて、私は前述のごとくチケットがないので列が消化されていくのを歩道から見守っていたのだが、
私を入場するお客さんだと思ったのだろうスタッフの方が何度も声をかけに来る。
お手数をおかけして申し訳ないね、と、やはりチケットがなくて入れない方々とお話ししたが、
列がすべて消化されると「当日券をお求めの方はお並びください」と声がかかった。そうか、当日券が出たんだ。
少し気持ちが揺らいだが、今日はサンダルで来てしまったので残念ながら遠慮しておくことにする。
何せあの狭いスペースに300人近くを詰め込んでいるのだ。
ライヴが始まったら押されたり踏まれたりするのは当然の世界にサンダル履きで入っていったら、何が起こるかは言わずもがな、だ。
(暫く使い物にならなくなる…)
まあ今日来るのにグッズ代と打ち上げ代ぐらいしか持ってきてなかったのも理由の一つだが。
ライヴが始まる時間になった。
音が聞こえてこないかと耳を澄ましてみたが、生憎ここはオフィス街。
会場が地下にあるのもあって音が漏れてくることはない。
オフィス街の中にあるから防音はしっかりしてあるんだろうな。
(音が漏れたらいろんな所から苦情が来るだろうから…^^;)
耳をすましつつ会場に入れなかった方々と、「浅倉大介氏のやりたい音楽と表現したい世界に見合う会場がないために
ツアーを飛ばされた文化的に不毛な土地、名古屋(爆)」と
「っていうか名古屋にもZepp作ろうよ…福岡や札幌にもあるのにどうして名古屋にはないの?ここでも需要あるんじゃないの?」
(注:「Zepp」一会場に3000人近くを収容可能な世界最大級のライヴハウスチェーン)
という話をしたのちこれから帰るという人を見送って、私は近くの○スバーガーで雨宿りをすることにした。
窓際の席に座って雨の街を眺めながらさっき買ったフォトブックを鑑賞する。
うむ、随分と毒気のある美しさだ。
ロックの系統にパワー重視で肉体をひけらかす(笑)タイプと痩身で精神を侵食してくるようなタイプがあるように、
美しさにもいくつかの系統がある。
例えば「夏の太陽の下に置くのが似合う」ようなものや「春の柔らかな風のごとき」美しさなどいろいろだが、
Seekerさんは「できれば夜の闇の中で鑑賞したい」美しさである。
ただし、彼らが本当に夜の闇の中からぬっと現れたら、大抵の人は走って逃げたくなりそうだが。(百鬼夜行かい…笑)
だからここで彼らのヴィジュアルの特徴を言うならば、まるっきり「ゴシック的退廃の闇が云々」という感じではなく、
特にD.Kさんは無茶苦茶スタイリッシュだ。
それこそどこかのブランドのコレクションに登場しそうな感じのコスチュームとメイクである。
ただ、彼らが纏う雰囲気が、彼らの存在を不確かにさせるようなもので、
浅倉大介氏曰く「サウンド的にはバーチャル・バンドを意識中(PATi-PATi6月号)」な感じだ。
確かに私は昨年8月、愛知厚生年金会館で行われた「DA’s Party β Version’00 Summer」で、(その時はまだ「ITO+D.K」だったが)
彼らのご尊顔を拝し、その歌舞の技も拝見させて頂いたが、
その時から「ほんまにこの方たちは(特にD.Kさんは)現実世界の人間なのか?」的な雰囲気を若干漂わせていた。
「実は本体は東京にいて、ライヴに出ていたのはホログラフでした」
なんて言われても「ああそうなのか」と納得してしまいそうな印象だったのである。
(それを言うならダイスケアサクラ氏も一緒か…笑)
さて時間は過ぎ、終了予定時刻の7時30分になった。
会場の前まで移動したが、まだ人が出てくる気配はない。
やはりライヴが終わるのを待っているという方と雑談をしながら待った。
