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レッドズノート
第1話 出陣
古都ブルンネンシュティグの王の間へと続く道に王直々の騎士の後ろをついて歩く3人の冒険者の姿があった。
騎士が低い声で告げるように言う。
「もう少しで王の間だ、くれぐれも失礼のないようにな」
一番後ろにいた冒険者の戦士が軽く返事をする
「わかりましたよ、変なこといったら、牢獄行きっしょ?」
彼の名はヴァン。海のように深蒼の短い髪をさらつかせ、新緑のような緑色の瞳は、彼がまだ若いことを意味していたが、実力は折り紙つきだ。
「牢獄はないよ、国がこんな状況なんだからさ、ヴァン」
その前を歩いていたランサーが、慣れた様子で言葉を返す。
彼女はロレッタ。夕焼けのように綺麗な赤く長い髪をし、琥珀のように美しい瞳は周りの視線を集める。
ヴァンとは同年代で、元々同じギルドに所属していた。
「へぇ、だったらなんなんだろうな?」
一番前を歩いていたウィザードが、皮肉交じりにいう。
彼はラムサス。ヴァンとロレッタより4つ年上だ。
2人より拳1つ分高い背丈と、なかなか話上手なことから、ギルド内での彼の信頼は厚い。
騎士が重苦しく告げた。
「ここが王の間だ。言葉は慎めよ」
鉄で出来た重い扉がギィィと開き、中に入っていく4人。
中には、現ブルンネンシュティグ王が、3人を待っていたかのように立ち上がり、話し始めた。
「待っていたぞ。ヴァン、ロレッタ、そしてラムサスよ。」
さすがにさっきのように軽い口調ではなく、忠誠心を示すような口調でラムサスは答えた。
「光栄です。王直々にご命令が下るとは、私も集中して仕事できるものです。」
さっきとはまるで違う態度に、2人は顔をしかめた。
ロレッタとヴァンは、このウィザードが苦手だった。
苦手な理由は、ロレッタの方はしつこく話しかけてくるため、うんざりしていてヴァンはというと、ある事を言われた時から苦手になった。
その一言はというと
『お前に、彼女はつりあわん』
といわれたからだ。苦手というよりは、ライバル視といった方が正しい。
そんなことを知っているのか知らぬのかわからぬ口調で続ける。
「・・・それで、命令とは?」
「そうだ、お前たちには、神聖都市アウグスタに行き、呼んでほしい者がいる。」
「呼んでほしい者・・・と申しますと?」
「うむ、そのアウグスタには、アシャーというビショップがいる。その者をつれてきてほしいのじゃよ」
話を聞きながら、ヴァンはふと思っていた。
(アウグスタ・・・か・・・)
古都ブルンネンシュティグからかなり離れている神聖都市アウグスタは歩きでは約1日かかる。
行くまでにも、怪物達がウヨウヨしているため、行くだけでも危険な任務だなと感じた。
「了承いたしました。その者を必ず連れてまいります」
王の「任せたぞ」という言葉を背に受けながら、3人は王の間を後にした。
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