ひまこのつぶやき

ひまこのつぶやき

つれづれ大ちゃん-3


ひまこちゃんが「たーぼにお土産」って言ってまたたびのお香を持ってきた。
ぼくにもついでにすずらんのお香をくれたんだけど、またたびのお香だけを焚いて帰っちゃった。

え?何?この匂い!
うわっ、変な匂い、変な匂い。煙いっ、煙い!ごほっ、ごほっ!何なんだ?一体・・・。
あれ?「たーぼ」の様子がなんかおかしい。
目がとろろん、ごろんごろんってしてるし、なんかとっても気持ちよさそう。
うにゃあって、ねえ、「たーぼ」どうしたんだよ。え?眠っちゃったの?
嘘?!こんなんでよく眠れるねぇ、信じられない。僕なんか涙出てきたし、鼻水もこんなにいっぱいだ。
うわーん、こんなんじゃご飯だって食べられないよ。
思い出した。ひまこちゃんは時々僕に意地悪するんだ。

前におばあちゃんちに遊びに行った時だけどさ。
おばあちゃんちには小さなお庭があって、そこにはこれでもか。って言うくらい色んな木が植わっているんだ。
お花なんかもちょこっとあったりするんだけどあんまし、手入れしてないから葉っぱなんか伸び放題なんだよね。
当然のことだけど、夏には蚊がたくさん発生する。
でもどういうわけかおばあちゃんはあんまり蚊にさされないらしくって、全然気にしていないみたい。
ひまこちゃん曰く、「年寄りの血はマズイ、って蚊も知っている。」だって。
んでかわりにひまこちゃんが蚊に刺されるもんだからご機嫌ナナメまっしぐらってなわけ。
ぶつくさ言いながらひまこちゃんはそんな時「キンカン」とか言うお薬を塗り塗りしてる。

「大~」
ひまこちゃんの声だ。
夏が苦手な僕はおばあちゃんちに来ると、いつもお風呂場の冷たいタイルの上で涼むことに決めている。
ここは風通しも良くってなかなか居心地がいいんだ。
おばあちゃんが僕のために冷たいお水を専用の洗面器に入れていつでも飲めるようにしておいてくれるしね。
わーい。ひまこちゃんが呼んでるから僕は嬉しくって一目散にとんでった。
ところがひまこちゃんときたら、走ってった僕の鼻先にいきなり「キンカン」を突き出したんだ。
「ぎゃん!」
僕は一気に風呂場に逃げ戻った。
凄い!凄すぎる!キョーレツな匂いだ。なんなの?
あれは殺犬兵器なのか?あんなの嗅いだら死んじゃうよ。ひどいよ、ひまこちゃん。
もうひまこちゃんが呼んだって絶対行くものか。絶対に絶対だよ。
僕は悲しくなっておばあちゃんが代えてくれたばかりの真新しいお水を飲んだ。

ふうっ。タイル冷たくって気持ちがいいや。
このままここで、まあるくなってたらいい夢みられるかな・・・。

                                     --- つづく ---




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