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[番外]Angels' Wolf/ナリーニ・シン あらすじ
Angels' FlightA Guild Hunter Collection【電子書籍】[ Nalini Singh ]
<ギルドハンターシリーズの短編集 全346ページ>
Angels' Pawn
(55ページ) アッシュとジャンピエールの話。彼らがメインになった本編以前の話で、恋愛未満。他のハンターたちが、あいつらの関係ってどうなってるんだ?と不思議がっている時期のエピソード。既読なので、今回はパス。(なんちゃってあらすじはありません)
Angels' Judgement
(75ページ) エレナの親友サラとディーコンの出会いの話
Angels' Wolf
(84ページ)2巻でエレナが発見するボロボロにされたうえに体内にギルドの刀を埋め込まれていたノエルというヴァンパイアが主人公。
←いまここ
Angels' Dance
(131ページ)羽が生えたばかりのエレナに親切にしてくれたリフュージ司書のジェサミーとラファエルの戦闘隊長ガレンのお話。本編の400年前。なんちゃってあらすじは
こちら
※ ※ ※
ネタバレ
あります ※ ※ ※
辞書で確認せず、記憶に頼っててきとーに書きなぐっていますので、内容が間違っていても
笑って読み流せる方
だけ読んでくださいね
================
NYの大天使ラファエルの本拠地であるタワーで上級メンバーまであと一歩だったノエルですが、気が狂った天使の命令で目を抜かれ、足を切り刻まれ、指は肉塊になるまで潰されてしまい、ラファエルの部下であるニムラの領土ルイジアナ州への配置転換となりました。ヴァンパイアのため、肉体は修復されましたが、夜になると悪夢に悩まされていて、出来損ないとなって左遷されたと感じているようです。
ニムラは小柄な600歳の天使ですが、この地域を数十年治めていて、2倍の年齢の天使よりも強力だと言われているようです。ニムラは腰を細いロープでしばった昔風の天使の衣装をまといノエルを面会室で出迎えると、着いてきなさいといって歩き出しました。彼女は美しく、力強く、残酷で、まるで古代の女神のようです。
ニューオリンズの中心部分から1時間ほどのニムラの家は、ノエルの想像とは違っていました。窓がたくさんあってバルコニーがそれぞれに備えられており、たくさんの花が飾られていてノエルは思わず花びらに手を伸ばしたくなる気持ちを抑えました。彼は弱さを見せないよう気を引き締めました。女性らしく華やかな内装は、厳しく残酷だというニムラの評判とは相いれない気がしましたが、長く生きている不死者であれば見せたくないものは見せないものだと200年ほど生きて学んでいました。
個室に案内され、二人きりで話しましょう、と言われたノエルは、性的に、もしくは拷問をされるなどの扱いを天使にされることもある可能性が思い浮かびました。200歳の彼は年齢に伴ってたくさんの力を蓄えており、死ぬとしても、その前にたくさんの血を流すことになるでしょう。それでもノエルは「何をお望みですか?」とだけ尋ねます。
ニムラは自分の宮廷に向かい入れたこのヴァンパイアについては、悲惨な事件の被害者となり、かろうじて生き延びたこと、事件の概要は報告書で読んだだけでしたが、内面のことはまったくわかりませんでした。ラファエルに確認したところ、彼は忠実で相当に有能だ。君が必要とする人材だ。とだけしか教えてくれませんでした。
ニムラが覗き込んだ彼の薄い青い瞳にはさわれそうなほど濃いたくさんの影があり、表情は岩から削り出したようにこわばっていました。ハンサムではないけれど、女性の関心を喜ばない、まさに男といったタイプです。彼女の宮廷ではみかけないジーンズにTシャツという現代的な衣装でありながら、静かな存在感を示しています。
私が望めばなんでも応えてくれるのと聞くと、私は奴隷ではありませんとノエルが応えたため、ニムラは強制しないと恋人が得られないとでも思われているのかとムっとするものの、私は抵抗できない奴隷にはまったく魅力を感じませんと言います。ノエルは強力なパワーを持つ繋がれた獣みたい。それも幸せな気分でない獣。ラファエルの配下なのだし、もちろん彼は部下の弱さに我慢などしない。
