臥雲県-ただ一つの森の中-

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第五説 中編


「あれ?ラキじゃんなにしてんだろ?」
「あっホントだね・・・!!」
のどかは頭から血を出し倒れている猫無に気がつき、猫無に駆け寄る。
「ちょ、ちょっと、のどか走んなくても・・・!!な、なんで!?猫無の頭から血が出てんの!!?ラキの腕も血でやばそうだし・・・」
剣は猫無とラキの異変に気付いた。猫無は血止めをしていないので、どんどん血が流れ、ラキは腕に巻いたちぎった制服が真っ赤に染まっている。
「こういう時どうすれば・・・」
剣はとりあえずおどおどしていた。のどかは猫無の所に辿り着き、猫無に声をかける。
「猫無君・・・猫無君・・・返事して・・・」
ラキは心配そうにしているのどかに声をかけた。
「大丈夫だ。えっと~・・・えっと・・・え~っと・・・」
ラキはのどかの名前がわからない。朝、保健室であったくらいで普段まったく見もしない、もちろんクラスにいるのかさえわかっていなかった。
「えっと~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
のどかはよく今のラキのような状況に出会うので、ラキが何で悩んでいるのかがわかっていた。
「のどかです・・・」
「そうだった!のどかだ!!そうだ、そうだ。のどかだ、のどかだ。そっか、そっか。」
ラキとのどかに沈黙が流れる。
「そっかじゃねぇや。猫無の意識はねぇが心臓は動いてる。だから、心配すんな。けど、血の量がハンパねぇから、あと10分程度しかもたねぇ、誰か呼んできてくれねぇか?」
「は、はい!」
のどかは剣のもとへ走っていった。
剣はまだおどおどしていると、外国車に乗った母樹がこっち向かってくる。その車を剣は止めた。
「ちょっとストッ~プ!!!」
母樹は運転手に止めるようにいい、母樹が降りてきた。
「剣君どうしたんだい?まさか・・・ぼくのこと・・・やめてくれ!ぼくはきみと付き合うことはできない。なぜなら・・・イタッ!」
剣は持っていた竹刀で母樹を殴った。
「な、なにをするんだ、剣君!もしかして、ぼくがきみのこと振ってしまったから・・・イタッ!!」
剣はまた竹刀で母樹を殴る。
「わかりましたよ~付き合います・・・イタッ!!!」
剣はまたまた竹刀で母樹を殴った。
「遊んでる場合じゃないの!!とにかくたいへん・・・」
「剣ちゃ~ん!たいへんだよ~!!」
のどかがめずらしく大声で走ってくる。
「ん?きみもぼくと付き合いたいのか?」
母樹はのどかを顔を見た。
「・・・かわいい・・・ぼく好みだ・・・いいだろう!きみは、ぼくの嫁として・・・ぐはっ!!!!」
母樹がのどかの手を取ろうと手を出したら、剣に竹刀で突かれ、ぶっ飛ばされる。さらに剣は母樹を追っていき、竹刀で何回も殴った。のどかが止める。
「剣ちゃん!」
「ん?」
「そんなことしてる場合じゃ・・・」
剣は我に返った。母樹を引きずりながら言う。
「そうだった!!猫無がやばいんだ!!車で病院まで連れて行ってほしいんだ!!」
母樹は『猫無』という言葉をきいて、急に暴れだした。
「離せ!!!なんでぼくがラキ君の犬を助けなきゃいけない!!」
「コ、コラ!!暴れんなって!!のどかぁ」
「母樹君、お願いします。猫無君を助けてあげてください・・・」
母樹の動きが止まる。
「しかたないですねぇ~きみの頼みとあれば助けるしかありませんねぇ~」
そういうと、母樹は車を運転していた、男のお手伝いを呼んだ。
「お呼びでしょうか、ぼっちゃま。」
「ああ、頭から血を出している男を車に乗っけてくれないか」
「かしこまりました。」
そのお手伝いは軽々と猫無を持ち上げ、頭にきれいな布をあて、車に乗せ、そしてラキの異変にも気付いた。
「ラキ君、その腕は・・・」
「ああ、かすり傷だ。」
ラキはかかわるのがめんどくさかったので、一言ですませたが、母樹がとても心配そうにラキの怪我をしていない左手を掴み、引っ張っている。
「だめですよ!さっ行きましょう!」
「いいって!!」
ラキはプロミネンスとの戦いで疲れきっていて、母樹から逃げる力が残っていなかったので、車に乗っけられてしまった。それに続き剣、のどかも乗る。そして母樹は運転手に無茶な話をした。
「家に2分以内で着いてほしいのだが、できるか?」
「2分以内ですか・・・ちょっと難しいかもしれません。」
「では、できるだけ早く着くように。」
「はい。かしこまりました。」
「は?家?病院に連れて行くんじゃねぇのか?」
ラキは『家に』って言葉に疑問を感じ、母樹に問いかけた。すると、母樹は自慢げに言う。
「ぼくの家には、母樹家専属の医者を5人も雇っているのさ!」
ラキはこのあといろんな自慢話になりそうだったから、無視した。
「みなさん、シートベルトをお付けください。」
そういわれたラキ、母樹、剣、のどかはシートベルトを付け、さらに剣、のどかは猫無の体が座席から落ちないように押さえた。
「いきますよ。」
そういうと、思いっきりアクセルを踏み、ものすごいドライビングテクニックで路地を抜け、大きな通りに出た。そして、母樹邸に着く。
「着きました。」
予想以上の速さで母樹邸に着いたので、みんなびっくりした。
「「「「もう!!!!!???」」」」
運転手はにっこり笑い言う。
「はい。時間は・・・30秒ですね。」
「「「「速っっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!」」」」
もっとびっくりして、漫画で言う『目が飛び出した。』ってやつになった。
「さっ!ぼっちゃま!はやくお連れしないと・・・」
「おお、そうだった。運んでくれないか?」
「はい。」
まず、母樹が車から降り、次にラキ、剣、のどかと順に降り、運転手は車に乗り込み、猫無を抱えて出てきた。そして、母樹が大きな門を開けるように警備員に言い、ついでにタンカを持ってくるように言う。タンカが届くと、それに猫無を乗せ、家に入っていった


