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レッドズノート
第18話 裏切り
「ファントム・クラウン!見つけたぞ!」
夜の間、この旧レッドアイ研究所に入り込んだ4人の1人・・・アシャーはファントムの姿を見つけるなりこう叫んだ。
アシャーに続き、レヴァルやロレッタ、ラムサスもワープポータルから隠し階層であるB4へ移動してくる。
「おや・・・貴様はアシャーではないか。よくここがわかったな」
メキジェウスの言った言葉に、アシャーは驚愕した顔で答える。
「貴方は・・・メキジェウス!?大天使メキジェウス様か!?」
「知り合いなのか?アシャー」
その質問は、アシャーではなく、メキジェウスが代わりに答えた。
「・・・今の天上界の法を司る三大天使の一角・・・メキジェウス・レヴァールとは私のことだ・・・その大天使に『貴様』よわばりとは、随分と偉い身分になったものだな・・・第13護廷所属アシャー・シーゲル?」
アシャーは、「ぐ・・・」と洩らした後、ラムサスがメキジェウスの横の巨大な機械を見、言った。
「その横にあるもんはなんだ!?」
「・・・さぁ・・・なんだろうな?そこのウィザード君。」
その言葉に少し苛立ちを感じながらも、ラムサスは改めてそれを見た。
何かのエネルギーゲージを示す赤い枠。
大砲のように突き出した突起物。
そして・・・おそらくはそれを実行するためであろう赤いスイッチ。
「まさか・・・」
「・・・そう、そのまさかだよ。」
ファントムが、奥の台座から『REDSTONE』をはずし、手にもちながら言う。
「・・・私はこの『REDSTONE』の魔力でこの兵器・・・『グングニール』を起動、その取り込んだ魔力で一気に、古都ブルンネンシュティグを破壊する。全ては、今夜のうちにな・・・」
それを聞いたロレッタが『ランス』を構えながら叫ぶ。
「そんなこと、絶対にさせない!!」
そしてそのまま、ファントムを止めようと接近するが、ファントムは避けようともしない。
ロレッタの『ラピットスティンガー』がファントムに突き刺さる瞬間、ファントムとロレッタの間に、『エグゼキューショナーズソード』を盾代わりに構えたレクルが割って入り『ラピットスティンガー』を受けた。
鈍い金属の音が響く。
響きが収まると同時に、ファントムが言った。
「・・・よくやった、レクル」
「ヴァン・・・なんで・・・!」
その後、素早く『エグゼキューショナーズソード』を持ち替え、横薙ぎの一撃を紙一重で回避するロレッタ。
「・・・オレは・・・ファントム様の手下だ・・・ヴァンなどという人物ではない・・・!」
そして、ファントムはメキジェウスに『REDSTONE』を手渡そうと歩み寄る。
「・・・残念だったな、ロレッタとやら。レクルは、お前のことなど記憶に無いらしい。クックック・・・」
そして、メキジェウスに今手渡されようとした瞬間、ある一言の静止が入った。
「ファントム様、待ってください・・・」
それは、ファントムにも・・・ラムサスにも聞き覚えのある声。
その声の主は、ファントム・クラウンの妹、キャロル・クラウンだった。
「・・・なんだ?キャロル?」
「1つ・・・聞いて確認したいことがあります・・・」
「よいだろう、言ってみろ。」
「・・・ファントム様は、その兵器で、古都ブルンネンシュティグを破壊するつもりなんですよね・・・?」
「そのとおり、古都ブルンネンシュティグの中心部の城に撃ち込み、現国王を殺す。もしお前が『REDSTONE』の心配をしているのなら大丈夫だ、古都を破壊した後、この『REDSTONE』はメキジェウスに返還し、今の元素の狂いを直してもらう・・・そういう手順になっている・・・」
「・・・違います、私は・・・」
「・・・お前の心配なら、全て大丈夫だ。心配などするな。」
そして、再び手渡そうと近寄る。
「待て!ファントム・・・っ!」
レヴァルが『フランシスカ』をとりだし『ダブルスローイング』をしようと構える。
「・・・邪魔はさせないよ!?お前!」
しかし、咄嗟に上からの殺気に気付き、間一髪のとこで回避する。
ミーシャが、『ドラゴンクロー』で斬りかかってきたのだ。
近くの部屋から、ラベルとレーシェルもそれぞれの獲物を手に飛び出してくる。
「ハハハっ!こないだの奴ら!ぶっ殺してやる!」
「覚悟しなっ!」
「くそ!ジャマをするな!」
そして、メキジェウスの手に『REDSTONE』が手渡された。
ファントムが、メキジェウスに言う。
「後は任せたぞ、メキジェウス。」
「・・・ああ、わかった・・・」
だが、その次の彼の言葉は、ファントムを驚愕させた。
「・・・さよならだ、ファントム。」
「・・・何?」
その『さよならだ』の言葉を合図に、メキジェウスの周囲がゆがみ、そこからワープポータルが出現した。
そして、その中から、黒い鎧を付けて武装した天使が数人ほど出現した。
天使兵の1人がその剣でファントムに切りつけてくる。
ファントムはその斬撃を紙一重で後ろに下がってかわすと、メキジェウスに言った。
「・・・どういうことだ!?メキジェウス!?」
「・・・どうもこうも、こういうことさ。ファントム」
メキジェウスは、ビショップから、天使へと変身する間に答える。
「私のような者が、貴様の命令のままに素直に従うと思うか?」
そして、メキジェウスはその翼を広げた。
あきらかに周囲の天使兵とは違う翼の美しさ。
荒々しくもあり、神々しくもあるその六枚の翼は、まさに大天使と呼ぶにふさわしいものだった。、
その翼を広げ終わると、メキジェウスは今までのファントムとの仲を切るような発言をした。
「・・・あとは、私の好きにやらせてもらう。」
ファントムが、怒りを込めた声で怒鳴る。
「・・・貴様!」
天使兵の1人が、まるで操り人形のような機械的な声で、メキジェウスに聞く。
「・・・メキジェウス大天使様、この者達の処分をどうなされますか?」
「・・・かまわん、皆殺しにしろ・・・」
その言葉を合図に、天使兵たちは一斉に腰から剣を抜いた。
・・・古都の存亡を掛けた戦いは、今始まった。
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