ニムラは部屋に入るとドアを閉めさせ、隠し扉から小さな香水瓶を取り出し、これが何かわかる?と見せてきます。これはボルネオの熱帯雨林の地域の地球の奥底で作られた希少なものなの。ノエルが差し出され、瓶を傾けると中の液体が光を放ちます。300年ほど前に友人からニムラがもらったものだそうです。
これはミッドナイトとよばれるもので、微量でも人間を殺し、ほんの少しの量でもヴァンパイアを昏睡に陥らせ、6グラムほどで天使を10時間ほど人事不省にしてしまう。2週間ほど前、誰からこれを私に使おうとしたのとニムラが話します。
たまたま飼い猫のクィーンが飲み物を舐めてしまって、たしなめる間もなく死んでしまったわ。事情を話してくれるニムラは悲し気な瞳をしていました。内部の犯行に思われるけれど、そうなると誰を信用すればよいかわからないから、ラファエルに頼んで信頼できる人物を送ってもらうことにしたと説明してくれます。宮廷にノエルを紹介するからといわれますが、他のメンバーに正式に紹介されるより貴女の恋人かおもちゃとして認識されているほうが情報が得やすいと断ります。
その夜悪夢に悩まされたノエルは眠れなくなり、早朝になって窓から庭を眺めていると、長身の天使がニムラの部屋の窓をじっと見つめていることに気が付きました。しばらくしても変化がないので、身支度をして散歩に出ることにします。
庭のベンチで静けさを愉しんでいると、ニムラがやってきます。老描のミモザを探しに来たようです。抱き上げたニムラに、私が抱っこしましょうかとノエルが聞くと、見た目ほど重くないから大丈夫。クイーンがいなくなった悲しさで食べなくなってしまって。もう20歳だから年も年だし。冷酷という評判とは印象の違うニムラは実際どういう人物なのか、ノエルは見通せない気がします。ただし力は感じ取れるので、鉄の手腕と評される彼女の実力は本物だろうとも思っています。
ニムラは表面上は悲惨な事件を感じさせない彼の内面で何が渦巻いているのだろうと考えています。彼は引き綱をつけられた狼だわ。
ノエルが広間のほうに向かうと、朝みかけた天使が近寄ってきて「クリスチャンだ」と自己紹介してきます。ノエルが差し出した握手の手は無視をして、けん制してきます。そこに、もう一人高齢の美しいヴァンパイア女性が寄ってきて「アシラーニよ」と自己紹介してきます。こちらの女性はフレンドリーで握手にも応じてくれ、食事はもう済ませたかしらなどと気を使ってくれますが、ノエル自身は心動かされることはなく、自分に反応を起こさせるニムラと何が違うんだろうと考えています。ニムラはもう長いこと恋人がいないんだけど、もしも再び誰かにベッドを温めさせたいと彼女が思ったらクリスチャンは自分に声がかかるに違いないと思っていたから・・・と教えてくれました。
そこにやってきたニムラが紹介したい人物がいると言ってノエルにフェンを紹介してくれます。フェンは高齢の人間で、ニムラにとても大切にされているようです。仕事中の彼が立ち上がろうとすると、そんなことは不要だと何度も言っているでしょう、とニムラにおしとどめられ、彼らが無言で交わす眼差しで様々なメッセージがやり取りされているようです。フェンがノエルに面と向かって、クリスチャンほどハンサムなヤツじゃないなぁというと、そうだとしてもなんとか生きていきます、とノエルが言い返すと、大笑いして、気に入った。ニムラ、この男をこの宮廷に置いておいたほうがよいですよと助言していました。アシラーニがアウグストゥスがニムラ様と直接お話したいといらしていましてと言うと、彼女は彼に対応することにしてその場を去りました。
ノエルがフェンと話していると、クリスチャンが話している美しいヴァンパイアの女性がいたので、あれは誰ですかと聞くとフェンが娘のアマリヤですと教えてくれます。27歳のときにヴァンパイア化してもらったそうですが、ニムラが彼女を保護すると誓ってくれたので、許しましたと言っていました。それではまだ100年の契約期間中ですかと聞くと、自分が20歳のころから65年おそばでお仕えしたので、その分を契約年数に繰り入れてくださり、彼女の年季はあけていますと説明してくれ、ノエルはそんな話は聞いたことがないと思って内心驚きます。
