「源義経黄金伝説」 飛鳥京香・山田企画事務所           (山田企画事務所)

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義経黄金伝説 イメージイラストラフ 本田トヨタ作

『YG源義経黄金伝説■一二世紀日本の三都市(京都、鎌倉、平泉)の物語。平家が滅亡し鎌倉幕府成立、奈良東大寺大仏再建の黄金を求め西行が東北平泉へ。源義経は平泉にて鎌倉を攻めようと』 山田企画事務所・YG源義経黄金伝説■ ●源義経黄金伝説全編にリンクシテマス。

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義経黄金伝説ーー作者独白ーー


海からの歴史●発行者独白●


プロローグ■西行、崇徳上皇の霊に会う!


プロローグ02■3つの都市と3人の騎士 


第1回■静、頼朝の前で舞う!


第2回■静、鎌倉戦場で勝つ!


第3回■静を取り巻く鎌倉の暗闘!


第4回■後白河法皇の跳梁と深謀は?


第5回■黒田の悪党がたくらむ!


第6回■西行、重源に頼まれる!


第7回■頼朝、西行を驚かす!


第8回■西行、文覚と争う!


第9回■西行、東大寺闇法師重蔵と出会う!


第10回■大江広元、磯禅師とたくらむ!


第11回■義経、奥州平泉にて安堵する!


第12回■磯禅師、過去を思いいやる


第13回■吉次、昔を思いやる!


義経黄金伝説■第14回


「義経黄金伝説」 第15回


義経黄金伝説■第16 回


義経黄金伝説■第17回


義経黄金伝説■第18回


義経黄金伝説■第19回


義経黄金伝説■第20回■


義経黄金伝説■第21回■


義経黄金伝説■第22回 ■


義経黄金伝説■第23回 (改稿)


義経黄金伝説■第24回 (改稿)


義経黄金伝説■第25回


■義経黄金伝説■第26回


義経黄金伝説■第27回


義経黄金伝説■第28回


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義経黄金伝説■第45回


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源義経黄金伝説■第9回



 平泉に、東西の軍書を読んでいる牛若はいた。

 その顔は真っ黒にやけ、元気そうに見える。
基本的体力は、鞍馬山にて鍛えられ、この奥州の地でその体力がぐんぐんと伸びていた。また馬も、この地の馬にすぐ慣れ、新しい馬術を学んでいる。

「牛若殿、ご勉強、精が出ますな」
 奥州平泉の帝王、秀衡であった。
「これは秀衡様」
 牛若は姿勢を正し、挨拶をした。


ども、感嘆の声をあげておりますのじゃ」
 にこやかに秀衡は言う。本当にうれしそうなのだ。
「いや、一体」
 牛若には、この秀衡が、なぜ機嫌がいいのか、わからぬのだ。

「腕がよい。教えがいがあると、申しますのじゃ。教える者は、京の軟弱な子
供かと考えていたようでございますよ。はは」

「これはしたり。こう見えても私は、源氏の氏長者の息子でございます。そう
はずかしい仕業を見せる訳には行かぬのです」

 若い牛若は、本気で怒っているのである。彼には、大きなプライドがある。
たとえ、母親が白拍子であろうと、父親は歴とした源義朝。由緒正しいのであ
る。

かけていた。

「それで、元気のよい牛若様。一つ留学をなさって見る気になりませぬか」
「留学ですと。私は僧になるつもりはありませぬぞ」
意外な 言葉に、牛若は怪訝な顔をする。
「いや、別に僧になり、仏教を勉強していただこうという訳ではありません。

「では、何のために」

一瞬、秀衡は牛若の顔をのぞき込んでいる。
「武術でございます」
ゆっくりと秀衡は告げた。

「武術ですと。、、」牛若も詰まった。
「それは面白い。中国の武術、実際に見て見たかった」
「いや、牛若殿。中国、宋へ渡る訳ではないのです」

「我々、平泉王国は、近くは蝦夷、遠くは黒竜江まで、貿易をしておること
はご存じでしょう」

「まさか、その黒竜江を越えて」
「さようです。丁度便船を、津軽十三湊とさみなとから出す予定がある
のです。従者を付けましょう」

十三湊は奥州平泉の支配下にあり、外国との貿易でにぎわっていた。

「従者、それは」
「吉次です」
「吉次。あの者が、なぜ」

「吉次は、京都、平泉第にいた隠密の一人ですが、もともとあの男は播州
(ばんしゅう・兵庫県姫路のあたり)の鋳物師の息子。冶金については、
一通りの技術を持っているのでございます。吉次には、かの地の新しい技
術を持ってこよと」
 牛若は、少しばかり考えにひたっている。

 この機会、かなり面白いかもしれぬ。

牛若は本で読み、体得した技を使って見たくて仕方がなかった。秀衡の部下相手の模擬戦には、少しばかり飽いて来ていたのだ。実戦を経験したかったのである。

「宋を北方から狙っている、女真族の一団があります。すでにこちらの手
配は済んでおります。後は牛若様の決断次第。よろしいですか。私はあな
たを実の息子のように、いや息子以上に思っております。これは何も西行
殿に頼まれた訳ではない」

「わかりました。外国へ行かせていただきます」

「おお、さすがは牛若様じゃ」

■■7

一一七八年 中国沿海州・女真族の国に義経はいる。

「日本のこわっぱ、このようなことができるか」
義経の前を一陣の風がまった。
いや、風でなかった、人馬一体となった戦士が、的を次々に射抜ているの
だ。神業であった。歓迎の印として女真族の若者が見事な射術を見せてい
るのだ。
 平泉をでて2ヶ月の時間を経て、牛若は中国、女真族の国にたどり着い
ている。
彼らは裸馬に乗り、あぶみ、両手を離し、後ろ向きに弓矢を打つのである。
おまけに、その矢は、すべて中心に打ち込んでいる。
日本の流鏑馬の巧者でもあそこまでは打てまい。義経は感心している。
また、自分を送り出した秀衡の頭のさえにも。秀衡は牛若をこの地に派遣
し武術を学ばせ、牛若を平泉の武将とし西国王朝の備えにしょうとしてい
るのだ。

「弁慶、どうじゃ、あの若者は」

 義経は傍らにいる弁慶に尋ねた。弁慶は付き従ってきた。元々弁慶は
紀州熊野水軍の流れをひく。この国の水軍の武術に興味があるのだ。

「恐るべき術にございます。日本の武者では、あのような真似はできま
すまい。若、やはり世界はひろうございます。我々の預かり知らぬ
術を持つ人間が多うこざいます」

先年まで、京都の鞍馬という山にいて、自分の存在の不遇を嘆いたおと
こが蛮地、奥州平泉にあり、そこから先、日本の毛外のち、にいるのだ、
新しい運命!、それをあの僧形の男が与えてくれたのだ。

あの男は何故に。牛若の心に疑問が浮かんだ。

 この女真族の国で、牛若は戦術を学んだ。それが財産となる。

続く2014改訂
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所





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最終更新日  2017.05.28 07:10:00
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