SkY TeA...

SkY TeA...

小説:旅をスルヒト。


車に乗ると眠くなるでしょう?
と、最後に聞こえた君の声と共に、僕は眠りの中へと落ちていった。
聞こえてくるのは君のクスクスと小さな笑い声だけ。

四角い形をした小さな車に乗り込んだ僕らは、目的地も無く、唯広い砂漠を永遠と走り続ける。
窓の外に移るのは砂の世界か既に人一人いない寂れた街。
そんな中に所々あるのは給油の出来る施設と、車を修理できる設備の整った建物。
けれど、整った設備のある場所も、住む人間がいなければ埃まみれで蜘蛛の巣まではっている。

この世界は4つの地域に分けられる。
砂漠、海、樹海、都市
今人が住んでいるのは都市だけで、他の場所は魔物や獣が住んでいる。
樹海を切り開いて都市を作り、都市が滅んで砂漠となる。砂漠となった地域に時折大雨が降り海と繋がり
水が引けば其処に樹海が生まれる。

そんな法則に従ってクルクルと回る世界には地図が無い。
去年まで樹海だった地域が次の年には都市へと変わる事だって少なくは無かった。
そして、其処を旅する旅人は余程の物好きぐらいだろう、と笑われることも多々あった。

笑われても自分の好きなことを続ける、と意地になって続けているのは負けず嫌いな兄弟。
弟の方は銀色の長い髪が腰まで伸び、中性的な顔立ちで女だと言われても差して違和感を覚えない。
蒼と碧のオッドアイが特徴的だった。
兄は弟とは対照的で、黒く無造作に伸びた髪が顔を隠す。端整で整った顔立ちをしているにも関わらず前髪で隠れてしまい、殆ど見て取れない。
瞳の色も両方とも濃いグレーを保っていた。
弟は名をクレイム、兄はクロウと言った。

運転を担当するのは専ら兄の仕事。
クレイムは大抵後ろの座席で、何処からかつれて来た黒猫を膝に乗せ、音楽を聴きながら寝入っていた。
魔物や獣が出てきた時には嬉々として自ら戦いを挑むものの、けして殺さないと少し矛盾した性格の持ち主だった。

「クウ、そろそろ街があるってさっきのおっさんが言ってたんだけど・・・。」

起きないのか?、と続けようとした言葉をクロウは止めた。
声を掛けられればチリン、と小さな鈴の音の主がクレイムを起こす、眠たそうに目を擦りながら体を起こすクレイムは
寝惚け眼で前の座席へ視線を向ける。

「何・・・?」

首を傾けながらもふと視線を真っ直ぐ、車の外へと向ければ馬鹿みたいに大きな時計台が目に映った。
ココは去年までは大きな樹海があった筈の場所。
これほどまでに大きな時計台がたったの一年で立つのだろうかと首を傾けながらも其の時計台の下に位置する都市へと目を向けた。
いかにも機械技術の発達していそうな、造り。
都市を囲む外壁は高く、日光を完全に遮断させるドーム型で入り口は西と東の二つだけ。
門番代わりに機械人形が出迎えてくれる入り口。
物騒な大砲の発射口が進入経路に設置されていた。

「入るの?この国に」

先に口を開いたのはクレイム。
クロウは唯、一度首を縦に振って見せた。
機械の発達した都市には、変な決まりが多い。其れを思えばここは素通りしてしまい所なのだが、給油をしなければ次の都市まで持たないだろう。
溜息を零しながらも車を都市の入り口へと進めた。

『ミブンショウメイヲテイジシテクダサイ』

機械人形が近付いてきたかと思えば赤いランプを光らせながらも声を掛けてきた。
クロウは自分とクレイムの身分証明書を差し出した。

『オトオリクダサイ』

身分証明がすぐに手元に戻り、そしてギギッ、と鈍い音を立てて門が開いた。


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