Romance夢紀行

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DEMON FROM THE DARK クレスリー・コール あらすじ


※ ※ ※  ネタバレ あります ※ ※ ※ 
辞書で確認せず、記憶に頼っててきとーに書きなぐっていますので、内容が間違っていても 笑って読み流せる方 だけ読んでくださいね


序章 オブリビオン星 資本に乏しく、厳格な身分社会が形成されているデーモンの王国トゥローサンで生まれたマルコムは父親を知らず母親は娼婦でヴァンパイアの奴隷として育ちました。周囲から虐待されてきていたデーモンでしたが、跡継ぎのカレン王子に認められ、励まされ、引き立てられて手柄を立て軍の頂点まで出世したため恩人の王子のためなら何でもするつもりでいます。ある日ヴァンパイアたちに王国が攻め込まれ、必死の抵抗も空しく、王子と共に敵ヴィセロイの前に引き立てられられました。降伏の意思をみせない彼らを、ヴァンパイアたちは実験の道具にすることにしたようです。彼らをヴァンパイア化し、二人を地下牢に閉じ込め、生き残ったほうだけ生かす、と言われて閉じ込められます。次第に高まってくる血への渇望。自分に噛みついて血への渇望をなだめていましたが、王子が自分のほうが高貴な血を持っているのだから生き残るにふさわしいと口にしてマルコムの血を吸おうと身体に触れたため、血奴として虐待されてきた後遺症で他人から触れられることを嫌うマルコムが逆上してしまい、王子を殺して血を飲んでしまいます。デーモンでありながらヴァンパイアとなってしまったマルコムは、同族からも忌み嫌われる存在となり、姿を消します。

魔女のキャロウはまた騒ぎを起こして警察に捕まっても助けてあげないと魔女の館から宣告されていますが、またもや悪さをして警察に魔力を封じる首輪をつけられ牢に入れられています。人間に無力な状態で襲われて、誘拐された先では、魔術師のメランテやライキー、ロテールなどならず者たちが魔力を封じられるような形で閉じ込められています。

首謀者らしき2名に独牢から引き出され、ヴァンパイア化したデーモンのマルコムを誘惑して連れてくるようにと命じられます。キャロウは断ろうとしますが、そこに魔女の親戚の娘でキャロウ自身も可愛がっているルビーが気絶した状態で連れてこられます。一緒にいたルビーの母親は誘拐されるときに首を切り落とされて殺されたようで、ルビーは気絶から覚めますが、「お母さんが首を切られて・・・」というとまた気絶してしまいます。彼女は生まれる前に父親もなくしているため孤児になってしまったことになり、キャロウが彼女のことを引き受けなくては。親友のマリキータの魔力はアドレナリンと結びついていますが、キャロウの誘惑の魔法は人々の笑いなど幸福感に根差しているもののようです。つまり魔力を封じる首輪を外しても、期待される魔力が発揮できる環境かどうか本人は自信がないようですが、やるしかありません。首謀者ふたりにはマルコムを連れ帰れば、彼女とルビーは生きて返すという言質を取り、メランテにマルコムがいるという惑星まで転送してもらうことになります。

ルビーに付き添って過ごした翌朝、出かけようとするキャロウにルビーが自分も行く!とすがります。早く出かけたら早く帰ってこれるから、ローアに誓ってあなたのところに帰ってくるといい聞かせ、メランテに私の小さい女の子をよろしくね、ルビーも言うことをよく聞くのよと言って、振り切るように出かけます。

マルコムはデーモンたちが住む地域とは広い砂漠を隔てた山をねぐらにして孤独に暮らしていました。生理的に受け付けない砂漠の環境をのりこえてこの場所に移動してくるために300年ほど前には瀕死の状態になりつつ、たどりついたこの場所ですが、他のデーモンたちの暮らす地域の水源を握っているのはマルコムでした。その水源を絶つことで、デーモンに殺されてもいい、孤独を終わらせたい、といま敵を待っているところですが、誰かが山の入口にテレポートしてきた気配を察して現場に急いで向かいます。

キャロウが異界をつなぐゲートから出てくるとデーモンの集団に取り囲まれ、俺たちの愛人になれとせまられ襲われそうになりますが、何かが襲ってくる気配がしてあっという間にデーモンたちが首を飛ばされ殺されてしまいました。顔を見せなさい、臆病者!と見えない敵を挑発すると姿を現したのが彼女のターゲットであるマルコムでした。彼女をみると角がぴんと張り、青い目が黒くなりました。彼女に欲情しているか、激怒している印です。「傷つけないで」とつい口にしてしまいますが、自分は魔女の傭兵のリーダーとして弱かったことなんてないはず、と思い直します。彼に英語は通じないようです。彼の身体がこんなに大きいなんて、6日後にゲートにただ連れて行くなんて無理、どうにかして引きずっていくまえに刺しまくらないと、と考え、かかってきなさいよとマルコムを指で差し招きます。

マルコムは山のすそに向かうにつれて、香しい匂いがしてくることに気が付きました。そして今まで見た中で一番きれいな女性がデーモンの山賊たちに囲まれているのに気が付き、彼女は自分のものだという強い確信が沸き上がり、彼らを排除します。彼女に近づいていくと、胸に動悸が始まり、角がぴんとたち、種が噴き出てきます。彼女は伴侶だ! 

