松尾大生の独り言

松尾大生の独り言

2009.01.02
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「より意識が鮮明になっている」

とのお話であった。

きょうは、父と二人で俺のカローラで行った。

母は声にならない声で、目を見開き、俺をみながら唇を動かし、盛んに何かを話そうとしていた。

「喉に空けた穴がふさがったら、話せるようになるからね」

と母にいっても更に話し続ける……。

「喉の穴が痛いのかい?」

と訊いたら、頷いていた。



定期的にタンが詰まり苦しんでいるから看護婦さんを何度となく呼んでタンを取ってもらう。親族がいる時はいいが、呼吸困難で相当苦しい思いしているな、と思う。

父が口を酸っぱくして、タン取りをちゃんとやってくれるようにお願いしているが、よっぽど呼吸困難にならないと、タン取りはしてないな、と確信する。看護婦も母ばかり見ているわけではないが、入院したその日から、医療関係者の冷たさみたいなものは感じている。

きっと世間的な苦労が足りない方々の集まりなんだろうなァ、と思う。医療関係者の常識は世間の非常識である。

以前、別の病院で、俺より一回りも年下の看護婦が、初対面なのに、馴れ馴れしいタメ口をきいてきたから、ガッツリ叱ったことがある。あんたがた医療関係者は常識がない、と怒鳴りつけたら、なんと、

「我々は特殊な業界ですから!」

と生意気にも言い返してきたことがある。

特殊な業界って……。

「じゃあ、特殊じゃない業界って、どこにあるんだい!」

と俺が怒ったら、反論できずにいた。まるで赤ん坊みたいなレベルだな、と思った。

そういう彼等に、母の命を、いま、託している。

他に託す場所がないから、託している……。





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Last updated  2009.01.02 18:17:17


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