アウグストゥスはニムラとは20歳も違わない幼馴染で、彼女に断られたにもかかわらず、こりずに求婚をしているようです。私はエイトリエルとは違う、と口にしたため、ニムラは何年も前のことにもかかわらず胸の中に大きなしこりが感じられるようでした。エイトリエル自身というより、元夫が彼女から盗んだなにかを残念に思い、彼が傷を残したことを憎く思っているようです。
「それなら私は貴女にとって何なのです、意味のない気晴らしですか?」 ノエルがその場に踏み込みます。
アウグストゥスはノエルに「お前は誰だ!」と激怒しますが、ニムラがあなたがエイトリエルの償いをする必要はないのよ、というと、自分はそんなつもりで求愛しているわけではない、君のことをずっと待っていたのにと言います。ニムラはあなたが自分のお城にダンサーたちのハーレムを作っているのを知らないとでも? 返事はかわらないので、かえってちょうだいと送り出します。
ニムラは、私は守ってもらわなければならないほど弱くはないし、あなたには関係ないことでしょうと干渉してきたノエルに怒ると、今回の事件は内部の犯行だし、あなたは彼のことを友人としか思っていないとしても彼の気持ちは違う。関係ないことはないですよと言い返します。ノエルはヴァンパイアとしては若い範疇ですが、ラファエルのセブンの直属の部下としてやってきたというプライドがあります。このニムラは、周囲に私が弱いと思わせるわけにはいかないの、立場をわきまえなさいとノエルに言います。
ニムラはエイトリエルの子を流産してしまったことがあり、いまだにその喪失感は癒えていないようです。今まで辛すぎて誰にも話せなかったことですが、不思議とノエルには話していました。
英国のムーアで育ったノエルがヴァンパイアになったのは30代になってからで、失恋が契機だったようです。その女性との人生が行き止まりになってしまったことで、新しい人生を求めたくなり、ヴァンパイアを志望したら、一度目のチャンスで受け入れられて、驚きましたとニムラに話していました。その後その女性やその子孫たちを見守っているうちに、恋人というよりは親族のようになり、今では彼らはノエルのことをおじさんと呼んでるそうです。もう実の子をもつことはなさそうですというと、200歳くらいまではヴァンパイアが子供を成したという話を一人二人聞いたことがあるから、望みは捨てないでいたらとニムラが言います。
ノエルが次第に分かってきたことは、ニムラの宮廷はかなり機能的に運営されていて、フェンは相談係、クリスチャンはフェンの助言のもと財政などを管理したり、日々の領土内のトラブルの解決などにもあたっていて、アシラーニはニムラの個人秘書のような役目を果たしていて、ニムラはあまり面会などに積極的ではないので、彼女自身が対応しなければならないことが多く忙しくしている様子です。哲学者の彼は、頭の毛を逆立てて、いつも上の空でいるようですが、天使に関する相談事は彼にすると的確な答えが返ってくるようで、人間やヴァンパイアの相談事はフェンなどが対応しているようです。宮廷内で何の正式な役割についていないように見えるのは、フェンの娘アマリヤでした。ノエルの見たところ、クリスチャンはアマリヤにちょっかいをかけているものの天使同士の結婚しか考えておらず、アシラーニは隠しているけれどどうやらクリスチャンのことが好きなようです。
夜の庭をフェンとニムラが散歩しているのが見えたので、外に出ていくと足元でニャーという声が聞こえてノエルはミモザをそっと抱き上げて二人のいる方へ向かいました。フェンは石のベンチに座り、ニムラは少し先で花を触っています。ノエルはフェンに、アマリヤは宮廷から出した方がよいかもしれません、と助言します。フェンは彼女の契約期間を短くしてほしいと頼まない方がよかったかもしれない、望んでも得られないものを彼女は欲しがっていると話します。ノエルは、人目のないところで彼女が侍女に持ってこさせた紅茶が冷たいといって、その場でティーカップを逆さにしていた様子をみていたので、もしも契約期間を全うしたとしても、彼女の甘やかされた子供のようなふるまいや、冷たいふるまいは生来のものだから変わらなかったかもしれないと内心思います。
ノエルに気付いたニムラが、ミモザを誘惑しているのというと、どちらかというと自分が彼女に誘惑されたんですとノエルは答えます。
