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2006年08月17日
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カテゴリ: 闇ヨリイデシ蝶
暦が秋へさしかかり、月光に照らし出される林を抜ける風も冷たい。


巨木の太い枝に膝を立てて屈んだ鳳(たか)はそっと幹から顔を出し、地上を見る。
(流石は帝が放った探索者…なかなか振り切れないな…)
走り続けて上がる息を無理矢理押さえ込み、額を流れる汗を拭う。
(どうする、鳳…このままでは…)
自分自身に問い掛けるが、結局腰に付けた袋の中へ手を忍ばせた。
そこには自らが編み出した武具、飛針(ひしん)が五本入っている。
(追っ手も5人か…)

鳳は思わずぐっと瞼を閉じた。
今までにも何度も危ない目にあった。そしてその度に瞼を閉じ思い出す。
里で育て仕込んでくれた婆や、一緒に厳しい試練を乗り越えた若者の顔、計画に失敗して死んでいった者達の顔、そして……。
鳳は目を開いた。
(まだ、わたしは此処で死ぬわけにはいかない……っ!!)
一番最後に瞼の裏に写ったのは、都に住んでいるはずの″彼″の幼き頃の無邪気な笑みだった。
(飛針を一本も外さずに奴等を始末するには、)
結論を出す前に、身体が仕込まれた通り自然に動く。
と、追っ手が声を上げ鳳に向かって走って来た。
「見つけた!!女がいたぞ!!」
鳳は明るい月光の中に自ら姿を表したのだ。

それを機に五人が動いた。
「かかれぇぇぇっ!!」
追っ手は一斉に鳳に襲いかかった。
(駄目、まだ動いてはいけない)
追っ手の持つ刀の刀身がキラリと月光に反射する。

「死ねぇぇっっっ―――」






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最終更新日  2006年08月17日 07時19分18秒
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