彼女の身体に身を沈めたいというデーモンの本能と、彼女の血を吸いたいと願うヴァンパイアの本能が猛烈にマルコムを襲います。「逃げろ」と言いますが彼女にはデーモン語が通じません。逃げ出した彼女崖のそばでもみ合ううちに彼女が落ちてかろうじて足首を捕まえて助けます。本能に支配され、彼女を奪い、血を吸って、彼女は俺の伴侶だと確信し、この世にこんなに素晴らしい自分のための女性がいたとはと幸せな気持ちになります。

身体をはなすとすぐ後ずさり、キャロウはマルコムから吸い取った幸福感で得た魔力を使って派手に反撃し、その場から逃げ出します。20分ほどすると、マルコムが追跡してくる気配を感じて岩に伏せて隠れましたが、もう夕方になり動かないことにします。

彼女は不死者の雰囲気を持っているけれど、何の種族なんだろうか、魔力からして魔術師か魔女ではないか、でもなぜ自分が発見したときに別のデーモンに反撃ていなかったんだろうとマルコムは考えながら追跡しています。それに自分のことが伴侶だとわからないのだろうか、わからさなくては。デーモン語がわからない彼女に事情を説明するには、ヴァンパイアの使っていた言葉は二度と話さないとあえて忘れるように努めていた英語を思い出さないといけないかもしれない。この山にはグールや野生の獣など不死のものにとっても危険な生物がいる。彼女の安全を守らなくては・・・。

彼女のものと思われる荷物は山賊たちを殺した現場で回収できたものの、夜の間はキャロウの気配を見つけることができなかったマルコムでしたが、キャロウがマルコムの幸福感から生み出した魔力も朝には消えてしまって姿や気配を隠すことができなくなり、彼女をついに見つけることができました。彼女に気が付かれず、岩陰から観察することにします。

話している言葉は理解できないものの、彼女はもう怯えておらず、消耗していて、黒髪の美女だということがわかりました。爪も角もなく、陽に当たったことがなさそうな白さで、娼婦の息子だった自分とは違って高貴な生まれにみえる彼女、何もかもが正反対に見える生き物です。伴侶を持ったデーモンが、自分の女の髪や目の色にうっとりしているのをみたことがあって、馬のたてがみよりも美しいものをみるようにしているのを不思議に思っていたマルコムでしたが、自分の守るべき女を見つけて初めてその気持ちがわかった気がしました。

間違いなく過去見た戦士のなかでは最高の戦士をどうやって指定の場所に連れて行ったらいいのか、ルビーを救う方法はマルコムを誑しこむしかないのか、なにか別の方法はないだろうかとキャロウは考えていますが何かの気配に振り向くとグールの切り落とされた頭が足元に落ちています。求婚する方法としては最悪、出てきなさいよ!というとマルコムが姿を現します。「女よ、来い」と手招きしますが、キャロウは「あなたにとっては伴侶というのは絶対かもしれないけど、魔女の私にとっては強制力のない絆なの、どうして言葉のわからない人に説明しているんだろう」と話します。

血の匂いを嗅ぎつけたか、巨大な蜘蛛のような怪物がキャロウを襲ってきて、マルコムが彼女をかばい、変身して戦い始めます。彼の力強さをわかってくれたかと思ってマルコムがキャロウを振り向くと彼女はその場から逃げ出しています。

デーモンでもヴァンパイアでもあるマルコムが、なぜかトレースを使わないと気が付いたキャロウでしたが、走っている途中でマルコムが仕掛けた罠にはまってしまい、ロープで空中にさかさまに吊るされてしまいました。そこへ蜘蛛の怪物がもう一匹現れ、キャロウに襲い掛かります。「デーモン!」というキャロウの叫び声で、マルコムは全力でキャロウのもとに駆けつけます。

マルコムは蜘蛛の怪物を2匹倒し、キャロウの罠を切ってくれます。彼女の首筋をじっと見つめるマルコムに「噛まないで、ヴァンパイア!」と言いますが、抵抗むなしく両手首を地面に押さえつけられ、血を飲まれ、身体を奪われてしまいます。1度目は噛んだ個所をさらに引き裂かれて怪我を負ってしまいましたが、2度目の今度は噛まれた瞬間に痛かった以外は温かい感じであまり痛みはありません。

「家」とかろうじて英語を話すマルコム。ここは危ないから家に行こうとキャロウに命令しています。ここにいたらまた得体のしれない獣や山賊などに襲われ、1日たりとも自力では生きていけないと考え、キャロウはしぶしぶマルコムについていくことにします。噛まれることを嫌がって同行をしぶるキャロウに、マルコムは地面に円を描いて太陽を指さし、2本の指を立てます。8日噛まないでくれたら、と8本の指を出すキャロウ。マルコムは5日で手をうち、胸に手をあててキャロウから5日間は血を飲まないことを誓います。身体も奪わないで、と言いますが、マルコムが約束せず、うやむやなままで出発してしまいました。

相手に理解できるとは思わないで軽いおしゃべりをしながら進むキャロウ。孤独に生きてきたマルコムは彼女の話すことを理解したいと思っています。デーモンとして一度死んだマルコムは3週間後に牢から出され、ヴィセロイからホルドに忠誠を誓うようにと拷問をされていました。またデーモン語でなく英語をしゃべるように強制され、従わなかったマルコムは毎日舌を切り取られていました。英語の話し方を思い出すことはつらい思い出も蘇ってきてしまうのではないかと不安に思っています。

マルコムの家に着くと、杭に突き刺されたデーモンやグール、怪物などのたくさんの首級が入口で出迎えてくれ、室内には何かの動物の骨がコレクションされていました。キャロウはたじろぎますが、マルコムが足元に転がしたグールの頭部は捧げものだったのかと気が付きます。