翌朝、侍女のヴァイオレットが頬を涙でぬらしてニムラ様!ミモザが!と駆け込んできます。あわててミモザのお気に入りのバルコニーに行くと、クリスチャンとノエルが階段付近にかがみこんでいました。クリスチャンがニムラを阻止しようとしますが、羽ばたいて乗り越え、ノエルに抱かれたミモザのそばにいきます。
ミモザはニムラに抱き取られ、かすかにニャーと鳴くと、5分後には冷たくなっていました。ミモザは自然死ではなく、誰かに毒入りの肉をバルコニーのそばでもらい、死んでしまったようです。ニムラは必死に涙をこらえると、ミモザが若いころによく遊んでいた花の咲き乱れる庭へと連れていき、そこにノエルが穴を掘ってそっと降ろしてあげます。沢山のお花と、ミモザが子猫のころ戯れるのが好きだった彼女自身の羽を入れてあげました。
とうとうこらえきれなくなったニムラが肩をふるわせると、ノエルが翼の敏感な部分をさわらないよう慎重に腕をのばしながら優しく抱きしめ、ニムラも厚い胸板に顔を寄せて、長い時間そのままでいました。
ヴァイオレットがニムラに温かい飲み物をもってくると、ノエルが引き取りニムラに運びますが、部屋から出てくるとヴァイオレットはアルコーブに隠れるようにして立っていました。ヴァイオレットはアマリヤが台所で肉を持っていくのを見たと教えてくれました。アマリヤは意地が悪いから彼女が近くにくると私は隠れるようにしていて、彼女は私がいるのを気が付いていなかったと思う。ノエルは彼女の強い忠誠心がわかっていたので、彼女のことを信じましたが、宮廷で重用されているフェンの娘でヴァンパイアでもあるというアマリヤのほうがヴァイオレットの証言より重んじられるのは明らかでした。
ノエルはフェンの家に訪ねていくと、アマリヤも在宅していました。フェンとたわいもない会話をかわしたあとで、アマリヤを見つめながら、こんな事件を起こすなんて臆病者の仕業だ、というと彼女は青ざめます。彼女の父親への愛というのは唯一の彼女の美点のようです。ノエルが帰ることにするとアマリヤも一緒に外に行くといって出てきて、人気のないところまでくると、どうしてわかったの?と言います。どうしてあんなことをしたのか知りたいというと、父はヴァンパイアにしてほしいと頼んだのに、断られて、死んでいく。ニムラは永遠に生きるのに。父はニムラのことが盲目的に好きだから、彼女にどんなことをされても赦してしまう。おまえに言えない理由があるんだというけれど、納得がいかないと話します。ミッドナイトでなぜニムラを殺そうとしたんだと聞くと、その件には戸惑いを見せます。
書斎にいたクリスチャンにアマリヤの監視を頼むと、ノエルはニムラの私室へ行き、ミモザを殺した犯人がアマリヤだったことを伝えます。宮廷の中に2人も反逆者がいるとは、私のやり方が間違っていたのとショックをうけるニムラ。ノエルは彼女の髪をなで、抱きしめて慰めます。ニムラは統治者の天使として裁きをくだす覚悟をまとい、アマリヤのもとに向かいます。
小さな命だけれど、かけがえのない命を奪ったとニムラに言われて、父にどうぞ私を殺したと伝えてとアマリヤに言われてニムラの身体がこわばります。彼女を罰しなければ、ニムラが弱腰だと思われてしまいます。しずかに彼女の腕をつかむと、ある武器を取り出して、アマリヤの舌を切り取ります。身体がけいれんし、崩れおちるアマリヤ。
気が付くころには傷口はちいさく、それほど血も出ていないでしょう、とノエルは話しますが、これが同僚のナザラスカが私を怖がる理由よ。この罰を与えるたびに、私は何かを失う気がすると話します。アマリヤはニムラにいわれて出張に出かけているとフェンには伝えられているようです。ヴァイオレットとクリスチャンは口止めされました。
数日後に目が覚めたアマリヤのそばにはノエルがいました。お前が道路に放り出されていない理由はフェンだ。今後、一歩でも足を踏み外すような真似をしたら、私がお前を殺してやる。父がいなくなったら、こんな怪物の館、すぐに出ていくわとアマリヤは言っていました。
裁きをくだしたニムラは私室で外を眺めていました。ノエルからの抱擁とキスを受け入れます。ニムラが長い間恋人はいなかったわ、と言うと、犯人に危害を加えられた影響が残るノエルは、事件後には身体から直接血を飲むこともしておらず、ニムラだけが引き起こす興奮から優しくできないかもしれないと言いますが、わたしは不死身だものといって優しく先を促し親密な時間をすごします。恋人にしか触らせない翼の付け根をノエルは優しくなんども撫でていました。
