| |
|---|
| 作者:倉麻るみ子&J・ラコタ 一方、ラルドたちはイグニスにある疑問をぶつけていた。 ラルド「・・・ところで、お前がプラノズを追う訳は何だ?」 イグニス「俺はタイム・エージェントだ。時間犯罪者を取り締まるのが使命だ。 ・・・俺はそのために生まれてきたんだがな。」 リリス「どういうことなの?」 イグニス「俺のいた未来では、人口を増やすためにクローンを生み出している。 ・・・だが、研究者たちはそれに飽き足らず、遺伝子操作によって、特殊なクローンを作り上げた。その結果作られたのが・・・、」 ファラス「プラノズ。・・・か?」 イグニス「その通りだ。そして、私もそうだ。」 ミラル「じゃぁ、イグニスさんはプラノズの従兄弟で、同じ能力を持ったクローンで・・・、」 カイン「だぁーっ、化学だか科学だか訳わかんねぇけど、頭が痛くなる! とにかく、早い話が、イグニスも俺たちの仲間だ。って、事だろ!?」 イグニス「・・・そうなるな。」 ・・・彼らは目的地に辿り着いた。 そして、そこで待っていたのは、プラノズとユーリィだ・・・。 プラノズ「現れたな・・・ゴミ虫どもが・・・。そして・・・イグニス・・・。」 そういいながら、座っていたイスから立ち上がった。 プラノズのそばには、血だらけになったユリウスが倒れていた。 カイン「あ・・・、あれは・・・!」 ラルド「・・・!」 ミラル「ひ、酷い・・・。」 プラノズ「そうか・・・、ラルドの洗脳を解いたのはやはりイグニスだったか・・・。」 ラルド「貴様・・・自分が何をしているのかわかっているのか?」 プラノズ「・・・ラルド・・・お前の幼馴染がいないのに気が付いているであろう?」 プラノズは、ラルドの質問に答えず、逆に質問を返した。 そして、こう続ける。 プラノズ「今ここで倒れている奴。・・・そう、・・・ユリウスがウランを殺した。」 ラルド「な・・・!」 「ウランが殺された・・・?そんな馬鹿な・・・ありえない・・・。」 そんな言葉がラルドの頭によぎり、ガクッと膝を落とし、力なく座り込んだ。 そして、ラルドの目から一筋の涙が零れ落ちた。 プラノズ「嘘だと思うのならば、仲間に聞くがいい・・・。」 ラルド「・・・カイン、・・・本当・・・なのか・・・?」 ラルドの声は震えていた。 カインは、何も言わなかった。・・・いや、何も言えなかった。 ラルド「嘘だ・・・嘘だ・・・きっと・・・どこかに隠れて・・・。」 カイン「やめてくれ・・・!・・・アイツの言ったことは本当なんだ。・・・ウランは、・・・ウランは死んじまったんだよ!!」 カインの言葉が、ラルドの胸に突き刺さる。 そして、声を殺して泣き出した・・・。 カイン「ごめんな・・・俺・・・何も出来なくて・・・。」 ラルド「・・・。」 カイン「俺が、もう少し早く来ていれば、ウランを助けられたかも知れないのに・・・。 ・・・ホントに・・・ごめんな・・・。」 ラルド「・・・いや、・・・カインが悪い・・わけじゃない・・・。 すべて、アイツの・・・プラノズのせいだ・・・!」 ラルドは、涙を流しながらも、力強くそう言った。 涙を拭い、ゆっくりと立ち上がり、顔を上げキッとプラノズを睨んだ。そしてこう言った。 ラルド「貴様だけは赦さない・・・絶対に!!」 ラルドはプラノズに向かって、衝撃波を放った。 だが、命中する直前に衝撃波は消滅してしまった。 洗脳の解かれたラルドは、さらに能力が落ちていたのだ。 プラノズは余裕の表情を浮かべて、逆にプラノズがラルドに向けて衝撃波を放ち、それがラルドに直撃し後ろに飛ばされるが、それをカインが受け止めた。 