手術当日:お気楽と地獄 |
本を読んでウトウトしては目が覚めて本を読んではウトウトを繰り返していた。 なかなか時間が進まない本当に長い夜だった。 早朝から浣腸・・そして着替え 人の気配に目を開くと看護師さんがやってきて浣腸の時間といわれ、やっと朝の5時。 看護師さんの持つながーい管のついたでかい浣腸に少々ビビルも、看護師さんに身を任せてトイレで浣腸。「3分位、出来る限り我慢してくださいね。」といわれ、トイレに閉じこもって出来るだけ我慢・・。しかし恐らく3分も経たないうちに限界を迎えてしまった。 ちゃんと肝心なモノは全部できっていないような不安を抱きつつベットへ戻ったところに、すかさず看護師さんがやってきて、今度は手術用の服とT字帯に着替えてといわれ、手術用の服を渡される。 とうとう、T字帯を付ける時がきてしまった。恐らくフンドシと同じ要領なんだろうな(付けたことないけれど)と思ったけれど、一応念のために付け方を確認。やはりフンドシだった。薄っぺらい布一枚。なんかすーすーして簡単にずれてしまいそうで心許ない。そして手術用の服を着て、着替え完了。再びベットに入ってウトウト。 部屋の電気がつき起床の6時。日課の検温、血圧測定。手術前の点滴が始まる。 テレビをつけてみたものの、完全に寝不足。もうすぐ手術だというのに、頭がボーっとしていて、緊張感どころかやっと良い感じの眠気に襲われて気がついたら8時半過ぎ。 あれよあれよと手術室へ あーもうすぐ手術かぁ、最後のトイレ行きたいなー。もうすぐ9時になっちゃうなーなんてぐずぐず思っていたところに、看護師さんが慌ただしくやってきて、「トイレ行きましょ」と看護師さんが点滴を持ってトイレに連行しまった。やっとトイレに行たというのと、手術前に全部出きってくれたようでホッっとしてやれやれ・・と病室に戻ろうとしたら、「あ、トイレ済んだ?ストレッチャーに乗って。」といわれ、ベットに戻る間もなく、病室の前に用意されたストレッチャーに乗せられ、シャワーキャップみたいのをかぶらされ、あれよあれよという間に、手術室へ。 普通は家族が頑張ってねなんてちょっと不安そうに見送られたりするんだろうけど、家族にもわざわざ来なくていいと言っていたので、そんなことも一切なし。 朝9時 手術室 しばし手術室の前室らしきところで待たされるも相変わらず緊張感も湧かず、これが前室かとボーっと部屋のあちこちを見たりしていた。横で行われていた病室看護師さんと手術室看護師さんの引継ぎも終わったようでいよいよ手術室へ。 大きなライトと手術台が目に飛び込んできてくると同時に、音楽が耳に飛び込んできた。なんとGLAYである。手術室でもって朝からGLAYである。とりあえずのBGMか、それともスタッフの誰かの趣味か、GLAYを聞きながら手術するのか?と少々考え込むも、ここが手術室かぁ・・と、またあちこちを見渡したりしていた。 そのうち、どんどんスタッフのが部屋に入ってきて、慌ただしい空気になってきた。そして体になにやらペタペタ貼り付けられて、自分の心拍らしき音がピッ・ピッ・・と聞こえてきた。いよいよか・・と思っていたところに、点滴から「眠くなる薬が入りますよー」と言われ、死ぬときはこんな感じなのかなーなんて思っているやいなや、おそらく10秒もたたないうちに強烈な眠気に襲われ意識を失ってしまった。 ボーっとお気楽な状態はここまでで、手術後はとにかく大変だった。 昼 手術終了 「終わりましたよー。わかりますかー。」との声に意識が戻り、うっすら目を開けるとまだ手術室にいた。 朦朧としつつも前室には次の患者さんが待機しているのが見え、その患者さんがいよいよですね、なんて看護師さんにいっているのがわかった。そしてレントゲン室へ移動。 レントゲン室で「はい、おーきく息を吸ってー、はい、止めて」の声に、朦朧とした中ちゃんと息を吸って止めていた。なんか言われるままに体が反応していてなんとなく不思議だった。 病室に戻りベットに移されて主治医のA先生の「終わりましたよ。上手くいったからね。」の声に、目を開けうなずき、何故か今は12時過ぎだなというのを認識して少し眠っていたように思う。 激痛 だんだん麻酔が切れてきたのか臀部と大腿部が痛み出してきた。 手術前は痛くなかったのに、手術のせいで一時的に痛みが出るとは聞いていたが、なんだか良くわからないがとにかく痛い。どうやら「痛い、痛い・・」と唸っていたようだ。 痛み止めの点滴をしてもらうも痛みが引かない。とにかく痛い。仰向けが辛い。唸り続けていると痛み止めの坐薬を入れられる。それでも痛みが引かず、仰向けが辛いと訴えるも、「もうちょっと辛抱して」と言われてしまい、唸り続け、とにかく耐えた。 規定の3時間が経過したのか、看護師さんになんとか横向きに寝返りを打たせてもらった。横向きになったとき、看護師さんに「体捻らないでぇ!」と叫ばれ、必死に捻らないようにするも、横向きになったことで一気に血がながれたような感じがしてさらに腰から大腿部にかけて激痛がはしった。。 もうどうにもこうにも痺れと沸騰しているような痛みで、自分でも気がつかないうちに涙が出きて、しまいには鼻水ズルズル、ヒクヒク泣いてしまっていた。 看護師さんの「本当に痛いのよ・・」という声が聞こえ、しばらくすると、血圧を測られ、痛み止めの注射をされた。 その注射のお陰か徐々に痛みが引いていき、泣き疲れた子供のように、だんだん落ち着いてくるのがわかった。再び、A先生がやってきて、「大丈夫?落ち着いた?泣いちゃうほど痛かった?」と聞かれ、「はい。でも大分落ち着いてきました。」と答え眠くなってしまった。 ヘルニアとの対面 しばらくして、ウトウトしているところに看護師さんが、「これがとったヘルニアですよー。これから検査に回しますね。」と、取ったヘルニアが入った瓶をもってやってきた。瓶の中には、摘出された結構な量のヘルニアがキラキラ舞っていた。 はっきり目が覚めた時は、もう、日が落ちていた。 激痛は消えたものの相変わらず臀部と大腿部の痛みはあり、とりあえず、気を紛らわす為にテレビをつけたら夕方のニュースがやっていた。そしたら、同室のお婆さんが「さっき手術した人、もうテレビ見てるわよぉー。」なんて言ってる。(大きなお世話じゃー!) 痛みに耐えつつテレビをボーっとながめているうちに夜の検温、血圧測定。そして消灯。 寝返りを打つたびに腰から大腿部に痛みが走り、寝返りを打つたびに目が覚めてしまう。 昨晩ほどではないにしろ、またまた眠れない長い夜。 |