銀の盃

銀の盃

かぜっぴき



それが、彼女の第一声だった。



現時刻、午後5時18分。
彼女からの電話。



そういえば、今日は彼女がいるはずの机には誰もいなくて。

なんとも言えぬ、サミシサってェモンを感じていた。



「どうしたんです?休んだりしてェ」

なんて、からかったりしてみたが。
ホントはかなり心配しているんでさァ。


「風邪・・・・・ゴホゴホッッ」


鼻声・咳まじり。

典型的な風邪・・・か。

「家の人は?」
「出張中・・・・」





「だったら、」
「え?」
「俺が看病に行ってあげまさァ」
「え・・・!?
 いいよ、悪いし・・・・」
「今更遠慮する仲じゃないでしょう?すぐに行くから、じっとしててくだせ ェ」
「えっ、ちょっと・・・・!」



ガチャッ



そこまで言って、俺は電話を切った。


すぐに家を出て、看病に必要なものを一通りそろえ、彼女の家に走った。










彼女の名はりおといった。
同じ3Z・加えて隣の席。

2年生のときからずっと見ていて、同じクラスになったその日。


『好きでさァ。つきあってくだせェ』
『ホント・・・・に?
 うん!!
 すっごくうれしい!!』



俺だって、一応(今は)健全な高校生。
キスだって、その先だってした。


求めてしまう。
俺のこの手で、汚してしまいたいとも思う。



「おじゃましやすぜー・・・」

そういって俺はりおの家の扉に手をかける。
俺が来るといっていたので、鍵は開いていた。


「りお?」

リビングや和室を覗くが、いない。


まさか。
あんな体で外に出たら――――!!


「総悟・・・・?」
「りお」



いた。

安心した俺は、思わずりおを抱きしめる。

「えっ!?」
「俺を心配させた、おしおきでもしますか」
「へっ!?」
「うそ。
 おかゆでも作ってあげまさァ」
「本当?
 わーい!!」
「できるまで、寝ててくだせェ」





そして。

「できやした」
「いただきまーす!」

りおはぱくっとおかゆを口に入れる。
俺は、僅かに妖しい笑みを浮かべた。


「!?」

りおは顔色を変えていった。

「まず!!
 何コレ!何を入れたの!?
 辛くて甘くてすっぱくて・・・・ッ!!
 人間の食べ物じゃないよコレ!!!」
「クスクス・・・・」

期待通りの反応に、思わず笑ってしまった。


「総悟!!
 これに何入れたの!?」
「酢・醤油・砂糖・塩・ケチャップ・マヨネーズをいれて、バレないように いろんなもので着色」
「いろんなものって何よ!!
 ていうか、なぜそれを私に食べさせる」


「決まってるでしょう。
 りおが苦しみ、喘ぐ姿を見たかったんでさァ」

「こンの・・・・ッ!
 ドS男ォォォォォォォォォォ!!!!!!」




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