猫無とラキの2人の戦いより少し前に戦いが始まっていた。


「あなた達、強すぎませんか?この戦い、始まったの昨日ですよ?」
目が青く、青紫色の長髪をし、大首薙鎌(大首薙鎌とは、持つ柄が身長くらいまであり、その先が三日月より少し大きい感じの鎌が付いているもの)を持っている男が、“強すぎ”といいながらも、息1つ乱さず、幽海の攻撃を受けている。
「ハァハァ・・・・・・押してるはずなのに、おかしいなぁ・・・・・・。」
男の様子とは別に、肩で息をしている幽海がいた。両手にはハルバードと呼ばれる武器があった。名前は《狼蜂》だ。
ハルバードとは、ヨーロッパで主に使用されていた武器のことであって、種類によって、長さは2m~3.5mもあるものもある。重さは2.5kg~3.5kg程のものである。幽海のものは2mで、2.5kgの一番使いやすいものである。
形は槍の穂先に斧を付けたようなもので、斧の反対側にはパッチと呼ばれる、突起が付いている。戦い方は付いている斧で切る。槍で突く。パッチを相手の足に引っ掛け、転ばせる、叩くといったような使い方ができる。斧部分のおかげで、普通の槍よりも、戦闘力は増倍している。
『幽海!体力のことを考えろ!!疲れきってるぞ!』
幽海が持っている《狼蜂》から、雪の声が聞こえる。《狼蜂》の正体は雪だ。
「だ、大丈夫だよ。ハァハァ・・・」
大丈夫と言いながらも、肩で息をしている。
そもそも、なぜこんなことになったかというと・・・・・・。

