老教授



学校の国語の先生に廊下で先日きいたお話。

その先生が女子大生だったころのことです。国文学のえら~い老教授と、たまたまエレベーターでいっしょになったそうです。そこで、その先生の教え子で講師の女性が、途中の階で勢いよく乗りこんできて、老教授と挨拶をして、すぐこう尋ねたそうです。
「A先生、ヒカルゲンジ、ご存知ですかぁ?」
一瞬の沈黙の後、「何かね? 国文学専攻のわしが源氏物語の光源氏を知らんはずがないだろう」(ぷんぷん!)
老教授が途中で降りてから、「いや~ね、わたしは最近のアイドルグループ、光GENJIのことを言ったのにぃ」と女子大生だった先生に愚痴ったそうです。

先生が「光GENJIを知ってるよね」とわたしたちに言ってから、それは遅生まれの友だちが生まれた年であり、早生まれのわたしが生まれる1年前(1987年)のことだと気づいて、ちょっとショック受けてました。
「たまにTVで昔のアイドルってことで見ることありますよぉ」と友だちが言ってましたが、それって、フォローになってるかどうかギモン?(>_<)

それから、次の年になって、その講師の先生が女子大生だったわたしたちの先生の演習を担当して、しばらくして。何かの話で、停年退職した、例の老教授のことに話題が及んだそうです。

「あのA先生は、いまは水戸のほうの大学で教えてるそうよ」
「ああ、そうですか」
「その大学に非常勤で行っている、この大学のB先生から、A先生の最近の話を聞いたわ」
「はあ?」
「タクシーでA先生とご一緒したら、A先生が窓の外の景色を眺めていて、とつぜん桜が咲いてますよ、とつぶやいたそうよ」
「いまは秋ですけど・・・」
「ええ、それでB先生が確かめもせずに、そうですね、というと、その態度をみて、A先生がB先生に『あんた、わしがボケたと思ってるでしょ!ほんとに咲いてたんだよ!』」
「それでどうなったんですか?」
「タクシーの運転手さんが『お客さん、この千波湖の近くには秋咲く桜があるんですよ』というと、A先生が『ほうらね』と得意顔になったそうよ。それで、B先生も安心して『いやあ、A先生もいよいよボケたかと誤解しました』と正直に告白して、一同笑ったそうよ」(はあぁ)
なんだかわたしたちもホッとして、
誰かが「その老教授はいまもお元気なんですかぁ?」と尋ねると、
「お元気でライフワークの研究書を執筆してるらしいわ」との答え。(*^^)v

そんなエピソードが語りつがれるような人物に、わたしもなりたいなあと思いました。
誤解とか失敗とかも人間味あるエピソードになるような人生を、これから歩めたらなぁ、と思いました。


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