カイン「大丈夫か、ラルド?」 カインが尋ねたが、ラルドはカインの方を見ていなかった。 ずっと、プラノズのほうを睨みつけている。 ラルド「貴様は私が倒す!!」 カイン「ちょ、お前やめろよ!一人でどうにかなる相手じゃないだろ!?いつもの冷静さはどこいったんだよ!?」 ラルド「放せ、カイン!!アイツだけは、アイツだけは赦してはおけないのだ!!」 カイン「馬鹿!気持ちはみんな同じだ!」 ファラス「冷静さを保て、ラルド!」 何とか説得し、ようやくラルドは冷静さを取り戻した。 ラルド「すまない・・・気が動転していた・・・。」 ラザロ「まったく、世話が焼けるよ・・・。」 ミラル「さっきのラルド君、カインみたいだったわ。」 リリス「感情に動かされて、周りが見えてなかったカインにそっくりだったよ。」 ファラス「カインと一緒にいたせいか?」 カイン「え?俺のせい?」 プラノズ「お前たち・・・私を忘れて、何をのんきに話している・・・!!」 プラノズはそう言って、膨大な衝撃波を飛ばした。その衝撃波で、全員は吹っ飛ばされる。 ファラス「・・・まったく、やつのいうとおりだったな・・・。」 イグニス「とにかく、今は全員の力を合わせ、やつに攻撃するんだ!」 カイン「つまり、一斉攻撃ってわけか・・・。」 プラノズ「フンッ!お前らが束になってかかったとしても、私を倒すなど夢のまた夢だ!!」 ???「それはどうかな?」 と、聞き覚えのある声が聞こえた。 後ろを振り向くと、そこには洗脳の解かれたライディスとニィナがいた。 ライディス「ごめん、遅れた。」 と言いながら歩いてくるが、全員は必死でこっちに来るなと言い出す。 ライディスには、何故だかさっぱりだったが、すぐにその疑問は解決した。ライディスの目に映ったのは、プラノズの近くで血だらけになって倒れている兄の姿だった。 ライディス「に、兄さん・・・兄さん!!」 プラノズ「声をかけても無駄だ。こいつは私が殺したのだからな!!」 その言葉で、ライディスは怒りの頂点に達した。ライディスの姿が変わっていく・・・。 クリーム色だった髪の毛は、漆黒の闇のように黒くなり、手は鋭い爪となっていった。 ライディス「よくも・・・よくも兄さんをおぉぉぉっ!!」 そう言いながら、爪を立てプラノズに向かって瞬時に走った。 プラノズの直前まで近付いて大きくジャンプをし、切り裂こうとした、その時だった。 ユーリィが突然ライディスの目の前に現れ、首にかけているベルを軽く鳴らした。 1度目に軽く鳴った時、突然、ライディスは自分の体が宙に浮いたままで、自由が利かなくなった事に気が付く。 2度目に軽く鳴った時、ライディスは地面に叩きつけられた。 そして、ライディスが起き上がろうとした所で、ライディスの額にユーリィは手を当て、3度目はベルを重たく、大きな音で鳴らした。 ・・・0.1秒後、ライディスの姿が元に戻っていき、その場に倒れた。 慌ててニィナは倒れたライディスに駆け寄るのだが・・・、ライディスは目を開ける事無く、・・・その後動くことは無かった。 その様子にラルドたちは驚愕した。 ユーリィ「・・・ライディスも哀れね。でも、これで兄弟仲良くあの世へ行ったはず。」 カイン「どうなって・・・いるんだ・・・!?」 ユーリィ「私のベルには、相手の生体エネルギーを吸い取る力があるのよ。 つまりは魂を抜き取って殺せるの。・・・それでもやる気なの?ニィナ。」 ニィナ「酷い・・・、あなたたちを倒して、一緒に暮らそうと思っていたのにっ・・・! 墓参りをしようと・・・!・・・赦せない!