幽海、雪は猫無達と別れ、なにやら深刻な顔で話している。
「・・・・・・幽海、帰ったらまた特訓な。」
「うん。鳳凰かぁ~、どんな人なんだろう?」
話の内容から、幽海は雪からフェニックスのことを聞いたようだ。そしてすぐさま、昨日の夜、今日の朝まで2人で人に見つからないよう、特訓をしていた。
「さぁな。おれ、あったことねぇし。てか、会えねぇよ普通。」
「だよね。今日は何をしようか?」
雪は腕を組み考える。
「う~ん・・・・・・昨日は、《ハルバード》の戦い方を教えたから、守り方かな。・・・・・・忘れてた!!基本教えてないし!!」
「セッちゃん・・・・・・ダメじゃん。」
幽海は雪にあきれた。そんなこんなで2人で楽しく歩いている。すると、上から、目が青く、青紫色の長髪をした男が降りてきた。
「失礼。」
雪はびっくりするしかなかった。上から人が降りてくるなんて、思いもしなかったからだ。
「な、な、なんだ!おまえ!!」
幽海は上から降りてきたってことで、フェニックスかと思い、興奮している。
「あ、あの!あなたフェニックスですか!!?」
長髪の男は少し笑い言った。
「ふふっ、あなた、おもしろいこと言いますね。違いますよ。ほら、これを見てください。」
長髪の男はそういうと、口を開いた。そこには鋭い歯が上に2本、下に2本あった。そこで幽海はピンときた。
「な~んだ、吸血鬼か~」
男は口を閉じ、微笑む。そして謝った。
「はい。でも、正確に言いますと、私はこうもりです。すいません、フェニックスじゃなくて。」
雪は“こうもり”と言う言葉に反応し、男から距離をおく。
「幽海!そいつから離れろ!!てか、こっちに来い!!」
「え~なんで~?」
「いいから来い!!」
幽海はしぶしぶ雪の所へ歩いていく。そして、雪は幽海を守るようにして、幽海を守るようにして、幽海の前に立った。
「てめぇ!なにもんだ!!」
「おっと、私としたことが、名前を名のるのを忘れていましたか。失敬。私の名前はディモナイ・シュバルツ。よろしくお願い致します。」
シュバルツは一礼する。幽海と雪も思わず一礼をした。
「なにしてんだおれ・・・・・・。なにしにきた!!」
シュバルツは微笑む。
「雪様、あなたをいただきに参りました。」
その言葉を聞き、今度は幽海が雪を守るようにして、雪の前に手を広げ、立った。
「ダメッ!!」
シュバルツは悲しそうな顔をする。
「そうですか・・・・・・」
「そう、ダメッ!!」
シュバルツは悲しそうな顔から一転して、うれしそうな顔をした。
「では、幽海様。あなたの命をいただきます。」
シュバルツは、一瞬で幽海と雪の間に入り、幽海の首筋に噛み付こうとする。だが、雪がシュバルツの顔に殴りかかったことで、シュバルツは幽海の首筋には噛み付けず、真上に飛び、雪のパンチを避けた。
「セッちゃん、ありがと。」
「油断すんなよ。あいつ、てか、吸血鬼に噛まれると、あいつと同じ、吸血鬼になっちまうぞ!!」
「えっ!?そうなん!!?」
幽海は驚きすぎて、言語が関西弁になった。シュバルツは幽海と雪から少し離れた所へ降りる。
「知っていましたか・・・・・・。」
「ああ!残念だったな!!」
シュバルツはものすごく落ち込んだ。そして、あることに気付く。
「あの・・・すみませんが、忘れ物をしてしまったので、少々お待ちいただけますか?」
シュバルツは、幽海と雪の返事を聞く前に、飛び立ち、どこかに消えていった。そして、少しすると、大首薙鎌を持って戻って来る。
「おや?本当に待っていてくれたのですか?これはありがたいです。」
幽海と雪は素直に待っていてしまった。幽海がその失態に気付く。
「あっ・・・逃げればよかったね・・・。」
「・・・・・・!!ほんとだな・・・。」
シュバルツは大首薙鎌を1回、振り回し、準備運動をした。
「さて、私のこの《デスシックル》で、幽海様のお命、いただきます。」
シュバルツは《デスシックル》を肩に担ぐと、攻撃が当たる距離に少し動き、《デスシックル》を振りまわす。
「残念でした~」
幽海は《狼蜂》で《デスシックル》を受け、弾き、すぐさまシュバルツに《狼蜂》で突く。しかし、その突きは《デスシックル》で受けられたが、弾き戻されたのを利用し、また突きに入った。シュバルツは先ほどより早い突きを軽々とかわす。突きではダメだと思った幽海は、とっさの判断で《狼蜂》の攻撃法を槍から斧に変え、切りかかった。シュバルツは読んでいた攻撃とは違う攻撃に対処しきれず、仕方なく《デスシックル》で受け止める。
「ふ~間一髪のところでした。」
「あとちょっとだったのに~」
そして、先ほどの場面になった。

「では、こちらの攻撃に移させていただきます。」
シュバルツは、疲れ、動きが鈍くなっている幽海に《デスシックル》を振り上げ、いよいよここから怒涛の攻撃が始まるってところで邪魔が入った。
「シュバルツ!戻るぞ!!」
先ほど猫無とラキと戦っていたプロミネンスが屋根から屋根に飛び移りながら、シュバルツに声をかけた。
「おや?もう時間ですか。では、私から1つ。キリンってウシ目の動物なんです。」
《狼蜂》から雪に戻り、幽海と口を合わせる。
「「はっ??」」
「では、失礼。」
意味不明な言葉を残し、シュバルツはプロミネンスのところへ飛んでいった。

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