マルコムは暖炉に薪で火を起こすと、キャロウのお腹が鳴ります。彼女に食べさせなくては。「ここにいるのだ」と命じて出かけます。30分ぐらいで鳥と七面鳥が混ざったような生き物を獲物を手に戻ってきます。マルコムが彼女に獲物を渡そうとしますが、彼女は手を伸ばそうとしません。マルコムが焼き始めるといい匂いが漂いますが、食べても大丈夫なものなのかキャロウは自信が持てません。

キャロウは彼がいない間に彼が持ってきて来てくれた自分の荷物から役立ちそうなものを取り出したり、部屋を居心地よく整えます。マルコムは寝袋を出すことに異論はないようでしたが、二つを離して置くことには賛成しないと態度で示していました。寝袋の置き場所でもみあったはずみにキャロウが両親からの唯一もらったプレゼントの指輪が焚火に落ちてしまいました。子供には全く関心がなく、注意をひこうと馬で飛ばして落馬し、腕と頭蓋骨を骨折しても気が付いた時には夏のバカンスに出掛けてしまっていた彼らとはいまでも没交渉です。マルコムは薪に指をつっこみ指輪を取り出してくれます。キャロウはばかじゃないの、ネアンデルタール人!というものの傷ついた彼の指を握ります。

マルコムは彼女の仕草から愛情を感じて、もっと彼女の愛情を得るためにはどうしたらよいのだろうと思います。彼が知っている女といえば・・・自分のことを奴隷として売った母、奴隷の期間は女性自体を見かけることが少なく、話しかけられもしませんでした。だめだ、まったく女について知っていることはない。でも彼女から教わることができるだろう。

キャロウが自分の手をマルコムから取り戻すと、マルコムは彼女をみながらわざと薪に手を突っ込み、また火傷した手を差し出します。彼の仕草から愛情を求められているのがわかり、誰かに愛されたいという気持ちがわかるキャロウは同情心が高まります。彼は言葉が通じなくても過去に出会った誰よりも、彼女の仕草や反応を観察し、聞いてくれます。彼女を喜ばそうと荷物もすべて拾ってきてくれてプレゼントしてくれました。でもルビーのことも思い出されます。時には胸が痛むこともしなくては。いまなら彼をどうやって扉の場所まで連れて行けばいいかわかったわ。

物事はギブ&テイク。彼女に獲物を持ち帰り、安全な場所を用意した。今度は自分が得る番だ。1回目も2回目の時もキャロウに痛みしか与えず喜びがなかったことを後ろめたく思っているものの、もう痛くしないからしよう、とマルコムは要求します。キャロウはこれ以上情が移ってしまったら辛いことになる、と拒否しますが、マルコムは聞き入れません。そこで地面にマルコムが書いた1日を表す円を描き、別の場所に自分の家を描いて、5日後に自分の家に戻ったらマルコムの希望を叶えるとジェスチャーで伝え、マルコムも自分には係累がいないし、彼女が親せきや両親などのいる家に戻りたいのもわかる、ただ復讐をせずにオブリビオン星を離れることを自分はできるのか、ひとまずキャロウの希望を尊重します。

キャロウがお風呂に入りたいと頼むと、この惑星ではデキャンタ1杯の水が奴隷が一人分の価値があるんだぞ、でも自分は水を用意してやれると思いつつ、自分の伴侶を喜ばせるべく、マルコムは洞窟の奥の水をせき止めている場所のそばのくぼ地に彼女を連れていきます。この惑星の水源はマルコムが独占管理しています。彼女はシャンプーなどの備品をかき集め、彼についていきます。斧でせき止めている水流を斧を動かしてくぼ地に水をためていきます。キャロウは大喜びです。マルコムは少年のころ、ヴァンパイアの主人の寝床に侍る前にはかならず他の奴隷たちから無理やり水に沈められて身体をこすられ、顔や髪の毛に流れるせっけんが目に入り目があかなくなるほど痛かった思い出から水辺が大嫌いです。

キャロウに服を脱いで入るようにいうと、てらいもなくさらりと脱ぎ捨て、水に入っていき、シャンプーをしたり身体を綺麗にします。そんな彼女を食い入るようにみつめるマルコム。彼女はマルコムに近づく可能性があるなら彼にもきれいになってほしいと思い、水の中に誘います。彼の髪の毛はぐしゃぐしゃ、ひげはぼうぼう、ほこりまみれで、首から下はほれぼれする肉体美ですが、首から上が自分の許容範囲かは磨いてみないとわかりません。マルコムの髪をほぐし、嫌がらないか少しずつ手入れをしてあげ、髪の毛を切ってもいいか尋ねて大丈夫そうだったので急いでハサミなどを持ってきて、首すじで髪の毛を整え、かみそりで髭をおとしてあげます。そこから現れたのは、下唇が厚く、あごの先が割れている力強いハンサムでした。マルコムは彼女がしてくれるからという理由で、苦手な水辺で我慢して動かないようにして、彼女にされるままにしています。マルコムにも水に入るようにキャロウが誘うと、彼は手首に巻いた装甲を外すとヴァンパイアに血を与えていた血隷だったことがわかってしまうためにためらいますが、服を脱ぐと水のことは考えず彼女のことだけを見つめて彼女のそばに向かいます。