絶対に赦せないんだからぁ!!」 ニィナは獣化した。だが、カインとラザロに止められる。 ニィナ「やめて!放して!」 カイン「放すかよ!」 ラザロ「行ったら、ライディスみたいに殺されちゃうよ!!」 ニィナ「放しなさい!!」 カイン&ラザロ「うわぁっ!」 ニィナは2人を振りほどき、プラノズに向かって飛ぶ。 だが、やはり、ユーリィが1度目に軽く鳴らしたベルでニィナの動きを宙で止めた。 次に、大きな音でベルを鳴らした途端にニィナの体は力なく宙に浮き、動かなくなった。 そして、地面に落ちた。 ユーリィ「・・・馬鹿な子たち・・・。刃向かって来なければ、死なずに済んだのに・・・。」 プラノズ「ユーリィ、よくやったな。」 ユーリィ「貴方のためですもの・・・。」 ファラス「く・・・、よくも!!」 カイン「待て、ファラス!」 そう言い、カインはファラスの足を手で掴む。 ・・・当然ながら、ファラスは地面にスッ転んだ。 ファラス「クッ・・・、何をする!カイン!!」 ユーリィ「あら、どうしたの?さぁ・・・、早く来なさいよ。」 ファラス「カイン、足を離せ!!」 カイン「落ち着けと言ったのはお前だろ、ファラス!」 その声にファラスは動きを止めた。 カイン「よく考えるんだ、ファラス。ユーリィの攻撃パターンをよく考えるんだ!」 ファラス「ユーリィの攻撃パターン・・・?」 ファラスは、今さっきの状況をもう一度頭の中で思い浮かべていた。 ライディスはプラノズに近付きすぎた時に、ユーリィから返り討ちを受けて・・・死んだ。 そして、ニィナも、確かにユーリィの手には触れられていない。 触れられていないのだが、ニィナもプラノズに近付き過ぎたためにベルを近距離で大きく鳴らされて・・・死んだ。 「近距離」という言葉がファラスの頭に残り、そこでユーリィの攻撃に、ある弱点がある事に気が付いた。 すぐにファラスはカインの横側に戻り、カインは自分の力を使って、自分たちとプラノズたちの間に厚い壁を作った。 ファラス「・・・なるほど、お前の言いたい事は分かった。」 カイン「だろ。・・・だけど、問題は・・・どうすればいいか。」 リリス「ラザロ・・・、まだ撃てるの?」 ラザロ「微妙・・・。実弾の数は少ないし、気を溜めて撃つ弾は・・・もう、限界だね・・・。 これ以上やったら・・・。」 リリス「ラザロ・・・。」 ラザロ「でも、僕意外でないと出来ないんだ!ラルドの力は弱っているし、イグニスの攻撃もあの2人には通用しない。 ・・・せめて、ユーリィだけでも倒せれば・・・!」 プラノズ「何を話している?お前たちが何をしようとも無駄だ。」 そう言うと、プラノズは左腕にパワーを溜め始める。 プラノズ「消えて無くなれ・・・!」 しかし、そのプラノズの姿をスコープに捉えている人物がいる。 そして、サイレンサーを先端に取り付けられた、自らのショットガンの引き金を引く。 だが・・・、 ユーリィ「プラノズ、危ない!」 そう言い、ユーリィはプラノズに飛び掛かる。 プラノズは何が何だか分からない様子だった。 だが、次に何故ユーリィが自分を突き飛ばしたのか。その理由が分かった。 ・・・ユーリィの背中に銃弾の穴が走る。 しかも、1発、2発ではない。少なくとも9発は撃たれていた。 ユーリィはプラノズの盾になってしまったのだ。 プラノズ「・・・ユーリィ・・・、ユーリィ!ユーリィ!!」 背中から血を流し、二度と動くことの無いユーリィの体を揺するプラノズだった。 そして、・・・怒った。 プラノズ「く・・・っ、よくも・・・、よくもユーリィを!! 許さん!許さんぞ!!