暗殺未遂事件のほうはいまだに解決せず、古来毒は女の手段というものの、ノエルの勘ではおそらくアマリヤの驚きは演技ではなく、アシラーニの忠誠心は確かなように思え、捜査の焦点が絞れません。
偶然アシラーニの声が聞こえてきたので、聞き耳を立てると、クリスチャンと会話しているようです。君を傷つけたくないが、君の気持には答えられない。ニムラとあのヴァンパイアは所詮遊びにしかすぎないから、その時にそなえておそばにいたいと言っていました。アシラーニは傷ついているようだったものの、ニムラへの敵意のようなものは感じられません。
翌朝、ノエルが庭を散歩していると、ニムラが翼を広げて空を飛んでいました。そこにクリスチャンが現れ、空中で戯れていたため、ノエルは嫉妬心を抱きます。戻ってきたニムラに、君は俺のものだ、と宣言します。ノエルは統治者として、他の天使と付き合わなければならないこともある。仕事の邪魔をしようとするなら身の程をわきまえなさいと言いますが、他の天使がみんな君に欲望を抱いているわけではないとノエルが言うと、彼の縄張り意識についてはニムラが理解を示し、クリスチャンは単に宮廷で役に立っている人材というだけよ、といって安心させてくれます。
書斎にいきニムラに再度毒を出してもらうと量が減っていました。容器についた指紋で犯人がわかるかもしれないとノエルが提案すると、ニムラが驚いた顔をするので、いまは21世紀ですよといってからかいます。
エイトリエルのことについて教えてくれというと、最初はねつけられますが、しぶしぶ説明してくれます。彼は若い天使だったニムラの教育係で、今から思えばラファエルが彼女の伸びゆく力を見越して統治者としての訓練をさせてくれたんだと思うけれど、恋人同士になってしばらくはうまく行っていた。490歳ごろになって私の力が飛躍的に発展して、ルイジアナの統治も行うようになると、エイトリルは不幸になっていって、とうとう若くてかよわい恋人を別に見つけたと言ってきたため別れたそうです。それからすぐに妊娠が発覚。治療師のケルにも来てもらって、経過を見てもらっていたけど、偶然彼が違う場所に行っているときに血が流れ始めて・・・。こちらに向かってくれたけれど間に合わなかった。ノエルが、その時一人出なかったと言ってくれというと、フェンがそばにいてくれたと話してくれます。
書斎へ出入り自由な人物。そして50年ほどまえに変更した暗証番号は生まれなかった赤ん坊の誕生日。それを知っているのはフェンだけ? ノエルは信じられないながら疑いを話すとニムラは信じようとしません。本人に聞いてくる、といって探しに行くと、フェンは庭のベンチに座っていました。
あなたは自分にとってもう一人の娘のようなものです。ずっと悲しみが癒えないでいる様子をみていました。遠くない将来、私はあなたを置いていかなくてはならなくなる。あなたに平安を与えたかった。一瞬の気の迷いでしたが、許されないことをしたのはわかっています。罰はどのようなものでもお受けします、とフェンが言います。ニムラは愛してくれたからといって貴方を罰したりしないというと、あなたはありあまるパワーを持つには優しすぎる。願わくば伴侶かパートナーをお持ちください。安定した関係で人間らしい心が保たれますから。
翌日、フェンは微笑みを浮かべて部屋で亡くなっていました。彼の地位にふさわしいお葬式が営まれました。そしてアマリヤは別れの挨拶をして去っていきました。ニムラは二度と彼女に会うことはないだろうと思いましたが、フェンの献身のお返しとして、彼女が本当に困ったときに助けてくれる人や物がないということはないように気を配るつもりでいるようです。
フェンが抜けた穴は大変なものでした。彼が何気なく差配していたことに、クリスチャンは右往左往しています。ノエルはドミトリに電話して、この領土に居つくことにしたから、というと、お前にはタワーでの役職を用意していたのにと言われますが、キャンセルしておいてくれと断ります。正式なアナウンスはないものの、宮廷内を取り仕切る仕事にとりかかろうと、アシラーニを見つけると、あなたは実力を隠していると思っていたのよねといって領土内の問題のあるヴァンパイアのリストを渡してくれます。