マルコムの手首の傷から、辛い少年時代をホルドで送ったんだろうとキャロウは想像し、同情します。マルコムは優しく触れて世話してくれた彼女が欲しくてたまらないのですが、キャロウは絶対にいやと譲らず、マルコムは彼女の全身を自分と同じように隅から隅まで洗ってあげることでお返しすることにします。気持ちが盛り上がってきたキャロウはついマルコムにキスしてしまいますが、反応してこないマルコムに気に障ることをしてしまったのかと遠慮しますが、マルコムもキャロウを真似るようにキスしてきて、たぶん彼はあまり女性とは付き合ったことがないのかもと感じます。マルコムは自分が生きている間、この素晴らしい生き物とは二度と離れたりしない、と誓います。

マルコムはキャロウを抱きしめて横になっています。キャロウは彼を信頼してすっかりリラックスし、ぐっすり眠っています。マルコムは彼女とは生きている限りずっと離れないと誓います。復讐よりも彼女を優先させると決断しました。

昔の悪夢の続きで、キャロウが小さいころの出来事が出てきました。彼女の血を吸ったことで彼女の記憶を得たようです。マルコムは不思議と彼女が話している言葉がわかります。夢の中で彼女は召使たちにレディ・キャロウと呼ばれていて彼が疑っていたように貴族だということがわかります。そして何着の服が作れるかわからないくらいふんだんに布を使ったベッドが彼女のいる部屋にあり、召使に案内されてはいっていった大きな部屋では、たくさんのお皿とふんだんに盛り付けられた料理がテーブルいっぱいに乗せられていて、豊かさが見て取れます。両親に挨拶したキャロウは着席後黙って食事をしていますが、彼女を無視している両親に対して突然「私を見て! 魔法学校に通いたいの!」と両親に頼みますが、父親にいなされ、つまみ出されてしまいます。私は跡取りというだけの価値なの?と悲しむキャロウをみて、マルコムは慰めてあげたいと思い、目が覚めた後に抱きしめます。ただ彼女がなぜ自分のもとに現れたのかという点は疑問に思っています。明らかに裕福な育ちである彼女がどうしてこの惑星へ送り込まれることになったのか。強制的に送り込まれたなら、なぜ家に帰ろうと彼を誘うのか。彼女が自分の伴侶だというのは望外の幸運で、単純にいままでよいことのなかった彼の人生に運命が彼女を与えてくれたと思えばよいのか、それ以外の理由があるのか、答えはでません。

数日後、マルコムはキャロウに教えてもらって家などの文字を地面に書いています。名前を書いてみて欲しいということから始まって練習しています。マルコムは昔英語を話していたのではないかとキャロウは思いますが、いまわかる言葉はお腹が空いているか、欲しいものはないか、など限られた言葉だけのようです。

5日目になりました。キャロウが物思いに沈む時間が長くなり、自分から気持ちが離れてしまうような不安をもつマルコム。キャロウは自分のことを愛してくれているマルコムをルビーの命を救うために罠にかけなくてはならないこと、裏切った後は二度とこのような幸せな時間を過ごせないことを思って最後に思い出を作ろうと、マルコムにしましょう、と露骨に誘います。マルコムはいそいそとベッドへ彼女を連れていきますが、興奮が高まってきて、ヴァンパイアの本性が抑えきれなくなり血も吸ってしまいます。キャロウは血を通じて彼を罠にはめるつもりでいることがバレてしまうとパニックになり、彼に激怒し、5日間幸福感あふれるマルコムからずっと充電していた魔法の力でマルコムをすっとばします。飛ばされた先に武器コレクションがあり、マルコムが怪我をしてしまいますが、キャロウは自分の心臓を少しずつ奪い取っているのだからお返しに血をもらってもいいだろうという内心が現れてしまって悪びれない態度にさらに怒りを募らせ、洞窟から追い出してしまいます。

怒ったマルコムは怒りにまかせて走り出しますが、襲いに来るならくればいいと考えて水をとめていた住民側の兵のリーダー、ロナークが手下20人ほどを連れて山に来ていました。マルコムと違ってテレポートできる彼らは手負いのマルコムを捕まえようとやっきになります。逃げられたかもしれませんが、マルコムを移動ポイントの扉まで連れて行かなくてはならないキャロウがマルコムに呼びかける声をきいて、この敵をキャロウのそばから引き離さなくてはと考え、抵抗せずに捕まります。

暴力をふるわれた後で、昔カレン王子が捕まっていたのと同じ独房に閉じ込められたマルコム。昔の思い出が蘇ってきたリ、ロナークがなんで自分たちの手間を省いて自殺しなかったんだよ、などと言ってきますが、キャロウの命を助けられたこと、短いけれど幸せな日々を送れたこと、キャロウは振り向かずに彼女の世界に帰ればこのゴタゴタとは関係なくいられる、とマルコムは満足しています。辛かったあの日々も、彼女に出会えることを知っていたら、もっと楽に乗り切れたのに、と。

キャロウはマルコムが戻ってこないことを不審に思って彼の足跡をたどると、どうやら乱闘があったことがわかり、過去の情景を魔法で再現してロナークというデーモンたちに攫われたことがわかります。今日の真夜中に扉に行かなければルビーの命がないのに。それにマルコムを見捨てることはできない。貯めてあった魔力で砂漠をわたり、追いかけていかなくては。

