Rie’s ROOM

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たっくんが生まれるまで



羊水過多で入院!
’98年5月、その頃私は歯科助手として働いていた。お腹は 最近では患者さんに
「産み月なの?」と聞かれるぐらい大きくせり出し 幸せはそこでスクスクと育っていると
思っていた。今月末で退職をし、出産に備える予定になっていた

5月11日(月)
月に一度の定期検診。主人が休みなので病院まで送ってもらい
診察が終わったらまた迎えに来てもらう約束をして別れる。
総合病院は 待ち時間が長い。だから予約はいつも朝一の9時の予約にしてもらっていた。
いつも通り 問診、血圧、体重・・・とメニューをこなし 診察室へ呼ばれた
今日は 久々にエコーだ。赤ちゃんがどれくらい大きくなっているのか楽しみ!
エコーを見る先生・・・今日はえらく長いなぁ、と思っていると「ハイいいですよ」と言われた
あれ?見せてくれないの??ちょっと残念・・・起き上がる私に先生は一言、こう言った
「赤ちゃんに異常があります。大学病院で調べてもらって下さい」  ・・・ 異常ってなに?
どういうこと?矢継ぎ早に質問が頭の中を駆け巡る。驚きのあまり 言葉にならない。
「どういうことですか」 と言うのが精一杯だった。 「赤ちゃんのお腹に水が溜まっています」
水?お腹がポコンと飛び出た姿を勝手に想像していた。 私の動揺もお構いなしに 話は進んで行く。
大学病院へ紹介状を書く、とか どこ(病院)が いいか?
紹介状をもらって 大学病院へ行って調べてもらったら治るの?
それとも「いや~~見間違いでした」って事になるの?
どうしたらいいのかわからない。でも とりあえず明日にでも大学病院へ行かなくてはいけない
待合室で待っている間がとても長く感じた。看護婦さんに 紹介状とカルテ、診察券を渡され
事態を完全に把握できていなかった私は「次の予約は・・・?」と聞いた
看護婦さんは「大学病院で診てもらって・・・」と言うだけで 私は追い払われた気がした。

ロビーまで トボトボと歩いて行ったが記憶がない。
歩きながら診察券を落とし、放送で名前を呼ばれてハッと我に返った…
赤ちゃんに水が溜まってる?
主人にお迎えを頼む電話を掛けながら こみ上げてくる不安が抑えられずに泣いてしまった。
助かるの?私達の赤ちゃん・・・。

5月12日(火)
不安な一夜が明けた。ほとんど眠れなかった。
主人は仕事を休んでついて来てくれる事になった。
2人ともA型なので せっかちで問題は早く解決させたい方だ。
もちろん 朝一で病院へ向かう。昨日の悲壮感がウソのような2人。
きっと 大丈夫だよ、と自分たちに言い聞かせて 不安な気持ちを振り払う。

今まで同様、血圧や検尿、体重測定をして順番を待つ。そして 問診に呼ばれる。
いままでの妊娠経過、どのように言われてここへ来たのか・・などを聞かれる。
これまでに撮ったエコーなどを見せて 5ヶ月から1度もエコーがなかった事や
7ヶ月に入ってから急にお腹が大きくなり始めたことを伝えた。
(その時は 以前かかっていた病院の見落としだとしか思えなかったから)
でも 先生は冷静で「まぁ、そんなもんでしょう」と言うだけだった。
実際に エコーで診てもらうと 昨日の先生と同じように難しい顔をして 二人の先生が
長い時間をかけて話をしている・・・どうなってるのか気になるが見せてはもらえない

ブツブツとエコーをみながら話をして カルテに書きこみをしながらエラそうなドクターが こう言った。
「相部屋と 個室どっちがイイ?」昨日に続いて またも訳が判らない。
「はい?」と聞き返すと 「入院してもらわんといけません」
はぁ…やっぱり間違いではなかった。ショックで 口も利けない。
先生が病状の説明をしようとしたが とても聞けるような状態ではない。
涙ぐむ私を外に出し 主人が待合室から呼ばれた。

ここまでの8ヶ月間、なにか私が悪い事でもしたのだろうか?
どうして私が そして赤ちゃんがこんな目に会うのか・・・全く判らない。
まさか こんな事になるとは思っていなかったので 入院の用意さえして来ていない。
しばらくして 主人が診察室から出てきた。「赤ちゃんはどうなるの?」という質問にただ
入院して いろいろ調べるって言ってる・・・とだけ答える主人。
本当は「この子がダメでも次の子は大丈夫ですよ」と ショッキングな一言を言われたというのに
よくも涙ひとつ流さず耐えてくれたことか…残酷な質問をしたというのに。

5月13日(水)
生まれて初めての入院から 眠れない一夜が明けた。
昨日は病棟に上がってから 主治医を紹介された。女性だった。
とても「キレル」感じの人で エコーを見ながら主人に分かりやすく説明をしてくださった。
今まで検診についてきても エコーを見ると言った事のなかった主人が
こういう形で見ることになるなんて 皮肉な話だ。
4人部屋になった私は同室の人とも話すこともなく カーテンを閉めてふさぎこんでいた。
私には「この人達は 時間が立てば元気な赤ちゃんが産めるんだから 私の辛さは分からない」
そんな風にしか 周りの人間を見ることが出来なかった。
自分ばかりがどうしてこんな目に?自問自答のくり返しだった。
今日は 主治医から具体的な治療方針の説明がある。主人も 夕方にはまたやってくる。
それだけが楽しみのような・・・。とにかく ヒマであった。

夕方 私の両親と弟、主人の両親がそれぞれお見舞いにやってくる。
時間もあるというので主治医の話を一緒に聞いてもらうことにした。
・・・とかいいつつ あの時は2人で聞くのが怖かった様な気がする。

「羊水が増えたのは 感染症か染色体の異常が考えられ、
その原因を明確にする為に羊水の検査をしたい。」
きっと この説明に慣れているのだろう。主治医は淡々と説明を続けた。
「羊水を採取するついでに 少し羊水も抜きたいと思います」 そんなカンタンに出来る事なのだろうか?
「どうやって抜くのでしょうか?」と聞いてみると「お腹の上から 針のついた管を刺しこんで抜きます」「・・・・!」聞いてるだけで 痛そうだ。
しかも それを明日 行うと言うからまたもビックリ!!なんか 大変な事になってきた。
でも こういうことをひとつずつ クリアして行かなければ・・・お母さんにはなれないのだ。


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