NOVELS ROOM

Blue's of the past

* Blue's of the past *
ここは、とある病院。レプリロイド達の傷を管理したり、人間の治療を看たりする所。主なのは、人間の治療だが。

そこの病院のある場所で、少年型のレプリロイドが生まれた。
彼はカプセルの中で眠っていた。
全体的に青系統の色をしていて、髪型はショートカット。人間で言う耳の所に、短冊の様な物が付いている。おそらく、その短冊が通信などに使う様だ。

彼は、カプセルの入口(?)が開いた時、ゆっくりと目を開け、ゆっくりと起き上がった。

「…………」

無言で辺りを見回すと、そこに一人の男の人間がいた。おそらくここのドクターだろう。

そして、そのドクターは、彼に優しく話しかける。

「お前の名前はブルー。たった今から、お前は看護レプリロイドとして働いてもらうよ」

ブルーと名付けられた少年型レプリロイドは、頷きこう言った。

「あの…貴方を何て呼べばいいのですか?」

そのドクターは腕を組んで、数秒悩み、

「俺の事は、レイト先生と呼べばいい。解ったか?」

と、言った。
ブルーは、はい!と笑顔で返事をした。

「あ、そうそう…いざと言う時に…」

そう言って、ブルーに棒の様な物を手渡した。

「これは?」
「……そこのスイッチを押せば判る」

ブルーは、言われたとおりにそのスイッチを押してみた。

ヴゥゥン!

「うわっ」

突然出て来た光の刃に驚き、ブルーはそれを反射的に投げて飛ばしてしまった。

「な…何ですか、あれ?」

ビクビクしならがら、レイト先生に尋ねる。

「ははは、あれはライトブレードって言う光る剣だ。救助に向かう時や、現場に到着した時に、イレギュラーが襲って来たら、こいつで攻撃するんだ。ほら、何かと病院って看護レプリやドクターレプリが多いだろ?イレギュラーハンターが何とかしてくれるとか祈っていると危ないだろ?だから、すぐに対応出来るように、こいつをお前に渡しておくのさ」
「…と言う事は、看護レプリでありながら、イレギュラーハンターとしての仕事もすると言う事ですね」
「そういうこと!まさに一石二鳥だ!よーし、今から仕事に掛かるぞ!準備はいいな、ブルー?」
「はいっ!!」

ブルーは、幼い子供の様な元気な声で返事をした。




ブルーは、テキパキと仕事をこなしていった。点滴をしたり、薬の調合を手伝ったり、たまに病院に入院している人やレプリロイドと触れ合ったりもした。もちろん、あのライトブレードを使った時もあった。
そう、いつしかブルーは病院の人気者となっていたのだ。

そんなある日、レイト先生と一緒に、データファイルを整理していると、ブルーはあるデータを見付けた。

「レイト先生!」
「ん?どうした?」
「あの…この人は誰なんですか?」

ブルーがレイト先生に差し出した物、それは「インディゴ」と言う名のドクターレプリロイドのデータだった。

「あぁ…こいつはな、お前が生まれて、一週間経った時に、クビにされてね」
「どんな方だったんですか?」
「どんな治療も素早く治す、神の様な奴で、人気もあった。時間が掛かると思われるオペだって短時間でこなす、凄い奴だったよ。だけど、突然あいつが医療ミスをおかしたんだ。一度もミスなんてした事がないあいつには、辛かっただろうな。そして、その一度のミスがあっただけに、あいつはクビになった」
「…そうなのですか…何か可哀相ですね…」
「そうだな…」

そして、二人はまたデータの整理を続けた。

その時である。

何やら、病院の中が騒がしくなったのだ。急患が大勢入って来たのだと思ったが、違った。
部屋から出ると、逃げ回る人や、悲鳴をあげて助けを呼ぶ人達がいたのだ。入院中のレプリロイド達は何かに向かって攻撃の様なことしているが、その何かによって、レプリロイド達は倒れていった。