ブラウン・ラファール!!」 その9発を発射したのは、ブラウンだった。 ブラウンはラルドたちから約50m上の穴にいた。 そこからピンポイント射撃を狙ったのだが、標的はプラノズだったのにも関わらず、一発も掠らなかった事を悔しがっていた。 だが、悔しがって済む問題ではなかった。 ブラウンのショットガンのスコープに、なんと、プラノズの顔がドアップで映っていた。 いや、映っていただけでは済まず、ブラウンの目の前に、・・・プラノズが立っていた。 ブラウン「!!」 すぐにショットガンの銃口をプラノズに向けようとするが、ショットガンはプラノズの手で抑えられ、握り潰されて、破壊された。 そして、プラノズはブラウンの顔を手で鷲掴みにし、テレポートで戻ってきた。 カインが作った氷の壁「アイスウォール」越しからそれを見たラルドたちは、すぐにブラウンを助けようとしたが、・・・遅かった。ラルドたちがアイスウォールから足を踏み出そうとする前に・・・、ブラウンの胸をプラノズの右腕が貫通していた。 口から血を吐き出すブラウンの体を、そのまま右腕を放り、アイスウォールの方へ投げつけた。 投げつけられたブラウンの体からは、胸から血が大量に流れ、内臓はえぐれていた。 そして、最後に口から血を「ゴフッ、ゴフッ、」と吐き出し、動かなくなった・・・。 ブラウンも・・・死んだ。 プラノズ「許さんぞ・・・!許さないぞ!!お前たち!!」 そうプラノズが怒り、衝撃波が部屋全体へ広がった。 その衝撃波の前に、カインのアイスウォールにヒビが入り始めていた・・・。 カイン「やっべ!みんな!離れろ!!」 カインの掛け声に、全員はアイスウォールから離れる。 だが、プラノズの衝撃波は、あまりにも強力すぎたために、ヒビの入ったアイスウォールは瞬時に粉砕し、その衝撃波は全員を巻き込んだ。そして、全員が吹っ飛ぶ。 だがしかし、自分たちも飛ばされているわけにもいかなかった。 飛ばされながらも、プラノズに向かって、自分たちに残っている能力をうまく使い、攻撃を放った。 攻撃は命中した。確かに命中した。だが、プラノズはその攻撃を吸収した。 再び膨大な衝撃波が飛び、結局は飛ばされ壁に激突してしまった。 ラルド「(・・・私の能力が落ちていなければ・・・この状況を少しでも変えられたかもしれないのに・・・。 無力だな・・・。無力で無能だ・・・。)」 そう思ったときだった。 『だったら・・・ボクの力をあげる・・・。』 どこからか、声が聞こえた。とても聞き覚えのある声だった。 そして、他の声も聞こえてきた。 『ちょっと、あんたが幼馴染だからって、あんただけにいい格好はさせないわよ?』 『僕らだっているんだ。』 『ストップストップ!僕だっているって!ね?』 『そうよ!』 『ラルド。俺たちの能力を使え!』 『おいおい、俺を忘れちゃ困るぜ?』 『私だって・・・。』 『登場少なかったオレもお忘れなく!』 この9人の声が誰なのかは、あえて説明しないでおこう。 彼らは、ラルドの目の前に現れたが、半透明。・・・見えているのはラルドだけだった。 ラルドが彼らに何かを言おうとした時、彼らはラルドの周りに移動し、両手をかざした。 そして、暖かな光が、ラルドを包み込んだ。 他の者には、ラルドが突然輝きだしたようにしか見えていないし、その輝きが強くて、直視することが出来ていない。 ラルド「・・・何だ、この暖かな光は・・・。何だか、力がみなぎってくるようだ・・・。」 そう呟いたとき、ラルドの目の前に見慣れない剣(つるぎ)が現れた。 ラルド「こ、これは・・・?」 『これを使うんだ、ラルド。