マルコムがさびれた街中の処刑場に引き出され、住民たちが集まってきています。キャロウは困憊しつつ、たどりつくことができ、怪我をして陽の光でさらに弱っていても生きている彼をみてほっとします。王冠で盛装したキャロウは姿を魔法で隠し、群衆をかきわけ、マルコムから見える場所へ出ていきます。自分の奴隷を勝手に罰することはできない、厳格な身分制社会なら地位の高いものの意見は軽んじられないでしょ? という作戦です。そしてお互いの絆をブロックしていた壁を取り払います。キャロウに気付くマルコム。群衆の昏い喜びの気持ちも自分のパワーにかえ、マルコムの喜びもパワーにかえ、斧が振り上げられると、キャロウが空中を浮遊し、姿を現します。キャロウがなぜ自分のものを罰しているのかと尋ねるとロナークが犯罪者は罰する決まりですから。彼は母親と王子の2名を殺害しました。と説明します。考えるキャロウ。それには正しい理由があったのでしょう、彼を放免しなさい、ロナーク。とキャロウは命じます。マルコムはカレン王子以外で自分をかばってもらったことがなく、感激します。ロナークはキャロウがマルコムの伴侶だということに気が付き、抵抗しますが、キャロウは魔法でロナークを攻撃して退け、マルコムの鎖を外していきます。立ち直ったロアークにキャロウが刺されてしまいますが、マルコムの鎖をなんとかはずし、マルコムがロアークを倒します。怪我と魔法が枯渇してしまったキャロウはマルコムに扉に連れて行ってと頼み、気絶してしまいます。

マルコムは処刑人に角を切られ、その前にも拷問され、身体はボロボロでしたが彼を助けにきてくれ、聴衆の前で彼を伴侶と認めてくれたキャロウの希望を叶えるためにはなんでもしようと考え、ボロボロになりながら扉までたどり着きました。着いたぞ、一緒に行こうと微笑みながらキャロウを起こします。永遠に一緒だ、というマルコムにキャロウも、ええ、永遠に。と返します。扉が開くとその先では敵の気配がします。キャロウを後ろにかばうマルコムですが、後ろを振り向くとキャロウがあとずさっていきます。お前だけには裏切られたと思いたくない、と絶望にかられるマルコム。敵の兵士に取り囲まれ、火炎放射器まで持ち出されて攻撃され、キャロウがやめて!!!と泣き叫ぶ前で倒され、魔力を抑える首輪をはめられ、連行されていきます。約束通り、自分とルビーを解放してほしいといいますが、簡単に前言を撤回され、キャロウはまた牢に逆戻りとなります。

牢で気絶から目覚めるとそばにルビーとメランテがついていてくれ、同じ牢には新顔が増えていて魔術師で炎の女王と岩の女王の二人が囚われていました。何日も囚われているうちに、ルビーにはできるだけ残酷な場面は見せないようにするものの、他の虜囚が傷つけられて戻ってきたリ、拷問されている声が聞こえてきて、ルビーの心にどれだけ傷がついてしまったのかとキャロウは心配しています。また自分がマルコムを裏切ったことで良心の呵責にもさいなまされています。

マルコムはキャロウを呪い、荒れ狂いながら通路の奥の牢に入れられていましたが、となりにはロテールという赤い目のヴァンパイアがいました。暴れるたびに通気口から鎮静剤のような煙がまかれるため、そのうち脱出のチャンスが来るからチャンスをうかがったほうがいい、と彼は話します。マルコムは自分の悪夢のほかにキャロウの記憶も見続けていて、彼女が「ルビーのことを考えて」と何度も重要なことのように自分に言い聞かせていたことを知ります。ルビー? 宝石だろうか?

キャロウは牢の窓越しに目をくりぬかれ、頬から腹にかけてV字に切り裂かれて血みどろのレギンが連行されていくのを見かけます。恐れ知らずのレギンが涙を流し、引きずられながら「私の姉妹たちに、彼は獰猛なエイデンだと伝えて、彼を殺して頂戴、魔女!」と頼みます。昔、ワーデン神の狂戦士だったエイデンですが、神の一番のお気に入りの娘のことを愛してしまうという罪を犯してしまいます。彼は殺されますが、レギンを探してなんども転生してくるという話をレギンからキャロウは聞いたことがありました。

ルビーが何か来る、と感じ取り、同部屋の魔術師たちも緊張を高めたため身構えるキャロウ。「ゆびわーーーーー!」というような叫び声と何かの巨大な力が押し寄せてきます。魔術師で破壊的な力をもつラ・ドラータという金の女王がロテールに奪われた指輪を取り戻しにやってきたようです。彼女の破壊と魔力で牢獄内は大混乱、魔術を封じ込める首輪を外してもらった魔術師たちは牢を破壊し、他の虜囚たちも助け出し、立場が逆転した人間を殺し、脱出を図ります。

キャロウはルビーをかばいつつ、自分をだましたフィグリーに復讐すべく、メランテと共に研究室に向かいます。フィグリーへの拷問はメランテにまかせ、別の部屋をみると、誘拐されていたメンバーの塔別な道具などが集められている部屋があり、メランテの手袋と仮面もみつかり、すぐさまメランテは身に着けます。

そこには地下に抜け道もありました。マルコムのことはルビーを逃がした後必ず助けに来るとキャロウは決め、メランテを付け狙うソロノスは地下には来ないだろうからと言って、そこを3人で進むことにします。魔術師たちが大暴れしているようで轟音や振動が響いてきています。さきを進むメランテが、ソロノスに捕まってしまいました。キャロウはメランテを掴みますが、後ろのルビーが崩れてきた岩の向こうに隠れてしまい、キャロウは難しい判断を迫られますが、メランテがルビーを助けてあげて!と言い、キャロウはルビーのもとに向かいます。手しか見えなくなっていて、持っていた短めの剣では十分ではありません。岩から掘り出すには何か大きな道具が必要です。行かないで!とルビーは不安がって泣き叫びますが、必ず戻ってくるから、と心が引き裂かれる思いでその場を離れ、キャロウは道具を探しに元の場所へ戻っていきます。