ノエルは年齢のわりには力が強大で、すぐにセブンの直下の部下として訓練されたことも役にたっているようで、若いヴァンパイアは束になってかかってきても相手になりません。夜には、ならず者のヴァンパイアを街角で狩り、領土内で問題を起こさないように、と警告します。
フェンが亡くなってから眠れないで庭をさまよっているニムラの元に行きたい気持ちはありましたが、乱闘中に頬に相手の肘が当たり、あざが出来てしまったので、シャワーを浴びて腰にタオルを巻きベッドに向かうとニムラがベッドのヘリに腰かけて待っていました。
どこへ行ってたの?と聞かれてニューオリンズと答えると、それ以上のことは聞かず部屋を出ていくニムラをノエルはいてくれ、といって立ち止まったニムラの背中を優しく抱きとめました。彼女が彼を信頼して、体重を預けてくれるのを感じたことで、あの出来事があってほとんど壊れかけてしまった彼の魂の一部が、また目覚めました。
ニムラがノエルを求める気持ちは深いものでしたが、この傷ついた男性が本当に癒えるまでには長い時間がかかることも理解していました。それでも愛を交わしながらノエルの目をのぞき込むと激しい優しさが伝わってきて、この人とならずっと孤独に悩むことはないと信じられると思ったのでした。
3日後、ニムラはアシラーニに問題はない?と聞くと、彼女は視線を逸らします。さらに問い詰めると間違ったバンパイアにお尋ねですとだけ言われます。そのあとで今度はニューオーリンズのヴァンパイアのリーダーから謝罪の手紙が届きます。クリスチャンになんでこんなものが届いたのかしら?というと彼の配下のヴァンパイアがミスをしたんです。もう解決しましたからと、仮面のような表情でクリスチャンは言うだけでした。どうやらクリスチャンとノエルはどこかの時点で合意に達したらしいということは伝わってきました。
ニムラは庭の南側にいたノエルをみつけて、私の執行官の役職がほしい?と聞くと、彼は驚いて飛び上がりました。彼の足元の小さなピンクや白の花の茂みになにか隠しているものがあるのではないかと近づいていくと、ノエルは視線を遮って隠そうとします。ニューオリンズに何をしてくれたの?と聞くとヴァンパイアたちは一回のレッスンで学ばなかったので、ちょっと独創的な手を使いました。クリスチャンはコンピュータが得意なようなので、することを与えてあります。ナザラカの犬が1週間前にこちらの領土をうろついていましたが、帰ったようです。彼はそのことについては何もしていないような口ぶりです。
このリーダーにふさわしい力強い男性は、ニムラの部下として働いてくれることを選んだのです。ニムラが口を開こうとしたところでニャーという小さい声が聞こえてきました。静かにしていないとだめじゃないかといって振り向いたノエルの腕のなかにはふわふわの二匹の塊がいました。
この仔たちはローカルシェルターから引き取ってきました。2匹増えても気になさらないと思って、とノエルが言います。私がもらっていいのというと、私が猫派に見えますか? 私は断然大型で鋭い歯をもつ犬派です。ニムラはまたペットが身の回りにいるのもいいものね。あの子たちとの思い出はほろ苦いものの貴重な時間だったからといって抱っこします。
この贈物はセットなんです。私は古風な男なので、やはりこの絆が欲しいのです、といって彼が握っていた手を開くと真ん中に琥珀がはめ込まれた金の指輪がありました。ニムラが指をあげて指輪をはめてもらうと、あなたもこれとペアの指輪を買ったんでしょうね? と確認すると、ノエルはズボンのポケットからもっとごつくて琥珀も粗削りなかんじの指輪を取り出しました。
私たちは子供をもてないかもしれません。申し訳ありません。とノエルが言うと、いつでもヴァイオレットのような家を必要としている子供がいるわ、血がつながっていなくても、心はつながることができる。ノエルが翼を撫でると、ニムラは彼の胸から肩を撫で上げました。言葉はなくても、彼女の頬にあてた彼の指にはまる指輪が絆をしめしていました。彼女の狼、彼女のノエル。(終)
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The Guild Hunter Series あらすじ まとめ
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