二人が見つめる先、その何かは姿を現わした。

「あ、あの人は…!」

そう、ここの病院を追い出された、ドクターレプリロイド、インディゴだったのだ。

ブルーはとっさにライトブレードを構えた。

インディゴは、しばらく病院の中を攻撃していたが、ブルーの姿を見て攻撃をやめた。
そして、インディゴはブルーに話しかけた。

「君が…ブルー君か…」
「そうですけど…僕に何か…?」

ライトブレードを構えたまま、インディゴの言葉に返答した。

「…君というレプリロイドができたおかげで、私の仕事がすべて君に奪われた…オペもやらせてはくれなかった…久し振りに仕事が来たと思ったら…人間がある細工をし、私が医療ミスをしたとはやしたて…私を即にクビした……そう…全ては君がいたせいだ!ブルー!!」
「そんな…僕は…」
「黙れ!!私は…君を破壊しに来たのだ…そうすれば、私にまた仕事がくる…」
「そんな事をしても、貴方に仕事は戻ってきません…病院をこんなにして、人間をも襲った…僕は、貴方をイレギュラーと認定し、排除しなければなりません」
「この私を倒そうと言うのか!?君のような餓鬼に倒されるほど、私は落ちぶれてはいないのだよ!?」
「やってみなくては判りません…ただ今から、排除させて頂きます!」
「こい!クソ餓鬼ィ!!」

ブルーは、ライトブレードを片手に突っ込んでいった。インディゴは注射器を何本も飛ばした。それをライトブレードで跳ね返す。が、すぐにインディゴは次の注射器を何本も飛ばしたのだ。ブルーは避けたのだが、その中の一本が、ブルーの右肩に突き刺さった。

「ぐっ…!」
「どうだい…私がつくった薬の味は…?」

ブルーは何も答えず注射器を抜き取った。抜き取ったはいいが、右腕が全く動かなかった。

「……っ!」
「すごい効き目だろう…それに当たった箇所は、すぐに機能停止する…レプリロイドは一本当たっても少しは動けるが、人間に当たった場合、即死だ……さぁ、次は左肩だ!!」

そう言って、インディゴはまた注射器を何本も飛ばした。
ブルーは避け続けるが、今度は左足に刺さり、すぐに動かなくなった。そして、ブルーはその場に倒れ込む。ブルーは息が荒かった。
インディゴが、ブルーに近付く。

「さぁて…どうしてやろうか……ん?」

インディゴはある気配に気付く。
そして、その気配の名を呼ぶ。

「遅いではないかミリア…何をしていた?」

そこには18歳くらいの少女が立っていた。
髪は紫 目は闇のように黒い。
ガタイはいいがよくみるとブルーと同じレプリ…
機械には変わりないがレプリではありえないレベルまで完成されたものだった。

「貴方のデータを探していました…思ったよりもプロテクトが固く突破に時間がかかりました」

見た目では武器を一切持っていない。

「まぁ、いい…今この餓鬼をどうしようかと考えていた所なんだ…」

そう言い、ブルーを見下す。
ブルーは、動かない右腕左足でも、一応は抵抗しようと、ライトブレードを構えていた。

「…貴方は無駄な事をするのが好きなのですね、弱者をいたぶって楽しむなんて…失望しました。
 あなたの薬のデータは既に入力済み…解毒プログラムは完成済みだった…」

そういいながらブルーにプログラムを強制で送り続ける。

「…私とした事が、やり過ぎてしまったようだ……」

インディゴは、フッと髪を掻き揚げた。

「ところで、君は何のプログラムを送り込んでいるんだい?見た所、ブルーが苦しんでいるようだが?」
「…あなたの薬の解毒データです、このレプリはまだ生かす価値がありますから…
 そう…あなたを排除する任務がありますから…!」

そういいながら彼女は立ち上がる。

ブルーは、解毒プログラムを送り込まれている時、多少苦しんでいたが、今は何ともなかったかのような顔をしている。

「……動く…左足も右腕も…!」

それを見たインディゴは、少し焦った。

「…インディゴさん…よくも僕をいたぶってくれましたね…倍に返します!!」

そう言って、インディゴに斬り掛かった。
素早く避け、インディゴは逃げる体勢をとった。

「…フンッ…君は私には勝てない!!…今回はこれぐらいにしてやる!さらばだ!」

インディゴはよくいそうな悪党のように逃げていった。

「…………」

ミリアと呼ばれた少女は、無言のまま病院内に入ってゆく。
途中に現れた警備レプリは無惨にももとが何かわからないほどに粉砕されていた。
彼女はただ警備レプリの頭を掴み、床へと叩き付けただけなのに…

