小さなキャー子の子育て日記

小さなキャー子の子育て日記

逆境を克服するタムラ君


どちらに並んでも待つ人数は同じ。しかしそりゃあタムラ君だよ、と思って
タムラ君のレジに並んだ。ちなみに隣のレジは仕事が丁寧なゴトー君である。
隣のレジにはやがて人が並んでわたしと同等のポジションになった。ひそかに
心の中で用意スタート!わたしの方が先に並び始めたわけだから、もしこれで
逆転されたらショックである。しかしタムラ君がお客にそんな思いをさせる
わけがないと信じて耐える。

とはいうものの、タムラ君のレジのお客はかごに山盛り一杯の食料。かたや
隣は食パン一斤だ。こちらが圧倒的に不利なんだけど・・・、と横目で
見ながらも、ゴトー君の相変わらず悠長な接客ぶりを見ていると、これは
いけるかも、との希望が胸にわく。ゴトー君は、受け取ったお札を後生大事に
掲げるようにして確認し、お釣りをゆっくりゆっくり出して、丁寧に渡すと
両手をちょこんと前に組んで「ありがとうございました」をやる。次のお客が
来ると、やはり両手を改めてちょこんと前に組んで、「いらっしゃいませ」を
やる。タムラ君はそんなことしない。相変わらず無表情かつ淡々と前のお客の
山盛りかごを片付けてお釣りを渡すと、いらっしゃいませを言うより早く、
もうわたしのかごから一つ目の商品をレジに通している。一瞬遅れて隣の
ゴトー君もわたしと同等のポジションだったお客の商品を手に取った。

違いは一瞬だったが、少なくともわたしはタムラ君のレジに並ぶことによって
「先に並んでたのにぃ」という思いをせずにすんだのだった。ピッピッピッと
リズミカルに精算を済ませたら1,537円だった。けっこう面倒な金額である。
しかしタムラ君を信頼し切っているわたしは涼しい顔で2,000円を渡してあとは
お任せにする。お釣りは463円という、硬貨がジャラジャラする金額だった。
これだけ枚数が多いのにちゃんと静かに渡せるかな、と興味深く手を差し出すと、
お釣りを持ったタムラ君の手が空中で一呼吸置いた。自分にもお客にも心がまえを
促すほんの一瞬の間である。それからおもむろに10枚近くのコインとレシートが
サラサラとわたしの手に流れ落ちてきた。素晴らしい。やはりここでも重力を
最大限に活用して、関係者各位(この場合はタムラ君とわたし)すべてが満足を
得られるような結果を叩き出してくるタムラ君なのであった。


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