マルコムの牢に魔術師たちがやってきて、檻を破壊し、奥さんを見つけなさいと言い置いてまた別の個所を破壊しに向かいました。キャロウの匂いをたどり、見つけました! キャロウはなぜか指先から血を流し、涙を流して必死な様子です。マルコムが彼女を捕まえると、離して! トンネルに行かなくちゃ! と訴えますが彼女を信頼する気持ちはなくなっていて、彼女の血を吸います。すすり泣く彼女を感じて、恐怖におびえていても、痛みにも泣いたことのなかった彼女が泣いているのはおかしいと感じます。助けて、お願いと懇願するキャロウに、彼女がそんなに大切にしているものを壊してやろうと一緒に向かうことにしますが、トンネルを進むと、キャロウが「ルビー、頑張るのよ!」と叫んで岩の下から小さくて白い子供の手のとるのを見た途端、マルコムは彼女の夢と彼女の苦悩を思い出し、彼女の血縁を人質に取られていたのだ、とキャロウの事情を理解します。マルコムは全力で岩をとりのぞき、幸いルビーは気絶していただけで、二人をつれてトンネルを脱出しますが、途中でまた岩の崩落があり、マルコムにルビーを守って!と言ってキャロウはマルコムにルビーを投げ渡し自分は下へと落ちていきます。

首輪を外せていないキャロウは魔法が使えず、気が付けば一人きり。ウェンディーゴが近づいてくる気配がし、急いで逃げますが、崖に追いつめられてしまいました。崖から海に飛び込む様子を、キャロウを探していたマルコムたちが見ていました。彼女を水の中まで追ってきたウェンディーゴや鮫を交わしつつ浜辺へ向かおうとするキャロウですが、力が入らなくなってきてしまいました。急いで浜辺に向かう二人でしたが、マルコムは泳げません。それでも水に沈んでいくキャロウを見つけると、マルコムは水に飛び込み、なんとかキャロウを捕まえ、鮫を交わし、浜に引き上げますが、キャロウは息をしていませんでした。

キャロウの種族のことをなにも知らないマルコムは、どう手当てしてあげてよいのかわかりません。キャロウ、死ぬな! ルビーが口から空気を入れてあげるのよ!と教えてあげて、人工呼吸でなんとか息を吹き返します。

キャロウは早くルビーと家に帰りたいと願っていますが、ここは海の孤島で、どうやってニューオーリンズまで帰ったらいいのか考えもつきません。それにマルコムにも事情を説明したいと思っています。ひとまず濡れたからだを乾かし、ルビーを休ませなくてはなりません。崖の方で他の種族と一緒のニクスを見かけたような気がしましたが、騒ぎに巻き込まれないよう別の方向へ向かうことにする3人。マルコムが食べ物が焼ける匂いがするといって、匂いに誘われた先には小屋があり、彼が先客のニンフと別の2人をそこから追い出し、キャロウたちを招き入れてくれます。

キャロウはルビーをお風呂に入れ、寝かしつけて、ニューオーリンズに戻ったら、アンドアインのすぐそばのプールのある空き家を買って、そこで暮らしましょうね、そこならマリとボウエンの家も数軒先だし。マルコムも訪ねてくるかも。眠るまでそばにいて、と頼むルビーにもちろんいいわよとつきそうキャロウ。いつのまにかマルコムが後ろに来ています。

マルコムと別の部屋に移動して、キャロウは事情を説明し、許しを請います。マルコムはキャロウの父親はどこだと訪ねて、ルビーが彼女の養女だと知ります。キャロウは彼と絆を結びたいと頼みますが、マルコムは嬉しいはずが、頭では事情を理解できても、彼女を信頼しきれず、自分のことは放っておいてルビーの面倒をみてくれとキャロウを拒みます。

キャロウが翌朝目覚めるとマルコムはいませんでした。雨が降り続けていますが、ルビーには小屋に残されていた雨具をきせて、浜辺を探検することにします。マルコムがなかなか帰宅せず、周囲にも見当たらないため気をもみますが、しばらくすると帰ってきます。小屋の周りに罠を仕掛け、魚など周囲の生き物で血を補給していたようです。マルコムは以前住んでいた山に比べて食べ物となる生き物は豊富で、陽射しを遮る木も沢山あり、水もあるし、暮らしやすそうな場所だと感じています。

ルビーが罠を見たがったので、マルコムはキャロウの情報を得ようと思い、ルビーを連れて散歩にでます。キャロウは何の仕事で食べているんだ? 魔法を売っているわ、友達は多いのか? みんなキャロウが大すき、友達になりたがっている人はたくさん、男友達も数えきれないほどいるわ、あなたは私の義父デーモンになるの? キャロウがそう言っていたのか 会話の途中でルビーのおなかが鳴って、彼女がお腹が空かせていることに気付きます。

ルビーも、キャロウも、家も友達も学校もあるニューオリンズに帰りたくてたまりませんが、マルコムは海から豊富な食料を得られ、妻と子供を満腹にさせられ、家もあり、安全も守ることができるこの場所が気に入っていて、本気で取り合ってくれません。またキャロウの記憶から読み取った彼女の騒がしいアンドアインの家やいろいろな生き物の出入りがあり、騒音や近代的な機器のあふれる環境よりもこの場所のほうが好ましく、また彼自身の財産というものもこの土地には持ち出せておらず、キャロウの家にいったところでどうやって暮らしていけばよいのか想像もつかないからです。