「待ってください!貴女は何の目的で、この病院に来たのですか!?」

ブルーは、彼女前に立ち塞がりそう言った。

「理由次第…ここを通す訳にはいきません…」
「…私は自らに与えられた任務を他人に話すような愚かなハンターではありません。
 任務遂行の邪魔をする者は排除せよとの命令が下っている、スグにその場を退きなさい、さもなくば貴方を再起不能まで砕くことになります」

ミリアはチラリと跡形もなく砕かれたレプリを見る。

「……っ!」

ブルーはそれを見て、言葉に詰まった。
仕方なく、その場を退いた。

「素直な子…」

そう一言呟くと、突き当たりの壁まで動き、一撃のもと粉砕した。
その先には元インディゴの部屋があった。

ブルーは、とっさにミリアについて来てしまった。

「この病院にこんな部屋があったなんて…」

ブルーはボソリと呟いた。

「…………」

ブルーには気も止めずに病院のデータを奪うミリア。
その早さは尋常ではない。

ブルーはそれを黙って見守る。

「あの…他に何もする事はないですよね……事が済んだら…その…この病院から、出て行ってくれませんか…」


「傷ついた方の治療…それが貴方の役目、私に構っている暇があればスグに行くことです。今すぐ向かえば助かる命が3あります、1つは2階の2-8号室 部屋の右隅にあるベッドの下 2つめは2階の2-8号室 3つめは屋上にいる」

奪ったデータを服にしまいさらに言う。

「私は屋上をみにいきます、貴方は2階と3階を…」

そう言うと屋上に向かって行ってしまった…

ブルーはいわれた通り、まず2階の2-8号室へ行った。
そこには、ベッドの下に隠れている子供たちがいた。

「もう、大丈夫だよ…出て来ておいで…」

優しく話しかけるブルー。
数分後、ベッドの下から子供たちが出て来た。
子供たちは多少の擦り傷があった。

「ごめんね…僕のせいで…」

そう近付こうとした時、

「くるな!」

と、一番やんちゃそうな子が、ブルーを睨み付けて言った。

「どうして…どうしてすぐに助けてくれなかったんだよ…」
「……それは…」
「どうせ人間なんてみたいな事思ってたんだろ」
「違うよ…僕は…」
「いつまでここにいるんだよ…早く行けよ!」
「…でも、傷の手当てをしないと…」
「他の人にやってもらうからいいよ!早くどっか行け!」

ブルーは、寂しそうに部屋を後にした。
他の部屋へ行ったが、大体が先ほどの子供たちの様な感じに口々と言われた。

いつの間にか、ブルーはミリアがいると思われる場所、屋上にいた。
ふらふらと歩き、網フェンスを背に座り込んだ。

「あなたはココロがあるのですね…私にはありません。欲しいものも、失いたくないものも、何もない…
 ブルー、と、いいましたね…ここを出なさい、貴方を破棄する方針が決まりました…インディゴが…復帰するみたいです…」

髪が風になびいている…ブルーを見る目はどこか寂しそうに見えた。

「判りました…ここにはもう…僕は必要ありませんから…
 ………レプリロイドって、悲しいものですね…人間の様に、涙を流す事が出来ない……」

そう言って、ブルーはよろよろと立ち上がる。それほどのショックを受けたのだ。それに、インディゴを排除する事を一点にし過ぎたせいか、病院を守る事が出来なかった。実際そっちの方がショックが大きいと思われる。

ミリアはそれを見届け、ザンッと音と共に街に消えてゆく…
紫色の髪を揺らめかせ…

ブルーは病院を後にし、当てもなく、どこか遠くへ向かうようにして、走って行った。


The end...

今回は、ブルー君の過去を書いてみました^^;
色々書いていたら、一気に一万字を超える文章になってしまって・・・lliorz
えっと、小説に出て来たインディゴさんは、髪の毛が長く、髪の色は紺。
小説の通り、かなりキザでサディストです^^;
以前は真面目だったんですけど、まぁ、詳細っぽいのは本人が言ってたので、いいませんが^^;
ま、とにかく、長い小説を読んでくださり、誠にありがとうございました^^

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