この剣で、プラノズを倒すんだ。』 『その剣で奴にかなうかどうかはわからないけど・・・。』 『これであんたも、まともに戦えることは確かよ。』 ラルド「・・・ありがとう・・・みんな・・・。」 ラルドはそう言って、目の前の剣を手に取った。 すると、だんだん輝きは消えていった。 プラノズ「くっ・・・一体何が起こったというのだ・・・!」 プラノズや、その場にいた全員が目を開けると、そこには見慣れない剣を持ったラルドがたっていた。 見つめる先はプラノズである。 カイン「・・・ラルド・・・それは、一体・・・?」 ・・・だが、カインの質問には答えず、ラルドはプラノズに向かっていく。 プラノズ「無駄な事を・・・。」 プラノズはラルドを衝撃波で弾き飛ばそうとした。 だが、ラルドはその衝撃波を剣で切り裂いた。 プラノズ「(な、何だと・・・!!)」 ラルドのスピードは緩まない。 プラノズは慌てて、金属のパイプを取り出し、刀に形状を変化させた。 その刀で、ラルドの剣を受け止める。だが・・・、 ―バキンッ! プラノズの刀が折れた。 そして、プラノズはラルドに蹴り飛ばされて、壁に激突する。 だが、これで終わりではない。 強い衝撃波をプラノズに加えたり、光り輝く剣で真空波を飛ばしたり。 ラルドはプラノズにしつこく、反撃の間を与える事なく素早い攻撃を加えて、尚且つ、プラノズにこの攻撃をほとんど命中させている。 カイン「は、早い・・・!」 ミラル「ラルド君って・・・、こんなに早かったっけ?」 ファラス「恐らくは、元々持っていた能力が覚醒したんだろう。・・・あの剣のお陰でな。」 しかし、次にラルドが手から発したのは空気弾。 次に姿を消して、プラノズの前に現れた途端に、次の攻撃を加えた。・・・雷だ。 リリス「それだけじゃない・・・。ウランくんを失った悲しみと怒り。 そして、死んだみんなの能力も・・・。」 さらに、剣を構えて気を溜めて、次にプラノズに向かって放ったのは、2匹の狼と1匹の鷲の形をした、3つの衝撃波だ。 その衝撃波は、プラノズに命中した途端、直撃した部分だけでなく、まるで、獣の爪で引っかかれたかのような切り傷が体全体に走った。 そして、地面に、真っ赤になった剣を叩きつけると、今度は炎の竜がプラノズに猛進する。 これをプラノズは寸前で避けるのだが、掠った部分が真っ黒にコゲた。 ラザロ「イディン、マイケル、シルビィー、ブラウンの能力。 さらにはユリウスたちの獣化能力まで・・・! プラノズにこの攻撃はほとんど命中している。」 イグニス「だが、怒りに駆られすぎている。このまま攻撃を続ければ、プラノズは愚か、ラルドの体も、我々も崩壊を起こしかねない。」 ファラス「何だと・・・!?」 イグニス「電気を吸収し過ぎたコンデンサーと、今のラルドの状況は同じだ。 いきなりあの剣によって9人分の特殊能力が流れ込み、さらには怒りに駆られてプラノズに攻撃を続けている。 このまま攻撃を続ければ、ラルド自身の理性が飛びかねない。 ・・・やがては完全に暴走するだろう。」 カイン「それって、かなりマズイじゃんか!」 ミラル「早くラルド君を止めないと!!」 そのミラルの言葉に、他の3人も頷いた。 そして、5人は・・・ラルドに向かって攻撃を放った。 だがそれは、ラルドが正気に戻るようにするための威力であった。 だから、そんなに威力はない。 だが、ラルドは振り向きざまにその攻撃をかわした。 みると、少し目の色が赤かった。 カイン「ま、まさか!」 イグニス「いや、まだ完全ではない。だが、完全に暴走するまで、あと数分しかないぞ。」 