キャロウはなんとかマルコムの怒りをとき、信頼を取り戻したいと、積極的にマルコムに近づきますが、マルコムは一度は誘われて情を交わすものの、最後の瞬間に身体を離し、あんなに自分に夢中になっていたように見えたのに、自分への嫌悪感からなのかと感じ、キャロウはどうやっても彼の信頼を取り戻すことができないのかと絶望します。その後はマルコムはキャロウを精神的に遠ざけるようになり、彼女とルビーに小屋で生活させ、マルコムは小屋と浜辺の間のあたりで野宿し、ルビーは彼を崇拝していて狩りにいくマルコムについてまわっていて、彼も受け入れていますが、キャロウに対しては彼女のほうは見ようとはせず、声をかけるのも最小限という状態です。

何日もそういった状態が続いて、キャロウはこれでは両親にされていた無関心という虐待を、夫のマルコムからも同じ仕打ちをされてしまっていると気が付きます。ただしマルコムの仕打ちには理由があるということも理解しています。キャロウは意を決してマルコムと話し合いをしようと浜辺まで出向きます。自分をまた信頼することはできるだろうかと。マルコムはすぐには答えようとしませんが、あなたの仕打ちは両親からの仕打ちと同じだと言われて、ショックを受けます。彼女の記憶で両親たちからのキャロウへの仕打ちを見たときは、嫌悪感をいだいていたのに、自分が同じことをしていたとは。マルコムは、どうして人を信頼するのが自分にとっては難しいことなのか理由を夜になったら話す、と言います。

過去を乗り越えるために、もう両親にすがるのはやめようと決め、何度もためらいながら、大切にしていた両親からのたった一つのプレゼントである指輪をキャロウは海に投げ入れます。

マルコムは親友の王子にすら話したことのなかった自分の過去のことを話します。自分の母親は娼婦で父親は誰だかわからず、幼いころに血液のための奴隷としてヴァンパイアに売られたこと、そのヴァンパイアが性的にも搾取するということはわかっていただろうということ。売られた先では血を吸われるだけでなく、主人やその友達たちに性的に搾取され、暴力を振るわれているうちに、生き抜くために彼らからされる病的な仕打ちも喜んでいるように表情も仕草も取り繕っていたこと。絶対に復讐してやると誓い、ある日とうとう主人を殺し、それから次々とヴァンパイアを殺しているうちに噂を聞きつけたカレン王子と知り合い、ヴァンパイアと戦っているうちにデーモンの指揮官となったこと。母親に顔を見せにいくと毒のはいった飲み物を勧められたので、彼女に飲むように強いたこと。カレン王子が初めて自分の友達になってくれたこと。そのカレンと共にヴィセロイというヴァンパイア軍に攻められ、二人ともがヴェーモンに変化させられ、牢に閉じ込められ、血を吸うなり、相手を殺すなり、どちらにしても出られるのはどちらか一人だけと言われ、二人ともしばらくして血の飢えで頭がおかしくなり、カレンがマルコムの血を吸おうとしたのに逆上してしまって彼を殺してしまったこと。彼の血も、それ以後もキャロウ以前には人からは血を摂取していないということ。

マルコムはカレンにも話したことのない過去を話してしまい、恥の意識で顔も上げられず、キャロウの表情をなかなか見ることができませんでしたが、キャロウがもしその時に私がそばにいたら守ってあげたのにと言い、カレンを殺したのは逆上していたからだし、あなたは悪くない、と言ってあげます。キャロウは内心お母さんに会いにいったのは愛情を求めていたからだろうに、毒を盛られそうになるなんて、本当に可哀そうな人だけれど、きちんと振舞える立派な人だと思っています。

ニューオリンズにある魔女の館アンドアインのマリは親友の行方を突き止めようと必死です。大きな鏡をみることはボウエンにきつく止められているため、小さな手鏡をこっそり忍ばせて、彼女の居場所を探そうとしているようです。どうやら魔法かなにかで彼らがいる小島は隠されてしまっていて上空からは確認できないため、トレースならどうだろうと思いつき、以前大きな貸しをつくってあったヴァンパイアのコンラッドとナオミを呼び出します。

ヴァンパイアは通常自分の行った場所しかトレースできませんが、トレースする場所を鏡に呼び出し、その情報をトレースするコンラッドに投影すれば到達できる、という技をマリが考え付きました。行った先でどんな危険が待っているかもわからずネオミも不安がりますが、魔女をひとり取り戻したら、借りは清算したということにさせてもらうからなと言って、コンラッドはキャロウを迎えに行ってくれることになります。噂はすぐに広まり、同じく行方不明のレギンを探し回っているルチアとガレス、ランテを心配しているライドストロムとサビーネ、ライキーのユイリームを心配しているガレスとボウエンなどもアンドアインに集まってきます。ニクスも見当たらず心配されています。

キャロウはある朝目覚めると、ずっと予感があった大きなパワーがすぐにもこの島に押し寄せてくるという強い確信が沸き上がってきます。横にいたルビーも同じことを感じたようです。二人は大急ぎで島を離れる準備を始めます。マルコムは荷造りする二人をみて、自分の醜い過去を告白したことで、ここに置いていかれてしまうのか、彼らに軽蔑されて捨てられるのか、一緒についていったとしても自分は行った先で歓迎されるのだろうか、不安を抱きながら彼らに近づいていきますが、キャロウに抱きつかれ、ルビーがパッキングしたマルコムの荷物も横に持ってくると不安は解消し、行き先がどんなところであろうと自分は一緒に行こう、と思いますが、外で騒ぎが起こりました。侵入者に備えてあったマルコムの仕掛けた罠が作動しているようです。