手持ち無沙汰だったので、すぐそこにある某新聞社に投石でもしてこようか、いややはり近くのYAMAHAのビルを拝んで来ようか、
などど冗談を言ってしまったが、某新聞社の話題は非常に分かりにくかったことだろう。
(何せ私がいる大学のでも一部にしか通じない冗談だからな…笑)
予定を10分ほど回って、会場から人が出てき始めた。
皆様熱狂のあとで上気した顔をし、全身汗だくである。
興奮した面持ちの知人を捕まえて感想を求めると、「凄かった!」と叫ばれた。(笑)
続けて「鼻血出そうでした」と熱くD.K氏のことを語っていたが、不意にしみじみとした口調で
「なんだか見ているうちに悲しくなりましたよ…美しすぎて」と漏らした。
他の方に伺っても「美しい」「綺麗」を連発していたので、どうやら本当に彼は美しかったらしい。
…パタリロの曲を地でいくようなパフォーマンスをD.K氏が見せたってことだろうか?(笑)
彼女たちの表情を見て、ちょっと勿体無いことをしたな、と思った。
暫く「偽倉ファミリー」(コピーバンド「Niceman」のメンバー偽倉大介氏とその仲間たち)と
打ち上げに行くメンバーが集合するのを待ってから、団をなして栄方面へ移動。
土曜の夜だからさぞ賑やかだろうな、と思った街は予想に反して静かだった。
道を歩いている人も少ないし、車もさほど走っていない。
確かにこの辺はオフィス街だけど、それにしたってまだ8時前。
今まさに飲み屋や繁華街が賑やかな時間じゃないのか?
(名古屋にライヴや観劇に来る度、どうして舞台が終わったあとに気軽に入れるような店がないんだろう、と思う)
ともあれ20分ほど歩いて店に到着した。
店に入ってみるとなにやらえらく元気な女の子の集団がいた。
なんだかかなり聞こしめした様子である。
おいおい君たち他のお客さんに迷惑じゃないのかい?と思いつつ席に付こうとすると、打ち上げメンバーの一人に彼女たちが走りよって来た。
どうやら顔見知りらしい。
彼女たちの質問を逃れてきたその子に聞くと、「同じ学校の人間です^^;」と漏らした。
そうか…偶然って怖いね…(はは)
彼女が学校名を言うと「え、あそこってお嬢様学校じゃないの??」と言う声が飛んだ。
この地方出身ではない私は知らなかったが、この辺ではその学校は「お嬢様学校」という位置付けがなされているらしい。
まあ世の中にはいろんな人がいるからねぇ…(ははは)
でも私はあんな酔っ払いは認めんぞ。だって美しくないもの。(おい)
確かにここは酒を飲む場所だけど、ちょっと元気が良過ぎるんじゃないかしら?
大人になるってことは場所柄をわきまえた行動が取れるってことでもあると思うけど、
大人の特権である酒を飲める資格があるなら、是非その辺を考えて欲しい。
でなきゃ酒を飲む資格はないぞ…と酒好きとしては思うんだが。(苦笑)
彼女たちを横目に見つつ歓談したあと、9時半ごろに私はお暇することにした。
コピーバンドのメンバーさんと記念撮影をした後店を辞す。
この時間になっても外には相変わらず人が少ない。
栄の駅まで行ってようやく人が増えたかな、といった感じだが、集団の圧迫感を感じる程ではない。
店が軒並み閉まっている地下街を歩いて地下鉄に乗ったが、こちらも満員電車には程遠い。
本当に今日は土曜日か?と疑いたくなったが、これが名古屋の風景なんだろう。
ここぞという繁華街、歓楽街がない名古屋では当たり前か?
ちなみに後日「土曜の子達は、留学から帰って来た子のお祝いだったそうです」というメールが知人より入った。
そうか…でもそれでも…ちょっと元気良すぎだったなぁ…
なんて思ってみたりする。(苦笑)
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