ファラス「ならば、完全に暴走する前に、止めるまでだ。」 みんなはラルドに向かって、それほど威力がない攻撃を放っていった。 だが、全て見事に避けられてしまう。 プラノズ「(・・・何だ?仲間割れか?ならば、今がチャンスということか!)」 そう思ったプラノズは、その場から少しはなれ、両手で気を溜め始めた。ある程度たまると、それを片手でもち、上にあげてから勢いよく地面に向かって、それを叩き付けた。 地面を這う衝撃波は、皆を意図も簡単に吹き飛ばした。 だが、皆持ちこたえたようで、壁には激突しなかった。 それを見たラルドは、再びプラノズに攻撃を集中した次に、枯れた蔓に剣を刺した。 その枯れていた蔓は一気に生命力を取り戻し、プラノズを締め上げた。 ・・・これは、セラとウランの能力を組み合わせた技だ。 どんどん、蔓による締め付けが強くなり、プラノズは苦しみ出す。 ラルド「どうだ、苦しいか・・・?イディンやシルビィー、マイケルやユリウス、ブラウン、ライディス、ニィナにセラ。そして、ウランも・・・、皆苦しんで死んだ。 その苦しみをお前も味わえ・・・!」 プラノズ「ぐあぁぁっ!」 カイン「止めるんだ!ラルド!!」 そう言い、カインはラルドに水を掛け、足元を凍らせる。 だが、ラルドは動じる様子は無く、カインを睨む。 ラルド「カイン・・・、何故邪魔をする・・・? ミラルやファラス、イグニス、ラザロやリリスもそうだ・・・。 何故さっき私に攻撃した・・・?」 ミラル「それ以上やったら・・・、・・・ラルド君はラルド君じゃなくなるから・・・。」 カイン「ミラル・・・!」 ラルド「・・・何?」 ファラス「ラルド、十分にプラノズを痛めつけたはずだ。 だが、殺した所で、死んだ皆は戻らない。」 ラルド「・・・分かっている。だが・・・、コイツだけは・・・、コイツだけは赦せない・・・。」 ・・・その時、ラルドの目から涙が流れた。 それと同時に、赤く、輝きの失せていた目は、元のエメラルドグリーンの、輝きのある目の色に戻った。 カイン「・・・判っている。だけどもういいんだ・・・、ラルド・・・。」 カインはラルドに近付いて抱きしめた。ラルドは、力なく泣いていた。 半分暴走しかけたラルドの力が弱まり、先ほどプラノズを締め付けていた蔓は緩まった。 プラノズは、そこから抜け出し、カインたちから距離をとった。 プラノズ「(何て力なんだ・・・。私よりも上回るほどの力が、コイツにはあったというのか・・・?)」 イグニス「終わりだ。プラノズ。」 プラノズ「ま・・・、まだ・・・、終わってなど・・・いない!これを見よ!!」 プラノズがそう言い、手から輝きを発すると、突然部屋が揺れ出した。 そして、地面から円柱状の物体がいくつか突き出てきた。 その物体にラザロは見覚えがあった。 カイン「な、何だ、あれ!?」 ラザロ「あれは・・・、冷凍保存用のカプセル!」 リリス「・・・!見て!!」 リリスが指を指したところ。 それは、カプセルのガラス部分だ。 正確には、これは「強化ガラス」ではなく、「透明アルミニウム合金」という、透明な金属だ。 その中に入っていたのは・・・、 なんと、リリスだった。 今より風貌がまだまだ幼いが、間違いなくリリスだった。 ファラス「ど、どういうことだ!?」 他のカプセルも見てみると、ニィナに、シルビィー、イディンやライディス。 ユリウス、ブラウン。 さらにはファラスやラルドまで・・・。 皆、今と比べると明らかに幼い風貌の姿ではあったが、確かにそれらの冷凍保存用カプセルに入っていた。 ・・・だが、他にも見慣れない子供たちがいる。 