ぷちがーでん

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人工死産



入院してすぐに、出産のための準備が始まりました。
すぐに済むんだろうと思っていたけど、3日かかるとは。。。

ある程度大きくなっている赤ちゃんは、普通に出産することになります。
でも、子宮口が硬いので、徐々に広げる処置をしました。
なんていうんだろう?海藻を棒状に固めたやつを子宮口に入れて、水分を含んで自然に膨張する・・・で、子宮口を広げるんだとか。
この処置を1日2回、3日間やって、人口破水をさせて陣痛を待ちました。

すぐにズンズンしたお腹の痛みが押し寄せ、看護師さんに告げると

「絶対にいきんじゃだめよ。自然に出てくるの待つしかないの。ごめんね。」

とだけ言われ、一人っきりにされてしまいました。

痛くて痛くて・・・でも、赤ちゃんも辛いよね・・・
早く楽になりたい、でも、それは赤ちゃんの死を意味すること。

でも、1時間としないうちに小さな赤ちゃんは出てきてしまいました。
もちろん、生きてはいない・・・
見せて欲しいと頼んだけど、残念ながら対面できませんでした。

呆然としながら処置を施し、2時間ほどして病室へ戻りました。
母乳を止める薬を飲み、3日後に退院です。

赤ちゃんは、頭の骨だけでなく、大脳、小脳もなかったそうです。
かろうじて脳幹だけがあったそう・・・
どちらにしても、生きてはいられなかったようです。
やっと授かったんですけどね・・・

昼間はいいんだけど、夜になるとブルーになって・・・やっぱり泣いちゃうんですよね・・・

赤ちゃんは小さな箱に入れられ、綺麗なお花で飾られていました。
でも、頭にはガーゼが何重にも巻かれ、顔を見ることもできませんでした。
手のひらに乗ってしまうほど、小さな小さな赤ちゃんです。
ずっと抱いていました。
家に帰ってからもずっと・・・

翌日は役所に死産届けを出し、火葬許可、埋葬許可を書いてもらい、そのまま火葬場へ・・・

「30分ほどで焼きあがりますので・・・」

・・・は?なに物みたいなこと言ってるの??

余計に悲しくなってしまいました。

沢山の人を見送ってきたけど、こんなに小さな、まして、自分の子を見送るなんて、夢にも思っていませんでした。

更に小さな骨のかけらになってしまった赤ちゃん・・・
ちゃんとあばら、腕、足、骨盤・・・って分かるんだけど、頭は・・・

「余りにも小さいお子様ですと、頭の骨が残らないことが多いんです。弱く焼いたんですが、すみません」

・・・気を使ってくれて、ありがとう。
あなたのせいじゃありません。
これが現実なんです・・・

小さな子供用の骨壷に丁寧に納め、家に帰りました。

翌日、私だけお留守番で、他の家族は納骨のため、お墓へいきました。
ちゃんとお坊さんを呼んで、お経もあげてもらったそうです。
けどね、水子だから、名前も戒名も何もないの。
それが悲しい・・・


未だにあのときの選択が正しかったのか、間違いだったのか、分かりません。
けど、私には、死んでしまうと分かっていて産む勇気はありませんでした。
目から上の部分がない子を見る勇気がありませんでした。
弱い人間です・・・

また同じことが起きても、きっと同じ選択をすることでしょう・・・

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