臥雲県-ただ一つの森の中-

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第二十五説 後編



「おっ!なんやなんや~?敵さん、やる気になったみたいやな~」


ケンカする相手がいなくなり、一人静かに遠くに視線を向けていた紫水が、腰をあげた天秀に誰よりも先に気付く。


「あ~、ホントだ。あんたでも役に立つことあるんだ」


のどかと剣で話している間、暇だった水草先生が、わざわざメガネから戻って、紫水をからかいに隣へ並ぶ。


「なんやっち!おればってん盾に成ったりして、皆ば守ってるんばい。あんたこそ、わけのわからんばいメガネになりやがって。絶対意味なかやろ」


にらみ合う。


「・・・じゃあ、こうしましょう。どっちが早く敵を倒せるか勝負しましょう」


「いいの、それ。へば(じゃあ)・・・」


天秀か宝木、どっちと戦った方が早く倒せそうかと、ぱっと見て、


「「あっちのびびりで」」


宝木の方を二人同時に指さした。



そのまま動かない。


「ゆずりなさいよ。レディーファーストでしょ?」


「悪いな、おれ、紳士じゃないねん」


またしばらく無言。


「「じゃんけん・・・」」


どっちから言うでもなく、同時にじゃんけんを始めた。


「「ぽん!」」


紫水がパー。

水草先生が・・・1?

人差し指を出していた。


「なんやちゃ、そい。ボケ始めたんか、おばしゃん。反則でおれの勝ち~」


「なにいってるのよ。パーは紙なんでしょ?」


「・・・だから、なんやねんな」


「人差し指で突き破れるじゃない。あんたの負けよ」

「くぉ・・・」


負けて悔しいのか、あまりに理不尽すぎる理由にイラッとしたのかわからないが、頭を抱える。


「のどか~♪あっちの男と戦うわよ~」


その隙をつき、宝木との対戦権を奪い取った。


状況を全く把握出来ていないのどかが、水草先生に誘拐される。


「あ、あのやろ~!剣!急ぐぞ!」

「は!?ちょっと、ケンカに巻き込まないでよね~・・・」


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