恐らくはプラノズが他の国からさらった子供たちだろう。 ミラル「な、何でこんなに・・・!?」 イグニス「プラノズ!!何をするつもりだ!!」 プラノズ「・・・これが奥の手というものだ。 このクローンたちが成熟するまで、あとわずかだ。 皆、私が作った遺伝子変形ウィルスを注入されて、特殊な能力を持っている。 成熟すれば、皆独りでにカプセルを突き破り、世界中へ散り、人類の文明を破壊し尽くすだろう・・・。人類は、滅びねばならない。 そして、我々のような特殊な能力を持つものたちの世界を作るのだ・・・!」 イグニス「そんなのは無駄だ!プラノズ!!」 プラノズ「無駄なはずが無い!」 イグニス「これはタイムループなんだ!!」 ・・・その「タイムループ」という単語を聞いた途端に、プラノズの強硬な態度が少し崩れた。 プラノズ「今・・・、何と言った・・・!?」 ラザロ「ちょ、聞かせてくれ。その「タイムループ」って何!?」 イグニス「因果の輪だ。・・・プラノズ。お前が未来をどのように変えようとしても、結果は変わらない。 再び俺たちは生まれ、またお前は逃げ出してこの時代に来て、悶着を起こし・・・。 それが永遠に繰り返されるんだぞ!!」 プラノズ「・・・!」 イグニス「そして、お前はまた恋人を失う事になる。同じ時間が繰り返される。 ・・・どうやら、ヒストリーライブラリーデータを最後まで見なかったようだな・・・。 プラノズ。俺たちの未来を生み出したのは、お前が原因だ。」 プラノズ「・・・。」 ラザロ「・・・つまり、プラノズは未来が嫌な感じだったから、この時代に来て、これからの歴史を変えようとしたけど、結局また同じように未来でプラノズが生まれて、また嫌な未来がやってくる。・・・そういうことなの?イグニス。」 イグニス「あぁ・・・。タイムループの原理としてはそういうものだ。」 ミラル「私でも混乱するわ・・・。」 ファラス「かなり複雑だな・・・。」 リリス「よく分かったわね、ラザロ・・・。」 ラザロ「ま、まぁね。」 プラノズ「くっ・・・、」 ・・・その時、プラノズは後ろを振り返った。 未だに、カインにラルドが抱きついたままだ。 そして、プラノズは思った・・・。 プラノズ「(・・・そういえば、奴は仲間が死んだ悲しみと、私に対する怒りで、これほどの力を発揮させたんだったな・・・。 ・・・私も、ユーリィを失って、一時我を忘れていた・・・。 そうか・・・私は・・・とんでもない事をしていたんだな・・・。)」 プラノズは、さっきラルドに壊された刀の一部を、手に取り・・・・ ―ズシュッ・・・ 自分の胸めがけて、刀の一部を突き刺した。 プラノズ「ぐ・・・かはっ・・・。」 プラノズは吐血する。そして、倒れ始めた。 それに気付いた皆は、プラノズのほうを見る。 そこには、胸に刃物が刺さり、倒れているプラノズの姿があった。 刃物が刺さったところから、血がだんだんにじみ出て、服が血で染まっていった。 イグニス「お前!何をやっているんだ!!」 イグニスは、あわててプラノズに寄った。 プラノズ「いいんだ・・・これで・・・。私は・・・死ぬ運命なのだ・・・。 私は・・・ようやく・・・自分のしてきた過ちに気付いた・・・。 だが・・・気付いたのが遅かった・・・。だから・・・自ら・・・命を絶つことを・・・決めた・・・。」 イグニス「何を・・・!」 プラノズ「・・・もう無理だ・・・私は・・・もうすぐ・・・命を落とす・・・。」 ラルド「ならば・・・、私の・・・回復能力で・・・。」 プラノズ「その必要はない・・・。