ウェンディーゴがやってきています。引っかかれるだけでも感染してしまうため、急いでマルコムはルビーをキャロウのもとに避難させ、彼らを排除しようとしますが、頭数が以前よりも増えていて、すぐに手一杯になってしまいます。キャロウも苦戦するマルコムを助けようと剣を手に参戦し何頭か倒しますが、キャロウのほうに向かうウェンディーゴを防ごうとマルコムも必死です。奮戦していると、片目が赤いヴァンパイアがそばにトレースしてきました。殺気立つキャロウでしたが、君を救出するためにマリから派遣されたものだ、私はコンラッド・ロス、君を数時間この島を探し回ったぞ、と話します。「マルティグラは、君にハイジャックされた」と君に言えとマリに言われたが?というと彼が味方ということがキャロウにわかります。もう長くはここにはいられない、というコンラッドに、マルコムと一緒じゃなければいけないと抵抗するキャロウ。私が連れ戻せと言われているのは君だけだ、というとルビーとキャロウをつかみ、トレースしようとします。「マルコム! 急いで!」叫ぶキャロウとルビー。ヴァンパイアに妻と子供が連れ去られようとしていることに気が付き、焦るマルコム。必死で追いすがりますが、あと一歩で消え去られてしまいます。

魔女の館では、集まった皆がなかなか戻ってこないコンラッドにやきもきしています。そこに3人が戻ってきて、私のことを元の場所に戻して! と怒るキャロウをそのままに、コンラッドは怒るルビーの発した炎で火傷してしまっていて、すぐにネオミと姿を消します。ルビーはマルコムを助けなきゃ、彼に今一緒にいてほしいの、今、今、いま!!!とヒステリーを起こし絶叫したので、エリアンナがひとまずルビーに触れて気を失わせ、部屋に運ぶことにします。数時間で目覚めるだろうから、それまでにマルコムを連れ戻すんだね、とキャロウに言います。集まったメンバーのなかでトレースできるのはライドストロムだけですが、キャロウがいた島にランテがいた、というだけでは行かせられないとザビーネが言います。また島というだけでは行き先が絞り切れないため、すぐにマルコムが見つかるとも限りません。必死なキャロウはザビーネと喧嘩を始めます。

ひとり残されたマルコムは自分の家族をさらったヴァンパイアを呪いますが、トレースができれば追いかけられるのにと強く思います。そしてキャロウが山賊に襲われた時、そして海に落ちて鮫に襲われそうになったときに必死で海に飛び込んでからキャロウのそばに行くまでの記憶が曖昧で、その時の感覚がトレースのときの感覚だと気づき、キャロウの記憶からみた彼女の家であるアンドアインを強く思い浮かべます。

プールのある人気のない屋敷についたマルコム、ここがどこなのか、これからどうしたらよいのか戸惑いますが、遠くからキャロウの怒る声が聞こえてきたため、トレースで少しずつ声の方向へ近づいています。

キャロウはウェンディーゴの血がついた剣でザビーネを追いつめ、ライドストロムにトレースすることを約束させますが、そこにマルコムが現れました! 彼に気が付かないキャロウは、マリに「そのマルコムなんとかって超大きい?」と聞かれ、そのマルコム・スレインは私の夫よ!彼が大きかろうがどうだろうが、関係ない、ウェンディーゴの群れから救わなくちゃ!と叫ぶと、そばで幸福感がはじけるのをキャロウが感じ振り向くとマルコムがそこにいました。どうやってきたの、と驚くキャロウでしたが、再会を喜びます。

そこにニコライ・ロスが花嫁のミストと共にトレースしてきて、ヴァンパイアだと見て取ったマルコムがいきなり猛攻撃を仕掛け、その場が混乱しますが、エリアンナがマルコムやニコライ、ギャレスなどを壁に張りつけ、キャロウが彼は味方よ!と仲裁に入ります。マルコムはぎこちなく謝り、周囲も受け入れます。

マルコムとキャロウは行方不明者を心配する人たちを率いて、島に戻ることにします。マルコムはキャロウが同行することをしぶりますが、ずっと一緒よ、と説得され折れることにします。ザビーネが誰がみんなをトレースするの? マルコムがやってくれるなら体重分の黄金で支払うわ、と宣言します。必要ない、と固辞しようとするマルコムをキャロウは引き戻します、私たちの稼業は傭兵だし、費用は払ってもらわないと。あの新しい家をその黄金で購入できる。そのあとで仕事を選びましょうと言って説得します。

親友のマリと母替わりのエリアンナはマルコムを受け入れてくれ、マルコムとキャロウは部屋で休んでいるルビーの様子を見に行き、ルビーはマルコムをみて大喜びです。下にいる仲間にマルコムを私の義理のデーモン父だって紹介してもいい? と聞かれて、マルコムは誰かのものとして紹介されるなんて初めてだ、と喜び、ルビーは部屋を飛び出していきます。

二人はルビーが新しい家に落ち着くまで子供を作るのは待った方がよいかもねと話し合い、ライドストロムに大決戦で味方として戦ってほしいと頼まれたことなどを話し、部屋で熱いひと時を過ごします。マルコムは与え、与えられ、初めて満たされた感じがして、愛してる、と告げ、キャロウもずっと愛し続けるわと返します。マルコムは以前の人生でお前は失い続けると言われたことを思い出しますが、彼はどうにかして愛する女性を勝ち取ったのです。夢は叶った。(終)

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​それぞれの種族が否応なく巻き込まれ、種族の滅亡がかかる争いとなる大決戦が近づいている!? ローアを舞台にしたこの一連のシリーズをもっと読みたいですね!
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