とある人からの情報だった。「世界一の美術館だから」。なんて大げさな。しかし、そのような冗談を言うような人物ではなかった。美学に精通し、辛口で通っている人である。ならば、だ。一見の価値はあるだろう。私は琵琶湖の南部に降り立った。JR石山。次のバスまでは少し時間があった。タクシーにしようか。そう思ってバス停のベンチから立ち上がる。今日は開館から最終まで鑑賞するつもりなのに、時刻はすでに10時を回っていた。気がはやる。「傘、忘れてますよ」と日傘をさし出してくれた女性。「すみません」。呑気なようで短気なのだ。