私がいたせいで・・・お前たちの人生は・・・変わって・・・しまったのだから・・・な・・・。 これ以上・・・生きることは・・・許されない・・・。 お願いだ・・・ゆっくり・・・死なせてくれ・・・。」 そのプラノズの言葉に、皆は何もいえなかった。 きっと、何を言っても、否定するだろうから・・・。 プラノズ「ユーリィ・・・今・・・そっちに・・・逝く・・・から・・・な・・・・・・。」 プラノズは最期にそう言って、静かに目を閉じた。 ・・・それと同時に、彼らの周りに白い無地の背景が広がり、やがては薄れて消えていく・・・。 プラノズが後の悲惨な状況の未来を生み出す原因だったとしたら、その現況が消えたために、今までのラルドたちの冒険は時空の彼方へ無に消えた。 時間軸が修正され、ラルドたちがその場にいた時空は消え、別の時空へと変わった。 ―2023年 西バルカン半島― セルビア・モンテネグロの首都ベオグラード。 この都市ではセルビアの周辺にある、ボスニア、クロアチア、マケドニア、アルバニアの西バルカン5カ国が足を揃えてEUに加盟できた記念の祭りが催されていた。 民族や宗教などが複雑に入り組み、内乱状態にまで発展していたこの地も、この時代では落ち着きを取り戻し、平和な場所となっている。 そのお祭り騒ぎの市内を歩く、若いカップル。 1人はカイン・ジグナ。もう1人はミラル・ドレイン。 今は2人とも高校生として、普通に生活している。 今日は西バルカン5ヶ国全てがEUに加盟した記念日になったため、学校は休みになった。 カインとミラルはこの3連休をうまく使って、ユーロ鉄道でこの都市まで来た。 2人は照れくさそうになりながらも、久しぶりのデートを楽しんでいる。 カイン「久しぶりにベオグラードに来てみたけど・・・、何だか少し雰囲気が変わったなぁ。」 ミラル「何だか・・・、こうして歩くと照れくさいね・・・。」 カイン「学校で歩いていると皆にからかわれるから・・・、あんまり学校では話さないもんな・・・。」 ミラル「うん。でも、今日はお祭りだから、存分に楽しもう♪」 カイン「そうだな・・・。」 そうやって、2人が歩いていると、ある少年2人とすれ違った。 すれ違って、2秒ほど、カインは後ろを振り返り、少年2人を見つめた。 ミラル「カイン?どうしたの?」 カイン「いや、その・・・。」 ミラル「あの2人、知り合い?」 カイン「いや、そんなはずはないんだけど・・・どっかであったような気がしただけ・・・。」 ミラル「ふ~ん。まぁ、そんな事より、早く行こう♪」 カイン「あぁ・・・。」 「・・・。」 「どうしたの?」 「判らない・・・、見たことがあるような気がしただけ・・・。」 「気のせいだよ。さ、行こう?」 「・・・う、うん・・・。」 未来とは、常に自分で足を踏み出し、築き上げていくもの。 本来、人は昔の過ちを、過ちを犯す以前に戻って止めることはできない。 そして、失った物を全て取り戻せるわけではない。 だが、人に前向きな心がある限り、人は再出発し、まだ見えぬ明日へと歩み続けていく。 先行きを予想は出来ても、確実に予想した通り100%に、それらの出来事が全て起こるとは限らず、絶えず変化している。 我々にとって、未来とは盲目の存在なのだ。 無尽の鎖 ―完結― |
| |
| 今まで、「無尽の鎖」を読んでくれてありがとうございました! これからも、彼らのことを応援していてください!! ちなみに、私も・・・(コラ。 今ある、小説も続けていきますので、よろしくお願いします!!! 本当に、ありがとうございました!! |

![]()
